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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
124/169

御屋敷のお嬢様


「ギランさんて……ブロンズランクの冒険者の?」

「うん。おにいちゃんしってるの?」

「……たぶん」


 そうだ。確かにギランさんは妹がいるって言ってた。しかも1人残して来たって。


 じゃあ、ギランさんの良い人って俺か……?

 うわぁ、自分で自分を良い人って言ってたのか。なんだか恥ずかしい……。

 どちらかといえばギランさんが良い人なんだよな。俺もお世話になったし。


「ギランさんには世話になったんだ。……そうだ。これを渡してくれる?」

 何かないか考えると、金色の桃とオレンジを思いつく。


「なにこれ?」

「たぶん、桃がいたいのを治してくれて、オレンジが苦しいのを治してくれる薬になると思う」

 多分効果も高いはず。


「ギランさんあての手紙にも書いておくから渡してくれる?」

「うん!」

 さらっと感謝の手紙を書いてエルセちゃんに渡す。念のため、金色の桃とオレンジはいざという時に食べるように書いておく。

 

 それにしても金色は目立つな。

「桃とオレンジ、この袋に入れて渡してほしい」

 アイテム袋ごと渡す方が無難だな。


「わかった。おにいちゃんたち、いろいろありがとう!」

「こちらこそ。ギランさんによろしく」


 エルセちゃんと別れると、その足で冒険者ギルドに向かう。


 冒険者ギルドは昼の時間のせいかガランとしており、人がほとんどいない。


「スバル様!!」

 俺を見つけたオリビアさんがかけよってくる。

「大丈夫ですか?」

「はい!ご心配をおかけしました」

 恐らくギルドには話が入っているのだろう。オリビアさんはほっと表情を緩ませる。


「良かったです。……スバル様がこられたらギルド長室に案内するように言われています。こちらにどうぞ」

 あれ……?今回は冒険者ギルドに関わるやらかしはないはずだよな……。金色の桃とオレンジの話もまだしてないし……。ギルド長、なんの用だろう。


 首をひねりながらオリビアさんについて行く。


 トン トン トン


「スバル様が参られました」


 ガチャ


 すぐに扉が開きギルド長が出てくる。

 そして俺を見つけるやいなやギルド長がぎゅっと抱きしめてきた。


「スバル!!ありがとう!本当にありがとう!!」

 締め付けがきつい。

 ギブギブギブ!!!

 死ぬ――――!!


「ギルド長、スバル様を絞め殺す気ですか!!」

 オリビアさんが慌てて間に入り、締め付けが緩んだ。


「すまない。あまりに嬉しくてな。この感謝をどう伝えたら良いのか分からん」


 いやいやいや。何の話?


 もしかして捕まっていた人の中にギルド長の関係者がいたのかな。


「娘ももう一度礼を伝えたいと来てるんだ。まぁ、入ってくれ」

 娘さん!?……どの子だったんだろう。


 ギルド長室には1人の女の子が立っていた。長い緑の髪に金色の瞳、かなり痩せているがギルド長には全く似ていない可愛らしい感じの女の子である。しいていえば金色の瞳だけはそっくりかな。


 ……緑の髪は目立つけど、こんな子いたかな?


 顔を見てもさっぱり思い出せない。


 女の子はこちらを見ると、満面の笑みを浮かべて近づいてきた。


「もう一度、お礼をきちんと言いたかったんです。あの時は治ったことがうれしくて、そちらに気をとられきちんとした対応もせずに申し訳ありませでした」


 いや。あの状況なら仕方がない。俺も自分のことでいっぱいいっぱいだったし……。


「お礼なら、スカイに……」


「本当にありがとうございました。エイダン様!!」


 えっ、エイダン?どういうこと??


 女の子は俺をスルーし、エイダンに駆け寄る。


「……俺じゃない。スカイ」

「ええ、分かっております。エイダン様がスカイちゃんに頼んでくれたこと……」

 女の子は頬を染めて嬉しそうに告げる。

 一方のエイダンは困惑しているようで、俺を見てくる。


 えっ?えっ?どういうこと?

 さっぱりわけがわからず戸惑っていると、ギルド長が口をはさんてきた。


「クレアどういうことだ?お前金色のオレンジをもらって元気になったんだろう?」

 金色のオレンジ?

 もしかして御屋敷のお嬢様か!?


「はい。私が保護したスノーを探しに来られたんです。その時にスカイちゃんが私に金色のオレンジをくれて長年苦しんでいた病が治ったんです。その時に一緒にいらしていたのがエイダン様です!!」

 シロチビちゃん探しの時は別行動していたからな。


「……いや、スカイのマスターはスバルのはずだが……」

「でも、確かにエイダン様でしたわ」

 いや、どちらも間違っていません。


 とにかく、簡単に言えばスカイの金色のオレンジで病気が治ってそのお礼を伝えたいってことだな。


「スカイ!お前のオレンジのお礼を言いに来たんだって」

 とりあえず、スカイが一番の功労者だよな。


「スカイちゃん!本当にありがとうございました」

 スカイに向かって丁寧に頭を下げる。

「キュウ!」

 スカイも嬉しそうである。


 頭を上げたクレアちゃんは、やっぱりエイダンをじっと見つめている。どことなく潤んだ瞳で頬も赤い……これは。


 それに気づいたギルド長が慌てて、エイダンとクレアちゃんの間に入る。


「とにかくクレア、お礼を言えたんだから一度家に帰りなさい」


 

 

 

 

 

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