スカイの能力2
「うーん、私も見たことがない種類のモンスターですね」
ミレー先生がお休みをとられていたので、今日は4日ぶりの授業である。それまでは俺もスカイの世話と実験でいっぱいいっぱいだったので、ちょうど良いタイミングだった。朝はスカイが寝ているので、無理を言って今日は昼からの授業に変えてもらった。
スカイを見たミレー先生は興味深そうに眺める。
「カーバンクルやツノウサギに似てますが、大きさも二足歩行するところも違います。一般的にモンスターは人には懐きません、懐くとしてもテイムした主のみのはずですが、スカイさんは私たちにも懐いてくれているように感じます。喉の宝石からは魔力を感じるので、何らかの魔法が使えると推測されますが……うーん興味深いです」
ミレー先生はスカイを持ち上げて、いろいろ確認しながら言った。
魔力!?それは良いことを聞いた!
「先生、いろいろスカイと試してみたんですが、なかなかどんな能力があるのか分からなくて……何か良い手はありませんか?」
そう。どんな能力なのかさっぱり分からない。
魔力があるなら、どう使えば良いのだろうか。
「そうですね……とりあえず、こちらの言うことがどのくらい理解できるか、スカイさんに聞いてみても良いですか?」
スカイの授業が始まった。
「ここにイチゴが1個あります、スバルさんからイチゴを2個もらいました。イチゴの数はいくつでしょう。」
「キュウ、キュウ、キュッ」
「はい!正解です!スカイさんは賢いですね」
「キュウー♪」
家の子賢い!&可愛い。
ミレー先生はスカイの知能が気になるのかいろいろ確認している。
「では次にスカイさん、スカイさんについていろいろ教えてくださいね。ここに◯と✕の札があります。スカイさんが分かることであれば◯を指差してください。分からないことは✕を指差してください。私の話が分かるなら◯を指差せますか?」
スカイは◯を指差す!
これならスカイのことがいろいろ分かるかも。
「スカイさんの主はスバルさんで間違いないですか?」
スカイは◯を指差す。合ってる!!
「スカイさんの性別は女の子ですか?」
スカイは✕を指指す。
スカイ、オスだったんだな。……知らなかった。
「スカイさんは自分が使える力がどんなものか分かりますか?」
「……キュウ」
スカイは少し考えて、◯と✕両方を指差した。
「ふむ、分かるような分からないようなということでしょうか。では、自分に魔力があるのは分かりますか?」
スカイはすかさず◯を指差した。
おおっ、魔力があるのは分かってるんだな!
「では、その魔力がどんな力かも分かりますか?」
「キュウ!」
またも、スカイは◯を指差した!
「ではその魔力の使い方は分かりますか?」
今度はスカイは✕を指差した。
「ということは、スカイさんは自分にどんな魔力があるのかとは分かっているけれど、使い方が分からないで合ってますか?」
スカイは◯を指差した。
すごい、こんな短時間でスカイについていろいろなことが分かってきた。さすが先生!!
「ふむ……スカイさんは魔力の使い方が分からないようですね。魔力の属性は鑑定をすれば分かりますし、使い方は魔法使いの教師に教えてもらうと良いと思います」
あっさり今後の方針が決まった。
ここ何日も悩んでたのが嘘のようだ。
……もっと早く相談すべきだったな。
「先生、鑑定はどうすればできますか?」
さっそく鑑定に行きたい!
「鑑定は、鑑定スキルを持っている人のところに行けば分かります。冒険者ギルドに行けば鑑定スキルを持った方が必ずいらっしゃるので、そこで視てもらえるようお父上にご相談したらどうでしょう」
冒険者ギルド!!ファンタジーの定番だな!
「先生、そこで私やスバル、フェレナの能力も鑑定してもらうことはできますか」
そうだな。俺や姉、フェレナもスキルは分かっているけど、それ以外はまだ何も知らないし。
「はい、スキルの力を伸ばしてだいたい12歳くらいで鑑定は行うのが一般的ではありますが、視てもらうことはできますよ」
「何で、12歳まで待つ必要があるんですか?」
早く知るほうが、メリットが多そうだけど。
「鑑定のメリット、デメリットがあります。メリットは自分の今の能力や才能が分かること。デメリットは今に限定されるので、スキルを伸ばしていないと自分の先の進路が狭まることでしょうか」
「どういうこと?」
「たとえば、ステファニー様は槍術のスキルを授かっていますね。しっかり訓練されていますから、そこから派生した上級スキルに変化されているかもしれません。しかし、もし、最初に鑑定して剣術の才能があったらどうされたと思いますか?」
「剣術も槍術もやりたくなるかも」
「誰しも持ってる力を試したくなるのがあたりまえです。しかしここで難しいのが、スキルと才能の伸びの差になります。才能は身に付いていますから、すぐに上達します。スキルは神に授かった力ですから、上達に時間がかかります。ですが、才能の方は自分の上限が決まっています。スキルは上限がありません」
「えっと……どういうこと?」
姉には少し難しい話のようである。
「例えば姉さんが剣術の才能があれば訓練をしたらすぐ上達するけど、どこかで頭打ちするってこと、槍術はなかなか上達しないけど、頑張れば頑張るだけ上達して、無限に強くなれるってことであってますか?」
「はい、だいたいあってます。ただし、才能の上限がどこにあるかは分からないこと、スキルも闇雲に訓練しても上達しないので、やり方次第にはなります」
「早く視てしまうと、楽な方に流れでしまうということでしょうか」
フェレナがまとめる。
「簡単に言えばそういうことです。ただ、スキルが自分に合わないと考える方もいらっしゃいます。そんな方のために12歳で鑑定をして、自分の進路を定めていくのが一般的になっています」
「なるほど、3年スキルを磨いても伸びなかったら、別の才能を伸ばす方にシフトしても良いってことですね」
「はい。ただ、スキルはいつ花開くか分かりません、せっかく神から授かった力ですから、諦めずに努力することも大切です」
「なるほど、スキルと才能か……どうしようかな……」