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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
141/170

話し合い 1


「そういや俺、晩餐会出なくても大丈夫か?」

 ハイドが話の流れで聞いてくる。


「そりゃまた、なんで?」

 いや、きっと美味しい料理を用意してくれるだろうから遠慮せず一緒に食べたら良いのに。

 

「……いやそうでなくても、ケインの爺ちゃんカッカしてるだろ。いらん摩擦はない方が良くないか?」

「いや、別にハイドはマナーも気にならないし大丈夫だと思うぞ」

「いや、俺の爺ちゃんや父ちゃんにも言われてるんだ。正式な場はできるだけパスしろって」

 確かに万が一無礼だと言われてしまったら、平民のハイドはマズイかもしれない。

 

「お祖父様はそこまで分からずやではありませんが……」

 う――ん。今回の件を聞いていると、ケインの意見は当てにならないかもな。


「俺だけ別でも気にならないし、むしろ気楽に食べられるから、良かったら俺は今回はパスしたいんだけど……」

 ハイドは平民だからこそその辺が気になるんだろうな。

 

「じゃあ、スカイたちも預けて良いか?俺もどうしようかと考えていたんだ」

「もちろん。やっぱり1人で食べるよりは誰かいる方が楽しいしな」

「じゃあ、ハイドくんの言葉に甘えて、今回はハイドくんたちの夕食はこの部屋に用意してもらうように頼んでも良いですか」

「おう!」

「スカイ、ぺぺ、グリンも良いか?」

「キュウ」「ぺぺ」「キャン」

 3匹とも良い返事なので大丈夫そうだな。


「じゃあ、服装を整えて行きますか!」

「はい」

 俺とケインは頷き合う。


 ケインは一度着替えるために自室に戻った。俺も念の為正装に着替える。

 

「エイダン、申し訳ないけど夕食は後になっても大丈夫か?今回は俺の護衛として参加してほしい」

 エイダンもこくりと頷く。


 よし、いざ参らん!!


 ハイドとスカイたちに見送られ、メイドさんの案内で晩餐会の会場へと向かう。ドアを開けてもらうと既に俺以外の人たちは着席していた。


「すみません。遅くなりました」

 案内された席に座る。お客様扱いなせいか上座なのだが、ケインのお父さんやお祖父さんがいるので何となく気まずい。

 

「いや、私たちも丁度今来たところだよ。それよりもケインに聞いたよ。ハイドくんとスカイくんたちは別に食べるんだって?気にせずに来たら良かったのに」

 ケインのお父さんが話しかけてくる。

「はい、実は私もハイド様やスカイさんたちとも話してみたかったので、また、次の機会はぜひ」

 セリン嬢も笑顔で声をかけてくれる。

 スカイたちは女子に絶大な人気を誇るからな……。セリン嬢も会いたかったのかも。また、気楽な昼の茶会の時にでも連れて来よう。

「また、ハイドにも聞いてみます」

「はい!ぜひ!!」

 

 ちなみに、俺たちが会話している間ケインのお祖父さんは一言も口を開かずにケインを見つめている。

 それが分かっているせいかケインも無言である。


 そうこうしている間に前菜が運ばれてくる。やはり海の幸がメインらしくお刺身が乗っている。口に運ぶと懐かしい味がした。これだよこれ。今世では初めて食べたが本当に美味しい。

 スルスルと口の中に入っていく。


 その間も俺とケインのお父さんとセリン嬢で会話が弾む。


「いや、でもスバルくんにはびっくりするよ。なんと悪魔病に効く可能性がある物を提案してくれるんだから」

「悪魔病に?」

「ああ、オレンジという果物なんだが、とりあえず家の娘で臨床中だ」

「でも、本当に効くかはまだ分かりませんよ」

「それでも今まで治療薬が無かったんだから、可能性があるだけでもありがたい」

「スバル様、すごいんですね」

 セリン嬢に褒められて、少し照れる。ケインに話を振ろうと思うが、ケインとケインのお祖父さんの間だけ妙な緊張感が漂っており、2人とも無言で食べている。


 メイン料理が運ばれてきた。これは……タイの塩焼きか!!。香ばしい匂いが漂っている。そしてなんと白米がある。今までずっとパンばかりの生活だったから素直に嬉しい!鯛めしにして食べるんだな。


「……それで、仮結婚はどうするんだ?」

 ついにケインのお祖父さんが口を開いた。一気に空気が張り詰めた物に変わる。


「お祖父様、私は当主にならなくとも構いません」

 セリン嬢がきっぱりと宣言する。

「何を馬鹿なことを言っている!!」

「実はずっと考えていたのです」

 ケインのお祖父さんに怒鳴られてもセリン嬢は全く怯まない。

「誰かに無理をさせて成り立つものなど所詮長くは持ちません」

「たが、もし親戚がここを継いだら領民はかなり苦労するぞ。あいつらは自分の利益しか考えとらんからな」

 お祖父さんは絡め手でセリン嬢を説得にかかる。

「ですので、領地を陛下に返納しようかと」

「何を馬鹿なことを言っておる。そんなことをしてみろ。そなたは平民になるんじゃぞ」

「はい。承知の上です」

 セリン嬢は真っ直ぐお祖父さんを見つめる。

 

 ここに着いた時はケインとケインのお祖父さんがヒートアップしていたが、今度はセリン嬢とお祖父さんがヒートアップしている。


 この辺で俺も参戦してもいけるかな……。

 

 


 

 


 

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