キャンプに行こう 12 (アンラッキースケベ)
無事に?肉祭りも終わり、やって来ました。湖に。
無事か無事じゃなかったかと言われると……。
生きているので一応無事です。
さすがの俺も学習し、昨日の今日で湖には来たくなかったんですが、ゴブリンの汚れと、肉祭りの汚れで体がえらいことになってるので必要に迫られて仕方なくです。はい。
とにかく湖に飛び込んだ後は女性陣と距離をとる。
「スバル、競争しようぜ!」
「いや、俺は今回はやめとく」
とにかく無難に過ごすべきだ。
「良いわね」
「やりましょう!」
「私は陸から応援しますね」
女性陣にも伝わり、やる気モードである。
「スバル、あんたスタートとゴールの指示をしなさい」
「はい、了解しました」
姉に指示を出され、俺は水の中で待機することになる。
1レーン 姉 2レーン フェレナ 3レーン ハイド 4レーン ケイン 5レーン スカイ&ぺぺ&グレン
これ以上は一緒に泳げないのでエイダンは今回は陸から着順を見る係りに任命した。たとえ0.1秒差でも、エイダンならきちんと見極められそうだしな。
ちなみにテイムモンスターチームはスカイの上にグレンが乗り、その上にぺぺが乗る合体技で泳ぐらしい……。上の重さの分遅くなりそうだけど、本人達がやる気なので温かく見守ることにする。
コースは湖一周。ゴールにいる俺を最初に抜いた人が優勝だ。
今回は珍しくケインが参加している。人魚族の実力やいかに!?
「……位置について……よーいドン」
俺の声を合図に全員一斉にスタートする。
ケイン速い!!よく見ると足が人魚のヒレみたいになっている。ダントツ1位でゴール!!
姉、フェレナ、ハイドは接戦である。スカイ達は、のんびり泳いでいる。可愛いから許す!!
さ、次にゴールするのは誰だ!!
姉かフェレナかハイドか。
これは僅差になりそうだ。どんどん3人がゴールの俺めがけて迫ってくる。
いや、なんか近くない?
当たる、当たる。
ドーン!!
逃げる暇もなく、誰かが俺にぶつかった。
ムニュ
手が何かを掴む。
何かって…………なに?
自分の手が掴む物を見て、俺は真っ青になった。
目の前にはフェレナが俯いている。
いや、今のは不可抗力です。
むしろ、そっちが……
「……スバル様」
イヤ――――!!
絹を裂くような悲鳴が辺りに響いた。
「2位ステファニー様、3位ハイド、4位フェレナ、5位スカイ&ぺぺ&グレンです」
エイダンは淡々と結果を呟いた。
「特別賞はスカイ&ぺぺ&グレンチームね!可愛さ100点です!」
ジェーンさんから3匹に美味しいお菓子が授与された。
「キュウ」「ぺぺ」「キャン」
3匹は大喜びである。
その日スバルの姿を見た者は誰もいなかった。
楽しかった?キャンプも今日こそ終わりである。
昨日の夜?
湖?
何があったか……思い出せない。
きっと思い出すことを脳が拒否しているんだと思う。
ゴブリンを火葬をしてくれたチームにも挨拶すると、テントを片付ける。……もう、やり残したことはないな。
「スバル、そういや昨日拾ったキノコジェーンさんに聞いてみたか?」
ハイドに言われてピンクのキノコのことを思い出す。いろいろあって、すっかり忘れていた。
「ジェーンさん、今大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。どうしましたか?」
「実は……」
俺はジェーンさんにピンクのキノコを見せる。
「……これはピンクキノコですね」
「ピンクキノコ?」
そのまんまである。
「はい。とても珍しいキノコで、高額な値段で取引されていますよ。よく見つけましたね」
高額!!よし、採っていて良かった。
「実はグリンが見つけたんです」
やっぱりグリンはかなり賢そうだぞ。
「……そうですか。モンスターだからこそ滋養強壮に良い物を知ってるのかもしれませんね」
滋養強壮?スカイのオレンジみたいな効果があるのかな。
「どんな効果があるんですか?」
「精力増強剤の材料になります。いわゆる男性が夜飲むお薬ですね」
……姉やフェレナの前で聞かなくて良かった。
とにかく早く売り払おう。
「あら、スバル何を持ってるの?」
ヤバい。姉に見つかった。
「また、どぎつい色のキノコですね」
フェレナもやって来る。
「ジェーンさん、そのキノコ食べられるんですか?」
「ええ、私は食べたことがありませんが美味しいと聞いています」
「じゃあ、食べてみたい!」
「生でも食べられますか?」
「確か食べられたはずです」
「ジェーンさん……女性に効果は?」
「私もよく知らないんです」
よく知らないんですじゃないでしょ!!
このキノコ食べさせたら確実に後で殺られる。
でもキノコの効果を言っても殺られる可能性がある。
どっちだ。どっちが正解なんだ。
さて、俺はどちらを選んだかはご想像にお任せします。