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親 友

作者: 嶋 一彦

ちょうど人恋しいところに、昔の仲間たちからお誘いの声が掛かった。

長くなった療養中の私を案じてのことだろう。これまでも、幾度かそのような気遣いに甘えさせてもらってきた。


思えば、夢を実現できた者、未だ理想を追い求めている者、道に迷い立ち止まってしまたった者。我らの生き様は様々だが、この仲間たちが居てくれたからこその今がある。

未熟と無知を外には見せず、実勢の自分は決して見せず、虚勢を張って生きていたあの頃に、友情と信頼を教えてくれた彼らたち。

今、心から感謝している。

お陰で、等身大のこの身ひとつで社会に加わる事ができたのだ。


幾多の岐路に立ちどまっては、無い知恵をしぼりながら寄添い合ってきた親友達。このともがらが揃うとあの頃の教室や部室の匂い、個々の立ち位置や持ち場が瞬時に再生され、懐かしき詰襟時代に戻る。

いつもの思い出話しは飽きる事なく繰り返され、あの頃の武勇伝は今や笑い話となって、酒の肴にはちょうど良い塩梅だ。


しかし時は無情。別れ際は名残惜しいもの。

またの再会を約束してタクシーに乗り込んだが、窓越しに見たの彼らの後ろ姿からは先程までのお調子は消え、恐らく、家族や仕事、これからの挑戦など窺いしれない重さが感じ取れた。


そんな背中らに月並みではあるが、『また呑もうな。身体を大切にな。今までありがとう。これからもよろしくな』と胸の中で呟いて、私の気持ちも明日への戦闘準備に切り替えた。


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