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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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婚約者を訪ねて


 さて、途中クラーケン襲来というハプニングはありましたが何とか無事に到着しました。


 婚約者さんが治める街シャクヤに!!


 途中で時間を取られたので俺たちは馬車を降りるとなるべく早く婚約者さんの御屋敷に向かう。侯爵領だけはあって今まで見た街の中で一番栄えており、高い建物が建ち並び、人通りもかなり多い。


 5分程歩くと、一際高い建物が見えてきた。おそらくあれが侯爵邸だろう。5階建てで外装もかなり凝っている。入り口には詰所があり数人の兵士が控えていた。


「私の名前はダミアン=シェル。我が家の父と、息子の婚約者であるセリン嬢に会いに来たのだがいらっしゃるだろうか」

 ケインのお父さんが代表して話をしてくれる。


「少々お待ち下さい」

 詰所で待つこと数分、玄関のドアが開き少し高齢の厳しい顔の男性が出てきた。


「遅い!!早く来い!!」

 いきなりこちらを怒鳴りつけ玄関の中に入る。

 いや、聞きしにまさる頑固親父ぶりだな。


 とりあえず言われた通りに玄関から室内へ入った。


「いったい何をしとったんじゃ!!セリン嬢をこれほど待たせおって!!」

 またも大声で怒鳴られる。

 

「父上、そうかっかせず。こちらにはお客様も来られてますし」

 ケインのお父さんがとりなすが、どうやら火に油を注いだだけのようである。

 

「なに!!部外者を連れて来ただと!いったい何を考えておる。身内の恥を広める気か!!」

 

 いや、これはなかなかのものである。

 ケインとケインのお父さんは雰囲気が似ているけれどお祖父さんは全く似ていない。筋骨隆々いかにも武人といったたたずまいである。

 

「お祖父様、こちらは僕のチームメイトです。僕がお願いして来てもらいました」

「ケインが呼ぼうが、ダミアンが呼ぼうが関係ない!!部外者は速攻で帰ってもらえ!」

「彼らが帰るなら僕も一緒に帰ります」

「何を馬鹿なことを言っておる!!お前には仮結婚を行い公爵家当主となる重要な仕事が待っておる」

「ですからその仮結婚をしないと今日は話に参ったのです!!」

「何と、女性が困っているのに手を差し伸べんとは男の風上にもおけん。そこになおれ!!根性を叩き直してやる!!」

 

 ケインもケインのお祖父さんも売り言葉に買い言葉でどんどんヒートアップしている。ここらでクールダウンができたら良いんだが……。


「ケイン様?」

 一種即発の雰囲気を破るように軽やかな声が上から聞こえた。


 ひょいと2階から降りてきたのはまだ幼いながら将来美人になること間違いなしの大変可愛らしい女の子である。漆黒の艷やかな髪に紫紺の瞳、身長はさほど高くないが、人形のように整った顔立をしている。


「セリン嬢、ご無沙汰しております」

 ケインが慌てて頭を下げる。それにならって俺たちも頭を下げた。顔を上げると笑顔のセリン嬢と目が合う。

 

 この子がケインの婚約者か……。確かに将来は絶世の美女になりそうだな。しかも公爵家長女で玉の輿。本来なら諸手を挙げて賛成する良縁である。


「上までお祖父様の声が響いておりましたから何があったのかと思いましたわ。そちらにいらっしゃる方はお客様ですか?ようこそシャクヤに。私は当主代行を務めておりますセリンと申します」


「ご丁寧にありがとうございます。私はスバル=クリスチャン=バードと申します。隣国テベルの辺境伯バード家の次男でケインくんのチームメイトです」

「ハイドです。獣人族の平民でケインのチームメイトです」

「エイダン。スバルの護衛。ケインのチームメイト」

「キュウ!」「ぺぺ!」「キャン!」


「まあ、可愛らしい。皆様のことはケイン様の手紙で存じあげております。どうぞごゆるりとご滞在ください。

お祖父様、前にもお話ししたように私はケイン様を仮結婚で縛りたくはありません。別の方法を考えましょう」

 

「……セリン、いや他の方法など……」

 セリン嬢に睨まれたケインのお祖父さんは途端に声が小さくなる。セリン嬢強い!!

 

「とにかく、長旅でお疲れでしょうから皆様を客間にご案内して。難しい話は晩餐の時にでも行いましょう」

「だが……早くせねば……」

「お祖父様!!」

 ケインのお祖父様はしぶしぶ引き下がる。


「とにかくまずはゆっくりなさってください」


 笑顔のセリン嬢に見送られ、メイドにそれぞれ個室に案内される。内装もかなり凝っており部屋もかなり広い。さすが侯爵家である。


 スカイ、ぺぺ、グリンは早速3匹で部屋の探検をするようである。

「キュウ!」

「ぺぺ!」

「キャン!」

 どうやらスカイが隊長で後を2匹がついて行く。


 見ているだけで癒されるな……


 いや、いかんいかん。今はそれどころじゃなかった。とにかく夕食までに何か案を考えないと……。


 トン トン トン


「はい!」

「スバル、俺だ!」

 この声はハイド。

「僕とエイダンくんもいます」

 ケインとエイダンも一緒のようだ。

「どうぞ」


 声をかけるとみんなが入ってくる。おそらく考えていることは一緒だな。


 さて、この難局をどうやって打開すべきか……。

 4人寄れば文殊の知恵。

 何か良い案を思いつきますように……。


 

 

 


 

 

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