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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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ケインと執事さん 3 (人魚族の国へ)


「でも、どうすんだ?結婚してくれって言ってるんだろう?もしかしたら親族にヤバいヤツがいるのかもしれないぞ」

 ハイドの言う通りである。

 

「はい、実際に侯爵家に押しかけてきたようなんです」

 うわぁ。そりゃあ婚約者も仮結婚してほしいだろうな。


「今は大旦那様が婚約者様の家で目を光らせているのでなんとかなっていますが、次期当主を決める期限が間近に迫ってきているんです」

「期限が過ぎて仮結婚できなかったらどうなるの?」

「次期当主は変わりませんが、成人するまで親族が後見人を務めます」

 つまり、家を乗っ取られてしまうと。


「仮結婚って、本当に結婚しなければだめなんですか?」

 たとえば今仮結婚しておいて、成人の時に見直すとか。


「逆にそれは禁止されています。自分の都合の良いように領地経営だけさせて、結婚相手は別に選ぶとなると今度はそちらの問題がでてくるので」

 ……それは確かに。うーん難しいぞ。


「なにか抜け道はないんですか?たとえば押しかけている親族以外に真っ当な親族がいるとか……」

「私が存じてる限りいらっしゃいません」

 ……積んだな。


 皆が押し黙っていると、ハイドがおもむろに口を開いた。


「なぁ、とりあえず話をしてみたらどうだ?何か良い案が生まれるかもしれないぞ。1人で行くのが嫌なら俺も一緒に行っても良いし……役には立たないかもしれないけど」

「それ良いかも。俺も両親の許可が出たら一緒に行けるよ。同じく役には立たないかもだけどな」

 実はもともとちょっと行ってみたかったんだよな。人魚族の国。

 

「二人とも……ありがとう」

 ケインが顔を上げる。若干表情も緩む。


「俺が行くとなると、エイダン、スカイ、ぺぺ、グリンももれなくついてくるけど、大勢で押しかけても大丈夫なのかな?」

「はい、二人のことは伝えてあるので、いつでも来てくれて構わないと言われています。スカイたちも大丈夫です。でも、本当に良いんですか?トラブルになるのが見えてるのに……」

「だからこそだろ。1人で難しいこともチームなら、なんとかなるかもしれないし……執事さん俺たちも行っても構いませんか?」

「もちろんです。ぜひケイン様にお力をお貸しください」

 執事さんの表情も明るくなる。


「よし、じゃあ人魚族の国に行く準備をしないとな。とりあえず俺は両親に話をしてみる」

「俺も父ちゃん母ちゃんに聞いてみるよ」

「じゃあ、今日は解散して明日の朝ここに集合して行く打ち合わせをしよう」

「「了解」」


 その場はお開きとなり、自宅の辺境伯邸に戻る。


 トン トン トン


「父様いますか?」

「構わない……入っていいぞ」

 時間は遅いけどまだ、父は仕事をしているようだ。山積みの書類に目を通している。あれだけの人が誘拐されていたら、その後の対応も一朝一夕には終わらないだろうな。


「スバル、朝起きた時に話ができなくてすまなかったな」

「いえ、元は俺のせいでもあるんで……」

「いや、誘拐はおまえのせいじゃない……とはいえ、エイダンと離れたのはまずかったがな」

「すみません」

「いや、別に怒っているわけじゃないんだ……ただ、無事だから良かったが、万が一のことがあったら俺も皆も悔やんでも悔やみきれなかっただろう……だから、今後は気をつけてほしい」

 父の俺を心配しての言葉に、俺もこくりと頷く。


「それで、何の用だ?こんな時間に来るのは、何かあるんだろう?」

 どうやら父にはお見通しのようである。


「実は……」

 俺はケインの話をする。


「人魚族の国か……。家とは友好関係を結んで行き来も活発に行っているから人魚族の国に行くこと自体は構わないんだが……隣国がな……メフィスなのが気になる」

 確かに地図では隣同士だったな。

 

「人魚族も隣国のメフィスとは交易などでお互い行き来しているから、おそらくメフィスのヤツらと会うことになるだろう。その時トラブルに巻き込まれないと良いんだが……」

 父は考え込んでいるようである。今回実際に俺はトラブルに巻き込まれているし、ごり押しはできないな。ケインには悪いけど、俺は居残りするか……。


「良いんじゃないですか」

 母が部屋に入ってくる。どうやら俺と父の会話を聞いていたらしい。


「……だがな……」

「今回の件があったからと家に引きこもらせるのは違うと思います。今回の件があってから日が経たないうちなのは若干気にはなりますが、友のために行くのを止めるのは違うかと」

「……スバル、母様はこう言っているがどうする?ぺぺのこともあるから正直リスクは高いと思う」

 父が言うことに間違いはない。ただ、やはりケインのことも気になるしな。


 迷っているとエイダンと目が合った。

 エイダンは大きくこくりと頷いてくれる。


「……行かせてください。エイダンも護衛をしてくれると言っているので」

「……絶対離れない」

 

 俺の意思が固まったのを見取った父は、しぶしぶ人魚族の国に行くことを認めてくれた。

「……分かった。ただし、毎日連絡すること。その時に気になることは共有すること」

 

「はい!」こくり

 

「しっかり考えて、良い答えが見つかると良いわね。あとは絶対にエイダンと離れないこと」


 よし!これで人魚族の国に行けるぞ!!

 いったいどんな国なのか楽しみである。

 

 

 

 

 

 


 

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