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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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猫探しパート2 5  (シロチビちゃん探し2)


 赤い鳥が止まった白い屋根の家は平民が住む個人の家のようだった。周りを柵で囲まれているが、覗くと確かに軒下に白い猫と子猫が数匹いる。


 ここは正面から訪ねるべきかな。


 俺はノッカーを叩いた。


 トントン


「こんにちわ」

「はーい、どちら様ですか?」

「冒険者ギルドから来ましたスバルと言います。白の子猫を探している件で来ました」

「今、開けますね」


 ドアが開き、若い女性と小さな女の子が出てくる。


「こねこちゃんさがしてるの?」

 女の子が聞いてくる。


 俺はしゃがんで目線を合わせて答えた。

「そうなんだ。孤児院にいた真っ白でオッドアイの子猫がいなくなって探してるんだ」


「オッドアイ?」

「右目が黄色で左目が青色なんだ」

「うちのねこちゃんみんなきいろのおめめだよ。こっちおいで」


 ぐいと子どもに手を引っ張られる。

 俺は若い女性に許可をとると、引っ張られるまま子猫のところに行った。


 女の子は慣れた手つきで赤ちゃん猫を抱えると、俺に見せてくれる。

「ほら、おめめきいろ!」

 確かにどの子猫も黄色だ、しかもどの子猫にも黒い斑点がそれぞれある。この中にはシロチビちゃんはいなさそうだ。


「見せてくれてありがとう。どうやら俺が探してるシロチビちゃんはいないみたい」

「おにいちゃんのこねこちゃんも、はやくみつかるといいね」

 

「ありがとう。そうだ、猫ちゃん見せてくれたお礼にこれ良かったら」

 俺はアイテム袋からルルちゃん作ぺぺのマスコットキーホルダーを渡す。

「かわいい!!おにいちゃんのことおんなじ?」


 俺が抱えているぺぺと見比べている。

「そうだよ。近くのアダムス商会で他のマスコットも売ってるから。また良かったら行ってみて」

「うん!ありがとう!」

 満面の笑顔で手を振る女の子と軽くお辞儀をする女性 にお礼を伝えると、赤い鳥にも礼を伝えて次のシロチビちゃん探しにかかる。


 よし、お礼もできたし宣伝にもなったぞ。近所だし、また行ってくれると良いな。


 次は黄色の鳥が先導してくれる。10分程付いていくと、今度は倉庫の屋根に止まった。


 周囲を一周するが、ぱっと見猫はいない。

「ぺぺ、猫が中にいるか黄色の鳥に聞いてくれるか」

「ぺぺ!」

 ぺぺは黄色の鳥を呼ぶと、「ぺぺ?」「ぺぺぺぺ」と何かやり取りしている。確認できたのかぺぺは俺の方を向くと、こっくり頷いた。


「ぺぺ中にいるってことか?」

「ぺぺ」

 ぺぺが頷いたので、多分中にいるんだろう。でも、困ったぞ勝手に開けるわけにもいかないし……。


 近くの人に誰の倉庫か聞いてみるか。


「あの、すみません。この倉庫の持ち主が誰か知ってますか?」

 近くで畑を耕していた男性に声をかける。

 

「ああ、ここはサム爺の倉庫だ。中でモンスターの解体をしている。今は狩りに行ってるから用があるなら、夕方以降なら多分会えるぞ」

「ありがとうございます」

 ということは、面倒だけど他の子猫が違っていたらまた来るだな。


 黄色の鳥にお礼を言うと、最後の青い鳥に先導してもらい子猫を探す。前世で青い鳥は幸福をもたらすと言われていたな。シロチビちゃんが無事に見つかりますように。


 グリンも来ないからおそらくエイダンチームもまだ探してる最中だろうな。そんなことを考えながら青い鳥に付いていく。20分ほど歩いたけどまだかな……。


 だんだん疲れてくるが、青い鳥は止まらない。それどころかどんどん大通りからそれた裏通りに入っていく。


 俺も日ごろは来ない道だ。

 確かあまり治安が良くないから近付くなと言われていた場所である。

 人気もほとんどなく、なんとなくすれ違う人たちの人相が悪い気がする。


 ……あまり長居はしたくない。


 さっきから、なんだか視線が気になるし。

 トラブルに巻き込まれる前にはやく子猫を確認しなければ。


 どんどん奥に入っていくと、路地の片隅に白猫と子猫がいた。青い鳥も止まったから間違いないだろう。


 白猫は俺を認識すると「シャー」と威嚇の声をあげる。


 ここはぺぺに頼もう。


「ぺぺ、白猫の中にシロチビちゃんがいないか確認してくれるか?」

「ぺぺ!」


 ぺぺは臆することなく白猫に近づく。俺は念の為少し離れたところでぺぺと白猫を見守った。


「ぺぺ……ぺぺぺぺ」


 白猫は警戒しているが、ぺぺが上手に声をかけながら近づく。

 

 ……あと、10歩。


 ……あと、5歩。


 よし!行けた!!


 と思った瞬間、背後から口元を布でふさがれる。しかも、布に薬品が…………。


 そのまま俺の意識はブラックアウトした。

 



 

 

 

 

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