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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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キャンプに行こう 8(ゴブリン討伐)


 「…………いた」

 

 俺は胸をドキドキさせながら木の上に登っていた。


 目の前にゴブリンの集落がある。初めて見るゴブリンはやはり前世のゲーム世界で見たものと似ており、緑の二足歩行のモンスターだった。ほとんどのゴブリンは手には棍棒を持っているが、中には弓を持っているゴブリンアーチャーや、杖を持っているゴブリンメイジも見える。


 そして何より威圧感を感じるのは奥にいる他のゴブリンよりも一回り大きなゴブリンだろう。ガタイもよく手には剣め持っている。


 あれがゴブリンキングかな……。

 

 俺はゴクリと唾を飲み込んだ。


 ゲームと実際はやはり違う。どことなくすえた臭いが漂っており、そして緊張しているせいか空気も重く感じる。


 ゴブリンはキングがいるため統制がとれており、集落を囲むように見回りを行っている。


 今回の作戦は作戦と呼べるほどのものではない。女性陣3人が突っ込む。逃げたやつらを木の上から攻撃する。以上である。


 俺は戦力外のためシールドを張って待機予定だ。


 女性陣はワイバーンを倒せる戦力を持っているため大丈夫だと思うが、万が一もあるから油断はできない。


 他の木に登っているハイドとケイン、エイダンにもアイコンタクトをとる。


 全員が配置につき、頷いたのを確認すると、下で待機している女性陣にも手で合図を行った。


 一瞬の後、3人の女性がゴブリンを襲撃する。


 速い!!


 見る見る間に、ゴブリンを討ち取っていく。


 姉は槍で一突き。

 フェレナは剣で一閃。

 ジェーンさんは杖にサンダーの魔法をまとわせ、殴り倒している。可憐な見た目のわりにワイルドな戦い方である。

 

 襲撃に気付いたキングがゴブリン全員を3人の元へ向かわせるが、3人に近づいた瞬間にどんどん、討ち取られていく。

 

 ゴブリンアーチャーやメイジが構える暇も与えず、瞬殺し、死体の山ができていった。


 正直グロい。

 

 見慣れていない俺には結構キツい光景が広がっていた。殺らなければ殺られる世界だから仕方がないのだが、血が飛び散り、断末魔が聞こえる殺戮風景はやはりしんどい。


 そして焦ったキング本人が向かってくる。


 キングは宣言通り、ジェーンさんが相手をする。

 

 といってもワイバーンの時のように大魔法を使うわけではなく、他のゴブリンと同じように杖でゴブリンキングの頭を殴るとそのままゴブリンキングは感電し、ドーンという音とともに倒れそのまま動かなくなった。


「……終わりました」


 キングを失ったゴブリンたちは統制を失い、敵から逃げるべく四方へ蜘蛛の子を散らすように逃げていく。


 ここからだな。


 全てを倒す必要は無いらしいが、出来るだけ数を減らす方が良いらしい。 


 ハイドが弓を、ケインはウォーターカッターの魔法を放つ。全てがあたらないが、それでも数体に命中し、ゴブリンはその場に倒れていった。


 エイダンは何をしているのかよく分からないが、エイダンの木の下にゴブリンの死体の山ができていく。

 

 俺の方へも来るが、ぺぺが頭を蹴り飛ばし、一撃で仕留めていく。


 逃げおおせたゴブリンもいるだろうが、俺の視界からは生きているゴブリンは一体も見えなくなった。


 全員に合図をおくり、ジェーンさんのもとへと集まった。


「無事に討伐成功しましたね」

「「「「はい!」」」」

 死屍累々、足の踏み場に困るほど、ゴブリンの死体が転がっている。


「では、次にすることは何でしょう?」

 

「討伐証明の右耳の剥ぎ取りですか?」

 ケインが答える。

「その通りです」


 ……これだけたくさんのゴブリンの右耳を剥ぎ取るのか……。しかも耳。考えただけでゲロが出そうだが、避けては通れないもんな。

 

「採取物は何でしょう」

 フェレナも確認する。確かゴブリンによって異なると書いてあったな。

 

「ゴブリンの身に付けている物や所持している物になります。基本は武器ですが、アクセサリーなどを所持している場合もあります」

 

「ゴブリンの種類によって値段は異なりますか?」

 今度はハイドが聞く。確かに、ゴブリンアーチャーやゴブリンメイジなどもいたな。ただ、見た目は一緒だったけど。


「キング以外は一律同じです。アーチャーやメイジは所持している弓や杖が他のゴブリンより高く買い取ってもらえるくらいです」

 なるほど。


「後は死体はそのままにしておくと、アンデッド化したり、腐敗臭で立ち入れなくなったりするので必ず処理が必要になります。だから、一つところに集めて火葬するのが一般的ですね」

 アンデッドは嫌だ。でも、これだけたくさんの死体を集めるのは日が暮れそうだぞ。


「今回は数が多そうなので昨日キャンプで一緒になった一グループに応援を頼んでいます。火魔法使いもいらっしゃったので、火葬もお願いできると思います」


 と言っていたら、昨日キャンプで一緒になったグループが到着した。メンバーは4人らしい。男性2人女性2人の大人のチームである。


「……こいつははまた派手にやったな」

「……すごいです」

「さすがワイバーンを倒したアイアンランクが……」

「……数がすごいですね」


 ジェーンさんが近寄り説明する。

「来ていただきありがとうございます。今から耳の剥ぎ取りと採取物拾い、死体の移動を行います。今朝説明した通り取った耳や採取物はそのままご自身の報酬にしてください」


「俺たちは倒してないが良いのか?」

「これだけ数かあると私達だけでは難しいので構いません。それと最後の火葬をお願いしたいのですが良いでしょうか?」

「それも構わない」

「では、手分けしてはじめましょう。ステファニーさんとフェレナさんは私と一緒に村の中に生存者がいないかの確認を最初にお願いします」


 ジェーンさんの言葉にはっとする。人が捕まえられていることもあるのか……。女性がひどい目にあっていないことを祈ろう。


「では、死体は村の中央へお願いします」


 さて、気はすすまないけどやるしかないな。

 


  

  


  

 

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