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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恋人だった。

真っ白な病室。

ベッドの上にいる恋人は呼吸器を取り付けられたまま寝ている。


その隣に置かれたモニターからはピッと言う機械音が連続で規則正しく間をあけて発せられている。


周りには看護師や医者がいた。

ふと、彼女との思い出や出会いが頭に浮かんできた。

彼女の笑い声、笑う顔、怒った顔に悲しい顔…色んな彼女を思い返す。

喧嘩をして、別れそうになったことがあった。

そんな時はお互いにプレゼントを買ってきて仲直りしようとして「ごめん、プレゼント買ってきたから許して欲しい」なんて言って、笑いあった。


嗚呼。なぜ彼女があんな目に遭わなければなかったのだろう。

いや、彼女はまだ生きている。

きっと笑って「貴方1人置いて逝けないよ」と言ってくれる筈だ。


そんな考えをしているとモニターから規則正しい機械音ではなくピーッと言う音が流れた。




真っ白な病室。

ベッドの上にいる恋人は呼吸器を取り付けられたまま寝ている様に見えた。


その隣にあるモニターはもう音が鳴らない。


周りには暗い顔をする看護師と医者。


沢山の処置を施された彼女はもう動かない。

私はそっと彼女の手を握った。

まだ暖かい。暖かいのに…。


嗚呼…もう少し自分が早ければ、彼女は助かっていたのかもしれない。

もう、彼女は旅立った。

でも泣けない、何故なら彼女にまた怒られるからだ。きっと怖い顔をして「最後くらい笑ってよね」と言われる。


そんな考えをしていると自然と涙が頬に伝った。笑わなきゃ、笑わないと…。

分かっているのに、止まらない。


「ごめん……プレゼント買ってきたから…許して欲しい…」


そう呟いて彼女の指にそっと指輪を嵌めた。

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