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大ダンジョン時代クロニクル  作者: てんたくろー
第二次モンスターハザード前編─北欧戦線1957─

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モンスターとの力比べ

 ダンジョンの内部は基本的に土塊の道とその先にある部屋が連続した構造になっており、今回エリス達が探査しているものも例に漏れなかった。

 時折、発生した場所の周辺を模した内装になったダンジョンも見つかっており……これにはなんらかの意図、あるいは法則でもあるのかとダンジョン研究者などは頭を抱えつつもダンジョンの秘密を解き明かすために日夜研究を続けていたりもする。

 

 そんな内部の道、土の通路を行けば部屋に出る。モンスターは基本的にそこを陣取っており、ある程度拓けた場所で戦うことになるのが探査者の常だ。

 エリスの場合ももちろんそうだった……巨大なコウモリ型モンスター、一般に山賊バットと呼称されるモンスターが6匹ほど、部屋に入るなり襲いかかってきたのだ!

 

「きしゃしゃしゃしゃしゃ!」

「きしししししししし!!」

「っ、《念動力》! 負けません、モンスターッ!!」

 

 甲高くも敵意に満ちた鳴き声の群れ。奇襲にも近しいタイミングで攻め込んできた山賊バット達にしかし、エリスは手にしたナイフと使用したスキル《念動力》でもって即応した。

 本来であれば物体を、手に触れることなく自在に操るサイコキネシス効果を持つ《念動力》だが、エリスはその力をナイフに纏わせてエネルギーソードとして展開させるという使い方をしている。

 

 歴戦のヴァールをして、天才的かつ異様だと言わしめるその使い方は、後方で戦闘開始を見守っていたレベッカとシモーネの二人をも当然、絶句させて唖然とさせていた。

 事前にエリスの探査者証明書は見ていたし、《念動力》を特殊な使い方で運用しているともあらかじめ説明を受けていた。にも関わらず二人の度肝を抜くだけのインパクトが、エネルギーソードを展開する姿にはあったのである。

 

「…………!! 信じらんねえ、なんだありゃ!? ね、《念動力》だって? あれが?」

「あ、あんなことできるんですか、あのスキル!? 物を動かして敵にぶつけるとか、知り合いの同じスキル持ちの人はそういう使い方でしたけど。あれ、本当に《念動力》なんですか!?」

「案の定、説明しても驚くべき光景だったな。いかにもあれは《念動力》だ。本来、物体を遠隔操作するために用いているエネルギーをすべて刃に込めてエネルギーを可視化するほどに凝縮させている。極めて特殊な使い方だ……少なくともワタシはこれまでいろいろな探査者を見てきたしそのなかに当然《念動力》の使い手もいたが、あのような用途は誰もしていなかった。できなかったのだ」

「できなかった……? 難度が高えってんですかい、ヴァールさん!」

 

 師弟とて探査者として活動して長く、それゆえ《念動力》が通常どういったスキルでどういった運用をされているのかは分かっている。分かっているからこそ、まるで未知の使い方を見せているエリスに驚く外ない。

 その気持ちに共感を示しつつもヴァールは、どこか誇らしげにエリスを語る。自身が見出した期待の新星が、昔馴染みとその弟子の予想を良い意味で裏切ったのだ。自己顕示欲などは乏しい彼女でも、多少はしてやったりという気持ちにもなる。

 

 だがまだそれだけではないのだ。エリスの力は見かけだけのものではない。それだけの大道芸でしかないのであれば、他の同スキル保持者とて見世物程度にそのくらいはしてみせたろう。

 だが現実は他の誰も、今のエリスのようなスキルの使い方はしない。なぜか? レベッカが戸惑いも顕にヴァールへ尋ねれば、彼女は顎先にて今まさに戦う少女を指し示した。

 いいから見ていろ、そういう仕草だ。

 

「でやぁぁぁっ!!」

「きしゃしゃしゃぁ!?」

「きししーっ!!」

「……なんです、あの威力。モンスターをまるで、枯れ葉を裂くみたいに一瞬で粉々に!」

「おいおい……えれぇ殺傷力じゃねえかよ、私でもあそこまで滑らかにゃ殺れねえんだけどよ」

 

 ──ナイフを震えばエネルギーブレードもまた閃光を残して奔り、素早く飛び交う山賊バットを捉える。一振り、二振り。それぞれで一体ずつ計二体、切り裂いた形だ。

 レベッカとシモーネが驚いたのはその威力だ。強すぎる……エネルギーの刃が触れた途端に、巨大コウモリの翼から胴体まで簡単に引き裂かれ、光る粒子へと返事させていったのだ。


 単なるナイフでは絶対に出せない威力。ややもするとレベッカの技や力ですら及ばないほどの、純然たる殺害威力。

 これには堪らずレベッカが声を上げれば、ヴァールは微かに口角を上げた、無表情ながらにニヤリとした微笑みで言うのだった。

 

「そうだ、レベッカ。どうしたことかあのナイフには、本来《念動力》の使用に必要なエネルギーがすべて詰め込まれている。それゆえに可視化しているし、威力もレベルに比べて極端なまでに高い。彼女はまだレベル100を少し超えた程度だが、こと攻撃力だけで言えばそれこそ今自分で言ったようにレベッカ、君をも凌駕するほどにな」

「わ、私よりレベルが低いあの子が……攻撃だけなら、師匠以上!?」

「マジかよ……!! ゴールデンアーマー倒したってのも、うなずけちまうぜあんな威力よう!」

 

 攻撃面でのエリスの特異性。探査者としては歴の浅い若手でありながら、すでにベテランであるレベッカにも威力だけなら引けを取らないのだ。

 もちろん、総合的な戦闘力という意味ではレベッカやシモーネのほうが今はまだ、上ではあるものの……そもそも比較できてしまうほどの実力の高さに、師弟二人は戦慄を禁じ得ないのであった。

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― 新着の感想 ―
山◯バットも怖ぁ怖ぁとビビってそう(ただし残り一匹になると10倍の強さに)
2025/08/27 12:37 こ◯平でーす
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