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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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囚われの俺 2 (お助けモンスター登場)


「ぺぺ!」

 ぺぺは元気に俺に向かって右手を挙げている。

 

「いつの間に……」

 

 全く重さを感じなかったぞ……。気絶していたせい?いやいや……分からない……が、ぺぺがいるなら百人力である。


「ギランさん、助かりますよ。俺たち!!」


「……どういうことだ?」

 訝しげな顔をするギランさんに俺は簡単にぺぺの能力を説明する。


「こんなちっちゃいのに、すごいんだな……」

 そうなんです、ちっちゃいけど家の子たちはやればできる子たちなんです。

 ぺぺもなんとなくドヤ顔を決めている。


「ただ……敵の数が分からないと……。無闇に動くと弱っている子どもたちを人質にとられるかもしれない」


 確かに、敵の数が多いと厄介だな。

 

「うーん……どうしましょう?」


 このまま何もせずにいたら、俺たちはみんなどこかに連れていかれてしまう。


「移動する真際がチャンスかもな……その時には敵の数も分かっているだろうし」

「分かりました。ぺぺ、合図があったら敵を攻撃できるか?」

「ぺぺ!」

 ぺぺは大きく頷く。


 よし。ぺぺがいるだけでこんなにも心強い。あとは時を待つばかりだな。


「そのこおにいちゃんのこ?」

「そうだよ。ぺぺって言うんだ」

 さっき泣いていた女の子が、ぺぺに気づいて近づいてくる。


「……さわってもいい?」

「ぺぺ良いかな?」

「ぺぺ!」

「……ふわふわ」

 女の子が触る様子を見て、ぺぺの周りにどんどん子どもが集まってくる。みんな触りたいらしい。


 ぺぺも嫌がらずにみんなに撫でられている。


「かわいい」

「ふわふわだ」

「ちいさいね」

 

 子どもたちに少しだが笑顔が戻る。

 やはり家の子は可愛いし癒される。


「あれ、このこは?」

「このこもかわいい!!」


 うん?

 家の子は一匹だけのはずだが……。


 子どもたちがぺぺを囲んでいるので、様子が分からない。


「このこももふもふ」

「きゃっ、なめた」

「くすぐったい」


 なめた?まさか……


「ワンちゃんおなまえは?」

「キャン!」

「キャンちゃん?」


「……グリン?」

 

「キャン!」


 名前を呼ぶとグリンが子どもたちの隙間をぬってやって来た。名前を呼ばれて嬉しそうにしっぽを振っている。


「キャン、キャン」

 

 グリン!?お前もかー!!!(良い意味で)


 これで俺のもとには戦力が一匹増えたぞ!

 でも、どうしてグリンが来たんだ?俺の行方不明が伝わったとかかな……。


「グリン、俺を探しにきてくれたのか?」

「キャン!」


 さすがグリン!!ありがたい!!


「……ん?何かグリン背負っているな……」


 何だろう?


 どうやら小さなリュックを背負っている。グリンから外して中を見ると、手紙とアイテム袋が入っていた。


 なになに……。


 スバル様


 こちらのチームでシロチビちゃんを見つけてグリンをスバル様のもとに向かわせたところ、ぺぺがスバル様のピンチのため応援を求めていると伝えて来ました。とりあえずグリンにアイテム袋を持たせスバル様の元に向かわせます。私とスカイもグリンの後を追い、スバル様の近くで待機しておりますので、いつでもお呼びください。

                     エイダン


 ……エイダン、手紙だと冗舌になるタイプだったんだな。だが、おかげで状況か分かったぞ。


 すっかり忘れていたけど、シロチビちゃんが無事に見つかって良かった。


 それで、グリンが一度俺の所に来たんだな。その時俺は倒れていて、ぺぺがグリンに俺のピンチを伝えたと。


 でも、エイダンはどうやってグリンの言葉を読み取ったんだ?


 ……いろいろ気になるけど後にして、とりあえずアイテム袋を確認するか。


 俺はアイテム袋の中身を出してみる。とりあえず全てオープンにしてひっくり返すと、大量の桃とオレンジが出てきた。100個くらいはありそうだ。


 やったーさすがエイダン!!ナイスチョイス。


 これで皆の怪我と体力を回復できる。


「うわぁ、おいしそうなオレンジ!!」

 皆が果物につられて集まってくる。

 

「1人1個、オレンジと桃を食べよう!」

「もも?」

「このピンクの果物だよ」


 俺は皆に伝えると飛び付くように、皆オレンジと桃を取りに来た。そしてがぶりとかぶりつく。


「このオレンジあまい!」

「おいしい!!」

「なんだかげんきがわいてきた!」

 良かった!皆笑顔で果物を食べている。


「スバル!」

 ギランさんに呼ばれる。

「これ、辺境伯で売り出した桃だろう?食べたら傷が治った!ありがとう!それにこっちのオレンジは食べたら元気が出てきたし……これも辺境伯で採れた果物なのか?」


「はい。もうバレてるかもしれませんが、俺が辺境伯と関係があることは内密にお願いします」

 ギルドでいろいろ情報が出回ってたようだ。それに桃出した時点でバレるわな。


「分かった。約束する。でもおかげで俺も元気になった。後、他の冒険者たちもだ。人数は8人で、アイアンランクだが戦力にはなる」

 ギランさんの後にいた8人が頷く。


「それに、チビたちも走るくらいならできそうだ」

 子どもたちも元気になったようだ。良かった。美味しい物を食べると気力もわいてくるから、なんとかなりそうに思えてくるし。


「俺の仲間も近くで待機してくれてるらしいので、これできっとなんとかなります!俺の仲間は激強ですから」


 そう、ぺぺにしろグリンにしろエイダンにしろ1人(一匹) で戦況をひっくり返す力を持っている。


「そうか、じゃあ軽く打ち合わせをしておこう」

 

 ギランさんの言葉に頷くと、俺とギランさんと8人の冒険者で打ち合わせを行った。


「よし、じゃあ、後は時を待つだけだな」

 

 ギランさんの言葉に皆頷くと、静かに待機する。


 ……うまくいきますように。

 


 


 

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