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ためるな、危険⑱
「ああ、お帰りなさい。ごめん、全然気付かなかった。丁度いい所に帰ってきましたね、ほら。」
珍しく椅子も進めず促すので魔王の言葉を額面通りに受け取ってよいのだろう。立ち見でスクリーンに目を遣る華。映っていたライブ映像は、教会だった。魔王にしては随分と珍しい場面を映し出していた。裁いた勇者達が蘇る所でも見ているのだろうかと推測した華だったが、状況を把握するとみるみる目を細め出した。ご機嫌斜め、イライラしている時の華の癖だった。
「どこの教会ですか?すぐに向かいます。」
眼鏡の位置を直しながら華が問う。感情のやり場に困ってか、喉元がキュッとしまって一瞬呼吸が止まった。
「まぁまぁ華さん、落ち着いて。ほら、怖い顔しないで、座って座って。」
「しかしですね―」
魔王は余裕綽綽、華に椅子を持って来るのだった。




