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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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真相究明 3


「……しまった」

「……団長にどやされますね」

 

 姉とフェレナはかなり落ち込んでいるようだ。確かに親玉を逃がしたのは痛いが、皆が助かったのだから良い気もするけど。それにそこら中に手下が転がっているので、今回の集団誘拐事件の裏に何があるのか何か手がかりはあるだろう。


「……制圧完了」

「ぺぺ!」

 エイダンもぺぺを抱いて戻ってくる。船も制圧できたから、そっちの手がかりも期待できそうだ。


「エイダン、申し訳ないけど、転がっているヤツらを一か所に集めてくれるか?」

「……了解」

 俺の言葉を聞くやいなや、すぐに回収に取りかかる。さて、後は……。


「スカイ、来てくれるか!!」

 馬車にいるスカイを呼び寄せる。


「悪いけど、ここの人たちに桃とオレンジを配れるか?」

「キュウ!」

 スカイはさっそく桃とオレンジを取り出す。

 

 捕まっていた人たちのケアだな。上は20歳くらいから下は5歳くらいまで幅広い年代の人が70人くらい縄でくくられている。


「フェレナ、縄を……」

 とフェレナに伝える前に、姉とフェレナで捕まった人の縄を切ってくれた。


「助かった!」

「……ありがとう」

 捕まった人たちも安心したのが、その場に座り込む人が多い。ケガや疲労もあるだろうから、早く桃とオレンジを配らないとな。


「スカイ、皆で手分けして配ろう」

「キュウ!」

 

 スカイが出してくれた、桃とオレンジをチームセブンの皆で配っていく。もちろんぺぺも、メンバーの一員になったので一緒に配る。グリンは配れないので、エイダンと共に犯人の見張りをお願いする。


「うわぁ、甘い!」

「傷が治ったぞ!!」

「……なんだか元気がわいてきた気がする」


 やはり、桃とオレンジの効果は絶大で、皆の表情が明るいものになる。


 全員に配り終えた頃、朝日が差し込んできた。

 

 海から昇る朝日が海面に写り幻想的な景色が広がっている。皆で見惚れていると、不意に眠気が襲ってきた。


 気が張っていて気づいてなかったけど、ほぼ(意識を失った以外は)オールである。正直眠い。


 捕まっていた人たちもうつらうつら眠りの世界へといざなわれている。


 馬の蹄の音が近づいてくる。騎士団ももうすぐ到着しそうだ。


「……姉さん、悪い限界……」

 

 俺はその場に倒れ……そのまま爆睡した。

 


 ◇ ◇ ◇ ◇


「……この数は異常だな」

「はい」


 騎士団が到着し実況見聞を始めるが、それにしてもさらわれた人の数が多すぎる。


 さらわれた人たちの聞き取りだけでも1週間はかかる見込みだ。中には幼い子どももいて、どこから来たのか言えず、しらみつぶしに辺境伯領をあたるしかないことから1週間とは言わないかもしれない。


「しかも若い人間ばかりというのも腑に落ちん」


 幼い子どもは分かる。

 

 だが成人間近の人間は力も強いしいなくなれば噂になることも多いため、さらうのに適さないというのが一般的な考えである。


「普通は弱者である幼い子どもか老人が一般的だが……」


 老人が一人もいないのは何か理由があるのか……。


「フェレナが犯人は『召喚するために多くの人を集めて本国に送る』と言っていたと」


「その言葉を信じるなら、本国とやらでろくでもない召喚の生贄に集められたってとこかな」

「はい、犯人たちの誰かに本国がどこか聞けたら良かったのですが……」

「……皆、ダメだったのか?」

「……はい」


 お約束に漏れず、意識を取り戻した人間は一人残らず死んでしまったらしい。情報をしゃべろうとすると血を吐いて死んでしまうことから、呪いか魔法か何らかの誓約がかけられていたのだろう。


「それにしても、うちの子らは……」

 大きなため息が出る。


 1人はさらわれ、1人は犯人を取り逃がしただけでなく自分の情報まで与えているなど、めちゃくちゃである。


 ステファニーとフェレナは一度自宅に帰るように告げ、しばらくは訓練の参加禁止を言い渡している。訓練以前に敵との心理戦についてレクチャーが必要だ。


 スバルはその場で大の字で寝ていたので、エイダンに頼みテイムモンスターと共に自宅まで送り届けてもらった。


「いや、大したものです。お子様たちの活躍がなければ、おそらく人質全員の命は無かったかと……」


 そう。それも引っかかる。


 これだけ大量の人がさらわれているのに騎士団の耳に全く入らず、噂にもならなかったのはなぜなのか。


「それにしても、謎が多い事件だ。だが、必ず犯人は捕まえなければならない」


「はい」


「団長!ちょっと来てください」


 船を捜索していた騎士団員に呼ばれ、急ぎ船へと足を運ぶ。


「……これは」


 そこには一人の男が倒れ、手にはメフィス国の国旗と紅死教の教典が握られていた。


「……メフィスか」


 

 

 

 

 

 

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