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ためるな、危険㉖

 新大陸の港町『ベルクライフ』。初めてこの地を訪れた勇者達は、思わず心を奪われてしまうという。戦場いくさばからまるで天国に送られてきたかのように。鬱金光(うつこんこう)という釣鐘型をした赤、白、黄の花が冒険者達を迎えてくれるのだ。歩道沿いに、お店の入口に、公園の花壇に、民家の庭に窓に、可愛らしい花々が揺れていた。さらには綺麗な花売りまで歩いている。勇者が購入した所でステータスが上がる訳でもなく、道具欄がひとつ埋まるだけなのだが、一輪くらい持っていても罰は当たらないだろう。花売りも「お花はいかがですか」と勧めてくれる。気候は穏やか、吹く風は肌に心地良い。石造りの歩道に、建築物はそのほとんどが木造。戦いとかモンスターとか、武器とは防具等とは無縁なのではと思わせる、平穏な港町だった。

 港町ベルクライフの役割は拠点であり、中継地点。ベルクライフから大賢者の待つシャビエスタ山までの道のりは長く険しい。中程度の広さを誇る洞窟を2つ連続で突破した先にシャビエスタ山があり、大賢者に会う為にはさらにその山を踏破しなくてはならない。ポイントは連続ということ。シャビエスタ山も含めて合計3つのダンジョンをクリアしなくてはならない。1つ目の洞窟を抜けるとすぐ目の前に第2の洞窟があり、さらにそこを抜けた先にシャビエスタ山がそびえたっているのだ。道中、村や町は愚か、宿屋もなし。難易度を高くしている原因はここだ。回復手段がない。正確に言えば、マジックポイントの回復ができないのだ。進むか引き返すかは勇者の決断次第である。ここに到達するレベルのパーティーであれば、少なくとも勇者が転送魔法を唱えられるはずなので、その分のMPさえ切らさなければ安全かつ瞬時に引き返すことは可能。ベルクライフでアイテムや装備など、細心の準備が要求される。

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