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ためるな、危険⑮
次のターン、華が動く。猫にお手を求めるようにすーっと右手を差し出す。ゆっくり優しく。指先を勇者に向けて、掌にふーっと息を吹きかけた。
「香雪蘭。」
華の特技である『花魔法』のひとつで、冷気属性を持つ攻撃魔法である。華の掌がキラキラ光ったかと思うと、瞬く間に粉雪のような光が術者の全身を覆うまでに膨れ上がり、次の瞬間、それが一気に勇者を襲った。勇者に399のダメージを与えた。本来はこの香雪蘭、敵単体にダメージを与え、数ターンの間スピードを20パーセント低下させるという追加効果を発動させるのだが、あくまでそれは耐えた時の話。勇者が倒れ、他の3人も気が付くのだ。手を出してはいけないと。全身全霊、全力投球いうことではなく、華にとっては低級魔法でちょっと牽制した程度。勝負にも話にもならなかった。




