表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
162/171

王都観光へGO?

お待たせしました。今週からまた毎日投稿予定です。またよろしくお願いします!


「では、これで私は失礼します」

 俺はもう用事は終わったからな。婚約の話は身内だけで行うべきだろう。


「私もここで失礼します」 

 シェル伯爵とともに席を立つ。後に控えているエイダンにも合図すると頭を下げた。


「スバルくん、本当にありがとう!王都観光を楽しんでくれ!!」

 ヤドリ侯爵にもお礼を言われ、頭を下げる末姫様、護衛の2人にも見送られる中その場を後にした。


 一旦シェル伯爵家に戻るためケインのお父さんとエイダンとタクシーに乗る。


「良かったですね」

「ああ、これで王家もヤドリ侯爵も安心されるだろう」

 とりあえず良かった。

 

「そういえばそもそもなんで火災が起きたんですか?」

 実は少し気になっていた。

「……それが少しきなくさいんだ。火の気のない場所から火が上がってな……。末姫様や護衛の方たちがいたおかげでほとんどの子どもたちが助かったんだが、一番火の手に近かった乳児6人の行方が分かっていないんだ。助けに向かったものからはもぬけの殻だったと聞いている。最初は王家に仇なす者の仕業と言われていたんだが、もしかしたら誘拐目的の別の者の仕業かもしれない」

 赤ちゃんを誘拐か……。嫌な話だな。先日俺も誘拐されたところだから余計にそう思うのかもしれないけど……。


「赤ちゃんを世話していた人は?」

「……その方も見つかっていないんだ。孤児院に勤めて一ヶ月ほどのまだ若い女性らしいんだが……」

 その人も一緒に誘拐されたのか……それとも誘拐犯の仲間で誘拐を手引きしたのか……。


「何にしろ早く見つかると良いですね」

「ああ、王家の影も動いているらしい」

 そんな話をしていると、シェル伯爵家に到着した。


「スバルくんとエイダンくんは皆に合流したら良い。今皆は王都のレストランに向かっていると連絡が入った。すまないが私は仕事のため、ここで失礼するよ」

「いろいろありがとうございました」

「こちらこそ。しっかり王都観光を楽しんで」

 

 ケインのお父さんと別れて、俺とエイダンはそのままタクシーでレストランを目指した。


「エイダン、お前ヤドリ侯爵家のお嬢様のことどう思ってるんだ?」

 実は気になっていたことをエイダンに聞いてみる。エイダンは首を傾けた。

 

「……よく分からない」

 

 うーん。これはどっちだろう?

「嫌いか?」

 それには首を振る。

「好きか?」

 こちらは首をかしげる。


 嫌いじゃないけど、好きかはわからないか。お嬢様前途多難かも。


「ま、何にしろエイダンも自由なんだからな。」

「……ずっと一緒にいる」

「いや、もちろん護衛として一緒にいてくれるのもありがたいけど、たまにはエイダンも1人で行動したら良い」

「……また、誘拐されるかも」

 うっ。それを言われると辛いけど、今はスカイやぺぺ、グリンもいるからかなり安全度は上がっているはず。


「スカイたちもいるからな。1日や2日なら大丈夫だ」

「……俺はもういらないのか?」

「いや、そうじゃなくて。エイダンの人間関係も大切にしてほしいんだ。だから、また、お嬢様とも出かけたかったら行ったら良いし、行きたくなかったら行かなくても良いって話。分かった?」

 エイダンは少し首を傾ける。

「ま、とにかく出かけたい用事があれば遠慮なく言ってほしい」

 これにはこくりと頷く。


 ま、今はこれでいいかな。これから先はまた考えていこう。


 そんな話をしているとタクシーが止まった。さっきはすぐに扉を開けてくれたのに今度はなかなか扉が開かない。しばらく待っていると、人魚族の運転手さんが扉から入って声をかけてくれた。


「すみません。どうやらこの先で火事があったらしく、これ以上進めそうにありません。遠回りですが、引き返して別の道に行っても構いませんか?」


「火事?」

 朝火事の話を聞いたからか嫌な予感がする。


「エイダン一緒に確認に行ってくれるか?」

 エイダンはこくりと頷く。


「すみません、しばらくここで待っていてもらえますか?念の為火事の確認をしてきます」

「それでしたらこれを」

 人魚族の方は笛を貸してくれた。


「笛を吹いていただけたら、そちらに向かいますので」

「遠くでも聞こえるんですか?」

「ここから見える範囲くらいなら聞こえます。火事現場も近いのでおそらく大丈夫です」

 犬笛ならぬ、人魚族笛……いや、タクシー笛か?いや、そんな馬鹿なことを考えている場合じゃなかった。


「ありがとうございます!行ってきます」

「お気をつけて!!」

 タクシーを降りると既に煙の匂いが漂っていた。火の手が上がるのも見える。


「エイダン、急ごう!!」

 こくり。エイダンは頷くと俺の前にしゃがんだ。


「……乗って……その方が速い」

 ちょっと恥ずかしいけど背に腹はかえられない。


 俺はエイダンにおぶさると、エイダンが飛ぶように走り出した。


 速い――――!!怖い――――!!


 でも、皆無事でありますように……。

 

 


 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ