ためるな、危険㉘
僧侶やその上級職であるヒーラーであれば、低級範囲回復魔法を覚えている頃合い。ただしその消費MPは18。ヒーラーの最大マジックポイントが80から120程度だから、考えなしに乱発することはできない。解毒魔法も習得しているはずなので、魔法で治癒できるステータス異常は魔法で、ヒットポイントはアイテムで、というのも作戦のひとつだろう。他にも1度訪れたことのある街へ一瞬で戻れる『風見鶏の翼』があると、たとえマジックポイントを切らしてしまっても、ダンジョンのど真ん中でほぼ詰みという状況が避けられよう。ただし、ひねくれ大魔王が黙っているはずがない。適材適所と言えぬこともないが―『メイジシーフ』というモンスター。アイテムに加え、マジックポイントも盗みにくる嫌な敵である。
シャビエスタ山へ向けた第一の関門が『アンリの洞窟』。これまでとは毛並みの違うダンジョンである。出口に中ボスはいない。その代わりに待つのは、ちょっとしたなぞなぞの様なもの。魔王の遊び心と言えば聞こえはいいが、間違えた代償は面倒くさい。
誘ったのは華だった。
「魔王様、ピクニックに行きましょう。」
「美人さんのお誘いはもちろん断りませんが、突然どう―」
「それでは明朝7時に出発しますので、くれぐれも寝過ごすことのございませんよう。」
「はい・・・・・・えっと、持ち物とかは?」
「特に必要ございません。」
「はい。」
何かしでかしただろうかと思い返す魔王であったが、心当たりはなかった。




