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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第ニ章 新たな世界へ
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猫探しパート2 2 (シロチビちゃん情報)



 院長先生について入ると、今は勉強の時間らしくみんな静かに席について先生の話を聞いていた。


 リーン リーン


 ちょうど鈴の音が鳴り、休み時間となる。


「あっ、スバル!!」

 レオが目敏く俺を見つけてとんでくる。

 

「俺、今日も昼からスライム退治に行くんだぜ」

 どうやらスライムジェルそのものも、孤児院の皆で手に入れて、形作りをしているらしい。

「気をつけて行けよ」

「分かってる、卒業生の兄ちゃんと一緒に行くから心配ねーよ」

 

 これも孤児院ならではで、孤児院の卒業生で冒険者になった人物が持ち回りで定期的にガイド役を引き受けているらしい。気軽になれる冒険者に孤児院卒業後なる生徒も多いため、人手には困らずに行えていると言っていた。

 

「なーなー俺にもリュックくれよ!カッコいいやつ!」

 俺がルルちゃんにリュックをプレゼントしたと知ってからはこうしておねだりをよくしてくる。

 

「駄目だよ。自分の力でお金をためて買うんだね」

「ちぇっ」

 ちなみに、孤児院にいる他の人魚族の子にもリュックはプレゼントした。ただし一つだけだが。困ってるのはどの子も同じ、ひいきはあまりよくないもんな。


 でも、リュックか。

 結構俺もお金が貯まったし、慈善事業で卒業生に寄付するのもいいかもな。


 そう、桃の収入だけで数年遊んで暮らせる額を稼いでいるし、リュックの提案者として毎月定額結構な額が振り込まれているので正直お金には困っていない。いざというときのために残すのも必要だが、このまま貯め続けてもしょうがないから、慈善事業を行うのも良いかもな。


 前世でもランドセルを寄付する活動があったし。

 ただ、今はランドルフさんも手一杯だろうから、もう少し落ち着いてから相談してみよう。


「スバルくん、こちらです」

 レオに気を取られて、肝心の依頼のことを忘れていた。

「レオまたな!」

「おう!」

 俺はレオと別れると院長先生の下へ向かう。院長先生は6歳くらいの女の子と一緒にいた。


 ちょくちょく孤児院に来るけれど会ったことが無い子だな。全員ではないが大体顔が分かるようになって来たから、新しく入った子かもしれない。


「こちらエルセです。一ヶ月ほど前に家に来た子で猫の面倒をよくみてくれるので、シロも気を許している子になります」

 エルセちゃんは、恥ずかしいのか院長先生の服を掴みもじもじしている。


 俺はかがんでエルセちゃんと目線を合わせて声をかけた。 

「はじめまして、冒険者のスバルです。今日は猫探しの依頼で来ました。あと、テイムモンスターがいるので紹介しても良いかな?」


 エルセちゃんの目線がさっきからスカイ達に釘付けである。


 行け!俺のテイムモンスター!その可愛さでエルセちゃんの緊張をとくんだ!!


 エルセちゃんは目を輝かせて頷く。やはり動物が好きらしい。


「スカイとぺぺとグリンだ。よろしく」

「キュウ!」「ぺぺ!」「キャン!」

 

「……さわってもいい?」

「スカイ、ぺぺ、グリン良いかな?」

「キュウ!」「ぺぺ!」「キャン!」


 3匹はエルセちゃんに撫でてもらって嬉しそうにしている。エルセちゃんは緊張がとけたのか、俺に笑顔を見せてくれた。


「かわいい!!……わたしもねこちゃんのおせわをしてるんだけどこねこが1ぴきどこかにいっちゃったの」

「そうか……お兄ちゃんはそのネコちゃんを探そうと思ってるんだけど、子猫の特徴といついなくなったか教えてくれる?」

 

「……うん。こねこはシロチビちゃんで、まっしろでふわふわのこなの。3かくらいまえにあさまではシロといっしょにいたんだけど、ひるにみにいったらいなくて、またかえってくるかなとおもっていたら、けっきょくそれからかえってきてないの」

 

「そうか……シロチビちゃん白い毛の他に何か特徴がある?」

 

 エルセちゃんは少し考え込んでから答えた。

「……めのいろがかたっぽずつちがうの。みぎがきいろで、ひだりがあおいろ」

 いわゆるオッドアイか。白いチビ猫でオッドアイ、この特徴でぺぺに探してもらおう。


「ありがとう。今の大きさは他の子猫と一緒?」

 エルセちゃんは、頷く。

 

「うん。……シロチビちゃんまでおにいちゃんみたいにいなくなったらどうしよう……」

 エルセちゃんの瞳に大粒の涙が浮かぶ。


 お兄ちゃん……ここに来たからには何か理由があるんだろうけど……。とにかく今は慰めるのが先だな。行け!俺のテイムモンスター!


 という前に、3匹がエルセちゃんに寄り添っている。俺よりスマートでジェントルマンである。


「……キュウ」「ぺぺ」「クーン」


 グリンがペロペロエルセちゃんを舐めている。エルセちゃんも涙を引っ込めて3匹を抱える。

「くすぐったい」


「エルセちゃん、お兄ちゃんができるだけシロチビちゃんを探してみる」

 できない約束はしてはいけない。絶対にと言えないのが辛いところだ。


「さあ、授業が始まりますよ。エルセ、3匹をスバルくんに返してあげて」

 院長先生が絶妙なタイミングで声をかける。

「うん……おにいちゃん、よろしくおねがいします」

 エルセちゃんは、丁寧に頭を下げると教室に戻って行った。


 リーン リーン


 ちょうど授業開始の鈴が鳴る。


「……あの子は兄と2人で暮らしていたようなのですが、そのお兄さんが帰ってこなくて、ここに来たんです」

「お兄さんはなぜ?」

「……分かりません。冒険者をしていたらしいので、冒険中事故に巻き込まれたか、考えたくはありませんがあの子を捨ててもっと稼げる都会に行ったのか……」


 ……家庭の事情は分からないからな。でも、それなら余計にシロチビは見つけてやりたい。

 

「とりあえずシロと他の子猫を見に行っても良いですか?」

「ええ、私はこれで失礼します。孤児院内は自由に探していただいて大丈夫です。よろしくお願いします」


 まずはシロの所に行ってみよう。頼むぞ、ぺぺ! 


 


 


 

 



 

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