猫探しパート2 3 (ぺぺにお願い)
前回来た時と同じようにシロが孤児院の裏の軒下の布の上に寝転がっていた。その側を子猫がうろうろまとわりついている。子猫は皆ハチワレ猫で、父の遺伝子の強さを感じる。
子猫は大きさもまだ小さい。でも柵などがないために自由に行動はできそうだ。現に子猫の一匹は蝶が気になるのかシロから離れたところで遊んでいる。
「ぺぺ、いけるか?」
ぺぺはこくりと頷くと大きく息を吸った。
「ぺぺーーー!!」
ぺぺが大声を出すので、シロや子猫がびっくりしている。子猫がシロのもとに集まり、シロがぺぺにシャーと威嚇の声をあげるので、慌ててスカイがシロをなだめに駆け寄る。
……場所を考えれば良かったな。
でも、やってしまったものは仕方がない。
バサバサバサ バサッ バサッ
みるみるうちに、空からたくさんの鳥たちがぺぺの周りに集まって来た。
「ぺーぺぺ、ぺぺ?」
「チュンチュン」
「ポッポ」
「カー」
「ペーペぺ?」
「クルックー」
「カーカー」
前回と同様にぺぺを中心に鳥同士で謎の会議をしているように見える。話がついたのかぺぺが頭を下げると集まっていた鳥たちが一斉にどこかに飛び去って行った。
「ぺぺ何か分かったか?」
ぺぺは珍しく困った顔をしている。
「ぺぺ……」
もしかして、見つからなかったか、亡くなっていたか。最悪の事態も頭をよぎるがとにかく、どうにかしてぺぺから情報を引き出さないと。
こういう時はスカイだな。
「スカイ、ぺぺに聞いてみてくれるか?」
「キュウ!」
「キュキュ」「ぺぺ」「キュキュキュウ?」「ぺぺぺぺ」「キュウキュキュ」「ぺぺ、ぺぺぺぺ」
どうやらぺぺからの聞き取りが終わったらしい。スカイが俺の方に来るがどことなくぺぺと同じく困った顔をしているように見える。
「スカイ、前回と同じで当てはまっていたら◯をしてくれるか?」
「キュウ!」
とりあえず、聞くだけ聞いてみよう。
「シロチビちゃんは見つかった」
スカイを見ると微妙な表情をして、頭をかしげている。これは……難しい。どう判断したら良いんだ?
「見つかってない」
またもスカイは頭をかしげる。
これは、読み解く俺が難しい。
見つかったでもなく見つからなかったでもない……つまり……。
「分からない?」
スカイは大きな◯を作った。
よし!一歩進んだぞ、次は……ってこれ、質問するだけで日が暮れそうだな。
他に何か良い手は……。
そうか、前回と同じ手は使えないかな。
「ぺぺ、シロチビちゃんの居場所を知っている鳥たちに案内してもらうことはできるか?」
前回のメーシープ方式を採ろう。
「ぺぺ!」
ぺぺは大きく頷くと、大きな声で再び叫んだ。
「ぺぺ―――!!」
「シャー」
またシロに威嚇される。……すまないシロ。
ぺぺのもとに再び鳥たちが集合した。
「ぺぺ、ぺぺぺぺ、ぺぺ」
ぺぺが声をかけると、6羽その場に留まり、それ以外は空へ飛んでいった。
「ぺぺ、この6羽が案内してくれるのか?」
「ぺぺ!」
つまり、シロチビちゃんがいるかもしれない場所が6ヶ所あるってことだな。
……6ヶ所か。さすがに一人じゃ回りきれないかもな。
「2チームに分かて探そう。シロチビちゃんとのコンタクトもいるだろうから、俺、ぺぺチームとエイダン、スカイ、グリンチームに分かれよう」
ぺぺがいればエイダンがいなくとも俺の安全を確保できるだろう。それにぺぺとスカイがシロチビちゃんとコンタクトを取ってもらえれば、逃げられる心配も無いしな。
「ぺぺ、鳥たちを3羽ずつに分けて、片方はスカイの指示に従うように伝えてくれるか?」
「ぺぺ!」
さっそくぺぺは鳥たちを3羽ずつに分ける。赤、青、黄色組と青、白、緑組に分かれた。こちらの鳥は色あざやかである。鳴き声は前世の鳥たちに似ているけど。逆に前世でよく見かけた黒い鳥は今のところぺぺ以外は見たことがない。
「グリンは連絡役だ。エイダンチームでシロチビちゃんが見つかったら、俺のところまで伝えに来てくれ」
「キャン!」
グリンは尻尾を振ってやる気満々である。
これもグリンの特性の一つで、鼻が利くのか俺とどんなに遠く離れても、俺を見つけることができる。冒険中もちょくちょく離れて遠くのモンスターを狩ってくるが、呼べば何分もかからないうちにいつも戻って来ていた。どれだけ離れても有効かは分からないから、それを確認するのにもちょうど良いだろう。
「全て確認できたら、孤児院に集合で」
6ヶ所のうちどこかにシロチビちゃんがいますように……。
「エイダン、そっちは頼んだぞ」
エイダンはこくりと頷いた。
「それじゃあ、シロチビちゃん探しに行くぞ!!」
「キュウ!」「ぺぺ」「キャン」こくり
あれ?そういえば俺、今日はのんびりできる依頼を引き受けたはずじゃあ……。ま、シロチビちゃんの無事には代えられないから、頑張るか!