ゴールデンオレンジ
前話の桃をオレンジに変更しました。すみません!!
エイダンからオレンジを受け取り、じっくり見る。
確かにオレンジの形と匂いがするが、金色……。
なんとなくヤバそうな匂いがする。
「スカイこのオレンジまだあるのか?」
「キュウ!」
スカイはポケットから金色のオレンジを一つ取り出す。
「これで終わりか?」
「キュウ」
そうだという風に頷く。数はあまり無いんだな。
「スカイ他にも変わった果物はあるか?」
念のために確認する。
「キュウ!」
あるという風に頷くと、ポケットから金色の桃を出す。
この桃も形と匂いは桃だが、金色に光輝いている。
金色シリーズだな。
……効能を知るのが怖い。
「金色か桃はまだあるのか?」
スカイはポケットからあと二つ桃を取り出した。
こちらもあまり数は無いようである。
「とりあえず、このオレンジと桃は預かる。効果が分かるまでは人にあげるのを禁止しても良いか?」
「キュウ」
分かったという風に頷いてくれる。
しかし、1個はあげちゃったんだよな。効能によっては口止めが必要かもしれない。
大した効果じゃありませんように……。
でも、こういう色ってたいがい効果が高いんだよな。数もできない分ぎゅっと凝縮されてそう……。
ま、できたものは仕方がない。確認してからどうするか考えるか。
「……もうないよな」
念のためにエイダンに確認する。
後出しジャンケンのようにこれ以上いろいろ出てきたら嫌だ。
今度はエイダンもこくりと大きく頷いた。
「よし、それじゃあ通信球でハイドとケインに連絡をとろう」
勝手に何日も不在にしたからな……心配かけてないと良いけど。
執事から通信球を借り、ハイドとケインに連絡するも二人とも冒険者ギルドに出かけており不在だった。自分か無事なことを伝えてもらうようにお願いして通信を切る。
「俺も街に行くか」
何となく寝すぎて体がだるい。こういう時は思い切って動く方がスッキリする。
当初の予定通り、馬車を孤児院につけてもらう。
「あら、スバルくん。体調を崩したと聞いたけどもう大丈夫なの?」
院長先生にはそう伝えているんだな。話を合わせとこう。
「はい、ご心配をおかけしました。それで依頼についてなんですが……」
「シロチビちゃんの件ね。依頼書を預かったままだったから渡さないとと思っていたの。来てくれて良かった。はい。サインも入っているわ」
「ありがとうございます。……あの、シロチビちゃん見て帰っても良いですか?」
念のために俺の目でも見てみたい。
「もちろんよ。ぜひ見て帰ってちょうだい」
「ありがとうございます。あと、エルセちゃんに案内を頼んでも良いですか?」
「ええ、それももちろん大丈夫よ。エルセもあなたたちにお礼を言いたがっていたからちょうど良かったわ。エルセはお兄さんが無事に見つかって、自宅に戻ることが決まり、明日にはここを出ていくから」
「お兄さん見つかったんですか?」
「ええ、何でも依頼の途中でケガをして帰れなかったらしいわ。親切な人がケガを直してくれて帰ってこれたらしいの」
「良かったですね」
俺が捕まったみたいに悪い人もいるが、エルセちゃんのお兄さんを助けた人みたいに良い人もいる。世の中捨てたもんじゃないよな。
「ええ、エルセにとっては嬉しいことが重なってもう大喜びよ。今は自室の片付けをしていると思うわ。案内するわね」
今は昼の時間帯だから、皆仕事に出かけているのかいつもと違いシーンと静まりかえっている。小さな子たちは別の棟で皆でお昼寝中かな。
普段あまり入ることのない宿泊棟に院長先生に続いて足を踏み入れる。
トン トン トン
「エルセ、いますか?スバルくんが会いに来てくれましたよ」
ガチャ
「おにいちゃん?シロチビちゃんをありがとう!」
扉を開いてエルセちゃんが俺の方に抱きついてきた。満面の笑みを浮かべている。
「ああ、でも見つけたのはこのお兄さんだよ」
俺はエイダンをエルセちゃんの前に差し出す。
「おにいちゃんが?ありがとう」
エイダンは抱きつかれて、少し戸惑っているようである。直立不動で立っている。
人に感謝されるのは気持ちが良いからな。エイダンにも良い経験になるだろう。
「それで、シロチビちゃんを見たいんだけど案内してくれる?」
「うん。もちろんいいよ!」
「それでは、私はこれで」
「院長先生ありがとうございました」
俺とエイダンはエルセちゃんに手をひかれ、そのまま外のシロチビちゃんのところに行った。
どの子がシロチビちゃんかと目を凝らすと、シロのすぐ隣に小さな白い子猫が寝転んでいた。目は……確かにオッドアイ。良かった。本物で間違いなさそうだ。
「あのね、シロチビちゃんもうすこしおおきくなったらたすけてくれたひとのおうちへいくの」
そうか。それもご縁だな。
「わたしもあすにはおうちにかえるんだけど、おにいちゃんがせわができるならかってもよいよっていってくれたから、うちにもいっぴきこねこちゃんがくるの」
そうか。それならエルセちゃんも寂しくないな。
「お兄ちゃんも無事で良かったね」
「うん」
エルセちゃんは大きく頷く。
よし。これで依頼は終了だ。後は冒険者ギルドに行くだけだな。
「そういえばエルセちゃん、お兄ちゃん何て名前なの?」
同じ冒険者仲間、また知ってたら声がかけれるしな。エルセちゃんのお兄ちゃんならきっと良い人だろうし。
「おにいちゃんのなまえ?ギランだよ!」
ギラン……ってあのギランさん?
同一人物だよな。
世間は狭い……。




