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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
150/161

王城 1


 そんなこんなで、無事に後ろ盾になってくれる約束がとりつけられ、いよいよ今日は決戦の王城に行く日となった。


 上手くいきますように……。


 王城には俺とケイン、護衛としてエイダン、ケインのお父さんとお祖父さん、セリン嬢、ヤドリ侯爵、コンフ侯爵が同行することになった。王城前で待ち合わせだが、皆時間厳守で集まってくる。全員が揃ったので、皆で王城の入り口へと進む。


 残りのメンバーはまた今日1日観光に出かけるらしい。うらやましい。


 さて、大仕事を早く終えて合流しないとな。


 王城は街の中心にあるかなり大きな建物だった。

 

 門番に来訪を告げると、扉が開き中へと案内された。日本の城というよりは中国の城のイメージで、かなりきらびやかな装飾が施されている。


 門番に来訪を告げると、門が開き中へと案内された。


 中もやはり、かなり広く豪華絢爛である。

「こちらで王がお待ちです」

 扉の前に立つ近衛兵が扉の前から横に移動し、扉を開ける。

「ヤドリ侯爵様、コンフ侯爵様、シェル伯爵様方がお見えになりました」

「入ってもらえ」

「はっ」

 扉の中に入ると、王と王妃が立って待っていた。会議ができるような部屋で、大きなテーブルに椅子が並んでいる。


「この度は我が家門の個人的な用件のために、お時間をお取りくださり誠にありがとうございます」

 代表して、ケインのお父さんが挨拶する。

「構わん。久しいな、テイタン」

「はっ。陛下におかれましてもご健勝のご様子、何よりであります」

 最初にケインのお祖父さんに声をかける。

 王様はケインのお祖父さんより少し年下で、ケインのお父さんよりは年上に見える。王様だけあってかなり貫禄のある方だった。

 

「ヤドリ侯爵、コンフ侯爵、シェル伯爵も楽にしてくれ。ここは会が終わるまで人払いをしてある」

「陛下、我々が座らないと皆様座れないのではありませんか。お若い方もいらしてますし」

 王妃様がそっと声をかける。


「そうだな。とりあえず皆、席についてくれ」

「「「はっ」」」

 王様と王妃様が座ったのを見届けてから、俺達も席に座る。ソファーもふかふかで体全体が沈み込む。さすが王城。とにかく俺達は王様に声をかけられるまでは黙っているように言われているので、無言を貫いていた。


「して、その方らは……」

「はい、我が息子ケインとシャクヤ侯爵家ご令嬢のセリン嬢、ケインの友人で隣国テベルの辺境伯家のご子息のスバルくん、その護衛になります」

 名前を呼ばれて頭を下げる。


「その方らも本日は非公式の場になる。気にせずに楽にしてくれ」

「「「はっ」」」

「して、個人的な用件とは?」

 王様が早速話を聞いてくる。ここも話は基本的に大人に任せてある。


「はっ、ここにいるセリン嬢の家門の件でお話があり参りました。陛下も不慮の事故で先月シャクヤ侯爵が亡くなったことはご承知だと思いますが、その家門を誰が引き継ぐかで少々問題がありまして……」

 

「そちの息子と仮結婚をするものだと思っておったが」

「はい。我々もそのつもりで段取りをしておりましたが、我が息子が今の自分ではセリン嬢に釣り合わないから仮結婚は待って欲しいと申しまして……無理矢理仮結婚をさせても上手くいくとも思えず、恥を忍んで王にお願いに参りました」

 

「そうか……どんな願いだ?」

「セリン嬢が当主代行を務め、その後見人をテイタン=シェル様、シャクヤ侯爵家前当主様が務めることを王家として認めていただきたい」

 ケインのお父さんが王様の目を見て宣言する。

「ほう。法をねじ曲げるか……して、その対価は?」

 やはり簡単には許してくれないよな。いや、普通はダメなことだし当たり前か。

 

「対価になるかは分かりませんが、こちらに一緒に来ていただいたヤドリ侯爵、コンフ侯爵からも承認をいただいております」

 ヤドリ侯爵、コンフ侯爵も大きく頷く。


「ほう。二侯爵家も後ろ盾になるか……ならば、批判が上がってもそちらでなんとかできそうだな」


「「はっ」」


「だが、それによって我が王家は非難しか来んぞ。侯爵家の言いなりで法をねじ曲げたとな……そこはどう責任を取るつもりだ」

 

「それは……」

 

 そこは考えていなかった。確かに王家にはマイナスしかない話だし、一つ例外を許せば他にも同じことを言ってくる者がでる可能性も高い。簡単にいけるかもと考えていたが、これはなかなか難しい。


 何かないかと焦るが、何も思いつかない。

 他の人たちも同じなのか、場が静まりかえる。


「陛下、意地悪をいうのはおよしください。皆様困っておりますよ。今回は何を言われても受け入れるとおっしゃっていたではありませんか」

 王妃様が横から口を挟む。


 えっ?

 最初から受け入れる予定?

 どういうこと?


 皆が困惑気味に王と王妃を見る。


 王は厳しい表情を崩すと、笑いながらしゃべりだした。


「ははははは、いや、すまなかったな。どう切り返してくるのかが気になってな、つい意地悪なことを言ってしまった。王妃が言うように、今回の件は無条件で受け入れよう」


 えっ?えっ?

 何が何だか分からないまま、俺はケインと顔を見合わせた。


 

 

 

 

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