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安心安全✕テイマーはじめました  作者: 国先 昂
第一章 新しい世界で何をする?
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キャンプに行こう 6(肉祭り)


 いろいろあったが無事に水を汲み終え、キャンプ地に戻ってきた。キャンプ地はさっきまでは、俺達だけだったが今は何グループか同じようにテントを立てている。


「「おかえり」」


 ハイドとケインが先に帰っており迎えてくれた。


「ジェーン先生は?」


「……あっちでステファニーさんとフェレナさんと焼肉の準備をしています」


 ケインが苦笑しながら答える。なぜ苦笑?と思いながら見ると3人で無心に肉を棒に刺していた。既に山のような肉山が出来上がっており、周りからも遠巻きに注目されている。(……ドン引きの間違いかもしれないが)


「……あれ、どうするんだろう……?」

「もちろん、食べるんだよ」

 ハイドは嬉しそうに話す。


 ……いやいや、無理じゃね?


 既に俺の身長超えてない?


「……余れば、お裾分けしても良いですしね」

 

 確かに、あそこでああやって陣取られていると、他のグループはやりづらいだろう。迷惑料として、夕食に誘うのも有りだな。


「とりあえず、帰ったことを言ってくる」


 俺は姉達のところに向かった。


「あら、スバル帰ってたの?」

 姉が気づき声をかけてくる。


「「おかえりなさい」」

 ジェーン先生とフェレナもこちらを見て声をかけてきた。


「……そろそろいいんじゃない?」

 俺は恐る恐る聞いてみる。なんでこんなに大量に作ってるか分からないしな。


「……あら、もうこんなにできてた?」

「無心でやってると気付かないものですね」

「ええ、これだけあれば十分ですね」

 いやいやいや。気付かないことなんてある?


「これだけ大量だから、今日ここで一緒にキャンプする他のグループを誘ってもいいですか?」


「いいわよ。さすがにこの量は私たちだけじゃ食べきれないだろうし」

 姉が答える。

 

「……でも、足りますかね?」

 ……フェレナ。どう考えても足りるだろう。


「念の為、残りも準備しておきますか?あと三十分もあればできそうですし」

 ジェーン先生……あなたもですか。


「そうですね。じゃあ、やっちゃいましょう」


 そう言うと、また3人は無言で肉を串に刺す作業にうつる。どんだけ食べるつもりなんだろう……。


 とりあえず、周りのグループにリーダーとして、謝罪がてら夕食のお誘いをしてみよう。


 というわけで夜になり、キャンプ地にいる全員でツノウサギ大肉祭りを行うことになった。キャンプ地には他に3グループが来ており、どのグループも二つ返事で肉祭り参加をオッケーしてくれた。


 ちなみに3グループともブロンズランクらしい。初心者の森といえども中層以降は敵が強くなるから、アイアンランクのグループは日帰りが多いらしい。またキャンプ道具を揃えるのもお金がかかるからとも言っていた。


 たくさんの鍋テーブルをずらりと並べその上に網を置き、肉を焼く。肉の焼ける良い匂いがしてきた。


「それでは皆さん、今日もお疲れ様でした!今日の出会いに感謝し、肉祭りを始めましょう!さ、食べてください」


 俺のかけ声で、皆一斉に持っていた肉にかぶりつく。


 美味い!!


 噛むと口の中に肉汁が溢れてくる。血の臭いも全くない。さすが、解体を極めただけはある

 

「美味い!」

「美味しい!」


 周りの皆も笑顔で肉にかぶりつく。

 良かった。


 とれたての肉はやっぱり美味い!!


「おかわりもあるんで、遠慮せず食べてください」


 そう。結局あの後3人はもう一山肉の山を作り上げていた。


 ……食べきれるかな。


 そう思っていた時も、ありました。


 俺やケイン、エイダン、スカイとぺぺ、他のグループの人達が腹いっぱいになった後も姉とフェレナ、ジェーン先生、ハイドは無心で食べていた。


 他のグループは俺達にお礼を告げ、既に各々のテントに戻っている。


 ついにハイドが脱落した。

「あ――食った食った!もうこれ以上入らねー!!」

 ハイドのお腹はぽっこりしている。

 

 姉とフェレナジェーン先生も俺の倍以上食べているのに、お腹のどこに肉が入っていっているのか分からない。


 人体の不思議。

 

 なぜ、太らないのか……それともごまかしてるだけで実は……。


「スバル」「スバル様」「スバルさん」

 姉とフェレナ、ジェーン先生の笑顔が怖い。

 女性に年齢と体重は禁句だな。


「いや、何でもないよ。……そう言えばジェーン先生に聞きたいことがあるんですが」

「なんでしょう?」

 ……よし、なんとかごまかせたな。


「実は緑の犬を見かけたんです」

「緑の犬ですか……」

「はい」

 ジェーン先生は肉を食べながら、少し考え込むと答えた。


「おそらく、コボルトの変異種ではないでしょうか」


「コボルト?」


「はい、初心者の森の上層に生息しているモンスターです。子供は犬のようの形をしていますが、成長すると二足歩行に変わります。色は基本的には白ですが、何らかの原因で緑になったのでしょう。コボルトは母性本能が強めなため、子供は洞窟から出て来ないことが多いんですが、はぐれたか、排除されたかで、恐らく中層まで出てきたのではないでしょうか」


 あいつ変異種だったんだな。


「変異種は強くなることが多いため、討伐対象です」


 やっぱり。助けたのはまずかったかな。


「とはいえ、まだ子供ですし、被害に誰もあっていないため問題にはなりません。ただ、無闇にモンスターを助けると後々トラブルにもなりかねませんから以後気をつけてください」


「はい」「キュウ」「ぺぺ」こくり


 俺達は素直に頷いた。


 次に会った時、成長してこちらに敵対していたらきっと倒すしかない。でも、せっかく助けたから大きくなってもほしい。


 俺は矛盾した思いを抱きながら、緑の犬のことを考えていた。


 そうこうするうちに、3人も食べ終えたらしい。……というか、肉がもう一本も残っていない。


「満足!」

「美味しかったです!」

「そうですね」

 3人のお腹を見るがやはり膨れていない。不思議だ。


「……スバルどこ見てるの?」

「女性のお腹を見るなんて……」

「教育的指導が必要ですね」


 えっ?

 これは、ヤバい……。


 気付いた時には俺の前に3人が立っていた。

 皆貼り付いたような笑顔を浮かべている。


「……いや、何も、何もしてないよ!」


 そして俺は3人に連れられていった。


 どうなったかは……ご想像にお任せします。 


 

 


 


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