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ゲームスタート④

 揺れを感知したのか、城から外に出てきた者が独ひとり。脇目もふらず魔王目掛けて歩いてくる。鬼気迫る雰囲気は醸し出しているが決して走ることはせず、早歩き。長い黒髪を後ろで束ね、黒縁の眼鏡をかけている。魔王同様ビジネススーツに身を包み、スカートから露わになる膝下はかもしかの様に長く細かった。左脇にはやや厚めのファイルを抱えていて、黒いヒールをカツカツ鳴らしながら魔王に近付いてきた。

「魔王様―」

魔王の背中越しに、低く静かな声が届く。その一声で分かるのは、あまりご機嫌麗しくないということ。

「あれ、はなさん。どうしました?」

ストレスは吹き飛んだようで、子供の笑顔で振り返る魔王。

「何度も言いますが・・・私の名前はデス・ダンディライ―」

「たんぽぽだろう。華ちゃんとたんぽぽちゃんのどっちがいいって訊いたら華ちゃんがいいって―」

「どちらもお断りしたはずですが。」

「そうでしたっけ。まぁ、それはそうと、どうしました?」

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