表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
118/126

囚われの俺 3 (誘拐犯との戦い)


「おい、出るぞ。グズグズせずについて来い」


 バン


 とドアが開き男が入ってくる。


 時計がないため今の時間は分からないが、恐らく深夜。待ち望んでいた時がやって来た。


 俺は胸をドキドキさせながら男に付いていく。


 男はこちらが弱っていると思い油断しているのか、特に俺たちを拘束もしない。


 とりあえず今は1人。


 先頭が俺、その後にギランさんが続く。ぺぺとグリンは目立たないように一番最後についてくるよう指示してある。


 念の為ギランさんの怪我が治ったことも分からないように土で顔を汚してもらった。他の子どもたちにも同じように指示を出している。


 元気になっているのがバレないように、とにかくゆっくり歩く。


「……ちっ、おせぇな。早くしろ!」

 急かされるが、慌てない。とにかく、ゆっくりだ。ゆっくり。


 そうして歩くうちに、地上へと出る。どうやら地下の一室にいたらしい。真っ暗な空に三日月が出ている。月あがりでぼんやりと周囲の様子が見えてきた。


 目の前には3台の馬車が停まっており、それぞれに御者が1人とその隣に1人ずつ男が立っていた。案内してくれた男を加えると7人の男がその場にいるようだ。


「おい、早くしろ。集合時間に遅れるぞ」

 先頭にいた男が案内してきた男を叱りつける。

「すいません。おい、3グループに分かれて早く乗り込め!」

 案内した男がペコペコ頭を下げる。どうやら先頭の男がリーダーだな。


「……決行は子どもたちが全員馬車に乗り込んだ後で」

「分かった」 

 先に子どもたちを3台の馬車に誘導する。


 俺たち冒険者組も3グループに分かれ、子どもが馬車に乗るのを手伝う。俺は先頭の馬車ギランさんは2番目の馬車にいる。


「よし、ガキどもが入ったな、お前たちも早く乗り込め!」


 俺は全員に目配せすると大声で叫んだ。


「エイダン!1番目2人!ぺぺ3番目2人、グリン2番目2人!!」


 俺の合図で一斉に皆が動く。


 エイダンが糸で2人をぐるぐる巻きにし、無効化。


 ぺぺは2人を蹴り飛ばす。2人は木に激突し、生きてはいるようだが、ぴくぴくと体を動かすばかりで立ち上がれなさそうである。


 そしてグリンは雷魔法を使い2人を感電させる。威力を落としたためまだ息はあるようであるが、こちらも起き上がることはなさそうだ。


 その間風魔法を使える冒険者に馬と馬車をつなぐ手綱を切ってもらう。俺とその他の冒険者は念の為全員で馬車にシールドを張る。


 馬が暴れて中の子どもに万が一があってはいけないからな。


 それにしても俺たちを侮りすぎだろう。魔法無効化は室内だけで、今は普通に魔法も使えるし。エイダンたちがいなくてもなんとかなるかもレベルだぞ。


 そしてギランさんが俺たちを連れて来た、あの案内人の男と一騎打ちに持ち込む。


 子どもを人質にとられ、弱っている時に何度も殴られ蹴られたため、相当鬱憤が溜まっていたらしい。万が一に備えエイダンに目配せしていたが、その必要はなさそうだ。単独でブロンズランクは伊達ではないらしく、ボコボコにしている。


 ……いや、少しやりすぎじゃあ……。


 顔が原型を留めない形になってきているので、そろそろストップをかけよう。


「ギランさん!その辺で」


 ギランさんは俺の言葉に反応し、我に返ったようだ。


 男はその場に倒れるとピクリとも動かなくなった。

 生きてるよな?……ま、たとえ死んでも自業自得だがなんとなく人殺しは避けたい。


 顔を近づけて確認すると、かすかに息をしている。

 良かった。


 ギランさんは、興奮して息が上がっていた自分自身を、ゆっくりと落ち着かせている。

 

「……すまない。こいつのせいで妹と離ればなれになったかと思うと、つい歯止めがきかなくて……」


 確か妹さんと二人暮らしだったんだよな。そりゃあ腹が立つだろうし、妹さんが心配にもなるだろう。


 ん?この話どこかで聞いたような……。

 

「……一つにまとめた」

 考えごとをしているといつの間にかエイダンが側に来ていた。見ると、大きな木の下に7人がぐるぐる巻きにされて転がされている。


 スカイ、ぺぺ、グリンも側に寄ってきた。

 

「みんなありがとう!本当に助かった」

 

「キュウ!」「ぺぺ!」「キャン!」こくり

 いや、一瞬で決まったからな……家の子たちは本当に激強である。


 その間に冒険者たちが子どもたちを馬車から降ろす。


「本当に強いな!!」

 ギランさんはぺぺたちに笑顔で話しかけている。

 

「とりあえず、助かって良かったです」

 相変わらず俺はほぼ何もせずに終わったけど。


「子どもたちも全員無事です!」

 冒険者から声がかかり、ほっと一安心である。


「エイダン、辺境伯家には伝えているのか?」

 エイダンはこくりと頷く。


「もうすぐ来る」

 よし。後のことは辺境伯家に丸投げしよう。


「……それにしてもしてもどこに連れて行かれるんだったんだろう」


 集合場所と言っていたらから、もしかしたら俺たちのような人間を他からも集めているのかもしれない。




 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ