末姫様のリンゴ 6
すみません。珍しく体調を崩しストックがきれてしまいました。今週末までお休みさせていただき、次の更新は月曜日からにしようと考えています。お待たせしてしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
「もちろんです。お呼びください」
俺がそう告げると、末姫様は扉の外に控えていた護衛のカイトさんを呼んだ。
カイトさんは入ってくるなり、クルスさんの顔を見てかなり驚いた表情をする。
「クルス……その顔……」
「ああ、こちらにいるスバル様に治療薬をいただいて飲んだらこうなった。今後の副作用などは分からんが、今のところは痛みもなく前と同じ生活を送れている」
「……そうか……良かった。じゃあ、もしかしたら……」
そして、俺と末姫様の顔を交互に見る。頭を下げながら大きな声で叫んだ。
「お願いします。末姫様にもその治療薬を。お願いします!!」
ずっと頭を下げ続ける姿に、俺は慌てて声をかける。
「頭を上げてください。その話をするためにこちらに来ていただいたんです」
今度はガバッと顔を上げる。
「では……末姫様にも治療薬を?」
「はい。そのつもりです」
「ありがとうございます」
またも大きく頭を下げたが、すぐに顔を上げて笑顔の彼と目が合った。目尻に涙が浮かんでいる。
「……カイト……私だけ治療薬を飲んでも良いのかしら?あの火災で苦しんでいる方は他にもいるのに……。貴方をはじめ、護衛の皆も大なり小なり火傷痕が残っているでしょう?」
「何をおっしゃられているのですか?もちろんすぐに飲んでください。私たちの火傷の痕など些末なことです。貴方様が孤児を助けるために火災の中へと戻られた時、本来は私たちがお止めするべきでした。ですが、貴方様の気持ちを優先するあまり、その御身に怪我を負わせてしまい……」
「これは私の自己責任だから良いのよ……でも貴方達は私の命で負わなくても良い火傷を負ったわ」
「いえ、それこそ思い違いをしていらっしゃる。我らの任務は貴方様を無事に守ることです。それができなかった時点で護衛の任務をとかれても仕方なかったのに貴方様はそれをしなかった。……クルスは隊長として責任をとって辞めましたが。だからこの痕は、私どもの不甲斐なさを示すだけのもので貴方様に何の責任もありません。むしろ貴方様の火傷が治るのは我らの悲願なんです。末姫様、お願いします。治療薬をお飲みください」
カイトさんは右腕の火傷を見せながら、必死で末姫様に懇願した。
「……飲みます」
その姿を見た末姫様は俺を見て静かに頷いた。
良かった。でも正式には飲むじゃなくて食べるだけど。
「では、このリンゴをお召し上がりください」
見た目は何の変哲もないリンゴである。
何だがこのシチュエーション、前世の白雪姫と魔女のやりとりに似てるな……。いや、馬鹿なことを考えないていないで、リンゴを渡そう。
末姫様の手にリンゴを渡す。
末姫様は仮面を外した。仮面の下にはかなり広範囲に渡って火傷の痕が残っている。
そしてガブリとリンゴにかじりついた。
「ものすごく、美味しいです」
そしてそのまま最後までリンゴを食べきった。
その瞬間末姫様の顔から火傷の痕が消え、美しい元の顔が現れた。
よし!!成功!良かった。
「……良かった」
「はい、良かったです」
護衛の2人もその姿を見て満面の笑みで喜んでいる。
「スバル様、本当にありがとうございます」
末姫様は俺に丁寧に頭を下げた。護衛の2人も続く。
「「ありがとうございました!!」」
「……それで相談なのですが、もし今後このリンゴが定期的に採れるようになったら我が国にも卸していただくことは可能でしょうか?」
「正直どれだけ採れるかは未知数ですし、全てをこちらの国へは卸せませんが、できる限りのことはさせてもらおうと思います」
とりあえず両親に相談だな。
「そのお言葉が聞けただけでも、ありがたいことです。ぜひ、御身を大切に我が国とも仲良くしていただけるとありがたいです」
末姫様はにっこり微笑まれる。……いや、かなり、美人さんで俺も顔が赤くなった。
「とりあえず、残りのリンゴをお渡ししますね。また王家に献上しましすので、後はよろしくお願いします」
丸投げしてすみません。
「いえ、このように貴重な物。本当にありがとうございます。確かに受け取りました」
「将来、安価で手に入るようになれば一番なんですけど……」
「もし、研究の費用がご心配でしたら、私が出せるだけ出資いたしますので、遠慮なくおっしゃってください」
「ありがとうございます!今のところ大丈夫ですが、もしものときはお願いします」
今はスカイが作れるたけだからな……。もし、タネとか埋めたら上手くいくんだろうか?また、それも試してみよう!!




