プロローグ1
初めて投稿します。豆腐メンタルですが、毎日投稿を目標に掲載予定です。よろしくお願いします。
今日は最悪な1日だった。
朝から鳥のふんが空から降ってきて頭に直撃。
抜き打ちの数学のテストはボロボロ。
昼休みの学食は焼きそばパン争奪戦に敗れ。
今現在犬の✕✕✕を踏んづけている。
「俺ってなんて不幸なんだーーー」
「急に叫ぶなよ、うるさい奴だな」
隣を歩く、双子の弟、叶大が冷静に指摘する。
「お前には分からんよ、お前には」
俺の名前は紫藤昴。ピチピチの高校1年生だ。そして隣を歩く双子の弟の名前は紫藤叶大。
こいつが本当にいけ好かない奴で、とにかくモテる。身長180センチ、サッカー部エース。両親ともに日本人なはずなのに、曾祖父ちゃんがアメリカ人だった遺伝子をなぜか受け継ぎ、モデルのような顔と体型。成績も良くいつも10番以内に入っている。
一方の俺は、両親の遺伝子をふんだんなく受け継ぎ、身長170センチThe日本人体型、顔も10人並み。同じくサッカー部に所属しているが、いつもベンチを温めている。成績も平凡。
二卵性の双子のせいかまったくと言っていいほど似ていない。
けど、お互い気楽に過ごせるからか、だいたいいつも一緒に過ごすことが多い。今日は久々の部活のオフで、遊びに来たのはいいが、さっそくの犬の✕✕✕事件でテンションだだ下がりである。
「あーあ、何か良いことねーかなー。今日はうんがついてるはず」
「何馬鹿なこと言ってんだ、早く行くぞ」
「はいはい、あーあ」
横断歩道を渡り始める。目的地のショップまではもうすぐだ。
「…………叶大!!!」
「…………うん?」
信号無視の大型トラックが目の前に迫る。やべーもう間に合わない。
ドーン キキー――
あたりに響く大音響。
「…………叶大」
目の前に倒れる血だらけの弟。きっと俺も……
「…………やっぱ………………つい……て……ね……え…………………」
目の前が暗転した。
真っ暗な空間が広がっている。
誰もいない。俺一人だけだ。
そういや、俺さっきトラックにひかれたんだっけ。
ということはここは死後の世界。
俺どうなるんだろう。
叶大は助かってるといいけど。
「あの…………」
「うわぁ、いきなり誰だよ!」
目の前に光が表れる。
「私、あなたの世界では死神と呼ばれるものですが」
「おおっと、そういう奴か」
光がピカピカ光りながら言葉を発する。
「で、俺どうなるの?天国に行かせてもらえるとありがたいんだが」
「すみません。他の世界がたった今滅びた関係で、天国どころか、どこもかしこも満員状態なんです」
「えーっと、じゃあ、俺どうなるの?」
何かヤバいワードが含まれてた気がするが、スルーして今後について聞いてみる。我が身が一番大切だ。
「よくぞ聞いてくれました!!今なら待機時間0で、別の世界に転生できます!」
「…………トラ転か!!」
「はい!今なら多少のチートもお付けできます!なんてお得!!…………早く転生してもらわないと後がつかえてるのよね」
某テレフォンショッピングのオペレーターのような一言。その後の本音ダダ漏れ発言……だが、異世界転生は俺の憧れでもある。あれは小学生のとき…………って回想してる場合ではない。
でも待てよ。日本という平和な国でぬくぬく育った俺が、異世界で俺強え―出来るだろうか。いや出来ない。
「…………やっぱ日本じゃだめっすか?」
「それが、待機時間0のため、同じ国は選べないんです。ややこしくなる可能性があるので…………申し訳ないです」
「そうですか。じゃあできるだけ安全な国が良いです」
「それが、私が管理してる国しか転生できなくて。地球でいう剣と魔法のファンタジー世界になります。異種族もたくさんいて魔獣も出没します。ただ平均寿命は地球より長いですよ…………異種族もいるから」
最後の一言が気になるが選べないなら仕方がない。
「じゃあできるだけ、安全に生活出来るように、チートをください。ただし、勇者とかのフラグになるチートは無しで」
平凡が一番。それは自分が一番身にしみて実感している。
「勇者や大魔道士、賢者に聖女今なら何でもいけますよ!」
いやいや、どれもヤバいだろ。
「チェンジで」
「どれも生存率爆上がりな職業なんですが……」
「チェンジで」
「…………難しいですね。逆に何がよろしいですか?」
むむっ。難しい質問だな。正直、自分で戦うのは怖い。だから、剣士や魔法使い、武闘家などは無しだな。ヒーラーも教会とかに所属しないといけなかったら面倒だし…………。
そういや最近始めた携帯ゲームの職業がランダムでテイマーになったな。これも何かの縁かも。
「テイマーで!」
「テイマーですか?あまり一般的ではない職業ですし、生存率もあまり高くありませんが……」
「最初の一匹だけ、強い奴をおまけしてもらえませんか」
ふっふっふ。強い奴を最初からゲットし、そいつに戦わせれば生存率爆上がりだぜ。
「分かりました、では最初の一匹だけこちらでご用意しますね。あとは、身分や種族、性別などはどうしましょうか」
なんとなく貴族のほうが、過ごしやすそうだな。あとはエルフや獣人にも憧れるが、種族も性別もやっぱり今と同じが楽か。
「性別男、貴族の長男以外で。種族は人でお願いします」
「分かりました。その他に何かありますか」
「もし可能なら、アイテムボックスが欲しいです」
「そのぐらいなら大丈夫です。これが最後になりますが他に何かありますか?」
………………あとは、そうだ。叶大だ。
「俺のことじゃないけど、叶大、紫藤叶大はどうなったか分かりますか」
「紫藤叶大さんですね。少々お待ちください……………もう先に転生してますね。彼は全てランダムを選んだので、どんな人生かは分かりかねます」
ランダム!?さすが叶大だな。
「ではこれで終了になります」
「…………ああっ、この記憶持っていけますか?」
「本当はだめですが、今日のあなたはうんがついてる!サービスでつけときますね」
死神さんお茶目だな。
「…………見てたんですか?」
「ふふっ、良き人生を」