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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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キャンプに行こう 13(ゴブリン討伐の報酬)


 一泊二日から二泊三日へと延びたキャンプを無事に終え、冒険者ギルドに戻ってきた。


 あっという間の三日間だったけど、本当にいろんな意味で濃い三日間になった。あんなこと……こんなこともあったし……。


 思い出そうとするとなぜか酷く頭が痛む……なぜだろう。ただ考えるなとどこかで声がする。


「おかえりなさい」

 受付にいたオリビアさんが笑顔で出迎えてくれた。


「「「「「「帰りました」」」」」

「キュウ」「ぺぺ」「キャン」

 

 俺達は元気に挨拶する。今日は朝キャンプ地を出て途中ツノウサギとスライム討伐をしたくらいで、特に大きなこともなく戻って来れていた。


「チームセブンの皆様、ギルド長がお待ちです。2階へどうぞ」


 ギルド長の所へ案内されるのも毎回になってきたな……。でも、今回はやらかしてないはずだが……。


 オリビアさんが2階のギルド長室のドアを開けるとギルド長が待っていた。


「おう、帰ってきたな」

 

「……今回はなんで呼ばれたんでしょう?」

「なんでって、ゴブリンの集落の件に決まってるだろう」

「はあ」

 ゴブリンはアイアンランクでも倒せるモンスターなのになぜ、ギルド長から話があるんだ?


「分かってないって顔してんな。ジェーン、さてはこいつらに言ってないな?」

 ジェーンさんを見ると無言でニコニコしている。

 

「……どういうことですか?」

「ゴブリンは単体だとそんなに力もない、アイアンランクでも倒せるモンスターだ。でもな、集落ができると組織的な攻撃をしてくるため、侮れない相手に変わる。おまけにキングまでいるとなると、基本依頼はシルバーランクに頼む案件だ」


「シルバーランク!?」

 ジェーンさん、全く聞いていませんが。


「今回はジェーンが通信球で前もって各所に連絡と許可をとった上での討伐だから問題はないが、お前らアイアンランクにしてはぶっ飛んでんだぞ。自覚しろ自覚を」

 

 まあ、戦力だけでいうとワイバーンを討伐できるくらいだからな。でも、別に強い敵と戦いたいわけじゃありません。いつも成り行き……というかガイドのジェーンさんの指示に従ったら倒す羽目になっただけで……ってあれこれってガイドのジェーンさんに問題があるんじゃ……。


「ジェーンさん!!」


「良い経験になったはずです。これなら初心者ガイドを安心して終えられます」


 そうか、もうずいぶんいろいろなことを教わったし、初心者ガイドも終わりになるのか。


 なんだか全員がしんみりしてしまった。明日からはジェーンさんはいないんだな……。


「ゴールドランクのガイドなんて多分今回が最初で最後だろうからな。しっかりお礼を言っとけよ」


「ありがとうございました!」

「「「「ありがとうございました!」」」」

「キュウ!」「ぺぺ!」「キャン!」こくり

 全員でお礼を伝える。


「私も楽しかったです。また、機会があれば一緒に依頼を受けましょう」


「「「「「はい!」」」」」


「あと、ギルドとしてもゴブリンの集落の討伐は一刻を争う緊急案件だからな。討伐してくれて本当に助かった。そこでだ、お前達初心者にしては実力は申し分ないから俺の一存でブロンズランクに上げることもできるがどうする?」


 初心者から一気にブロンズランクか……正直あまり気は進まない。


「アイアンランクとブロンズランクの違いってなんですか?」

 ケインが尋ねる。


「単純に受けられる依頼の種類が増えること、あと依頼によっては報酬が増えることだな」


 でも、俺達まだアイアンランクの依頼もやったことがない依頼がたくさんあるしな……。


「普通に依頼を引き受けていたら、どのくらいでブロンズランクになれるんだ?」

 今度はハイドが聞く。 


「チームによるが、平均すると1年くらいだな。ただ、俺の承認がいるから、誰もが上がれるわけじゃないが」

 1年経っても実力がないと判定されると、アイアンランクのままってことか。


「……うちのチームは各個人の能力値は高いけど、チームとしては活動したばかりだから、もうしばらくはアイアンランクのままいきたいけどどうかな」

 

 姉、フェレナ、エイダンは下手すると個人でシルバーランクくらいになりそうだが、チームはまだ初心者の域を出ないからな。


「いいわよ」

「はい」

「俺もそれがいい」

「僕もです」

 

 エイダンもこくりと頷き、テイムモンスター達も飛び跳ねているから全員の意見として決めても良さそうだな。


「もうしばらくアイアンランクでいこうと思います」


 その言葉にギルド長は大きく頷いた。

 

「分かった、またランクを上げたくなったら声をかけてくれ。それじゃあ後はオリビアからゴブリンの集落討伐についての説明があるからそれを聞いたら帰ってかまわん」


 俺達はギルド長の部屋を出て、ミーティングルームに移動した。 


「ジェーン様、チームセブンの皆様ゴブリンの集落の討伐本当にありがとうございます」

「たまたま見つけただけよ」

 代表してジェーンさんが答える。

「いえ、早く見つけていただいたおかげで人族への被害も無かったと伺っています。念のためこちらのギルドから調査員を派遣しますので、後で場所を教えていただけますか?」

「分かったわ」

「ありがとうございます」

 

「ゴブリンの集落って珍しいんですか?」

「数年に一度くらいのペースでできるのですが、いつできるかが予測がつかないことと、中層にできることが多いため発見が遅れるとアイアンランクの冒険者が犠牲になることが多いんです。ですので見つけ次第、ギルドの緊急依頼としてシルバーランク以上のチームに依頼をかけることになっています」


 なるほどな。緊急依頼もあるのか。

「緊急依頼はアイアンランクでもあるんですか?」

 

「いいえ、緊急依頼は難易度が高い依頼が多いので基本シルバーランク以上のチームに依頼をかけます。たまに例外もあり、ブロンズランクのチームに依頼することもありますがアイアンランクのチームはありません」


 やっぱりブロンズランクの話断って良かったな。


「今回の件も本来ならギルドからの緊急依頼案件ですから、ギルドからも報奨金がでます。そちらも受け取ってお帰りください」


 やったー!!お金が手に入るぞ。


「それからゴブリンの討伐証明と、採取物の買い取りも行いますので受付へご移動ください」


 いったいどれくらいの額になるのか……。恐らく今日も食堂で打ち上げだな。


 


 


 

 


 

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