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短編とかその他

うちのお嬢様は腐令嬢

作者: リィズ・ブランディシュカ



 俺は執事だ。

 仕えている相手、お嬢様が困っていたら、何でも手伝わなければならない。


 けれど、たまに無理な事もあるので困る。





 ある日、お嬢様の机の上にこんなメモが置いてあった。


 BL。


 ○○×○○。


 ○○推し。


 メモの一部に俺の人名が入ってるんだが。


 俺あはため息をついてそのメモを握りつぶし、ゴミ箱に放り込む。


 あのお嬢様は何をやってるんだか。


 たまに男と絡めとか、男と仲良くしろとか言われるから困るんだよな。


 お察しの通り、うちのお嬢様は、腐っている。


 婦女子ではなく、腐女子だ。


 転生者、とかいう奴で、ちょっと頭がおかしい。


 この世界を前世でやっていたゲームの世界だという始末。


 転生者自体は珍しくない、たまに前世がある人間がちらほら発見されるからだ。


 でも、別の世界から転生してきたという人は聞いた事が無い。


 だから、きっとお嬢様はホラを吹いているのだと思う。


 嘘で俺をからかう、それだけならまだ良かった。

 

 お嬢様は、前世云々を言い出した事から、普段から交友があった男性の騎士様や男性の護衛、医者の男性を見て突如奇声をあげる事が多くなった。


 お嬢様はひょっとして、精神をやられてしまったのではないだろうか。


 転生者だと言い放った時から、お嬢様は男性が仲良くしているのを見て、鼻血を出したり顔を赤くしたり興奮したりするようになってしまったのだ。


 俺の身の回りにいる女性で、そんな事をするのはお嬢様くらいだ。


 ああ、可哀そうなお嬢様。


 きっと、何かショックな事があったに違いない。

 そうでなかったら、俺に向かって男湯に飛び込めとか、惚れ薬を持っていけとか言い出しやしない。


 そんな事を考えていると、望遠鏡を持ったお嬢様が部屋に戻ってきた。


「うふふ、○○×○○さいこー。○○推しで良かったわ」


 とかよく分からない事を言っている。


 それで、メモが見当たらない事に気が付いて、部屋のあちこちを捜索。


「せっかく二次創作で、○○様と○○様をからませて、あれこれしようと思ったのに。○○しないと出られない部屋とかで、○○させて○○!」


 あまりにも理解できない単語が並んでいるため、脳が理解を拒否したようだ。これでは文章の意味がさっぱり分からない。


 人名まで聞き取るのを拒否したのは、俺も常日頃からそんな扱いをされているからだ。


 俺は我慢できずに、話しかけた。


「お嬢様、いい加減、普通の貴族令嬢のようにしてください。そんなだから、婚約が上手くすすまないのですよ。縁談相手が何人逃げたと思ってるんですか」

「あら、何人だったかしらね」

「十人です。十一人目はなしにしてくださいよ」

「精一杯頑張るわ。でも趣味が合わないんだか仕方ないじゃない」


 お嬢様のそんな趣味と会う男性がいたら逆に会ってみたい。


 はぁ、と俺はため息をついて、お嬢様に気付かれないようにゴミ箱のごみをまとめて、部屋の外に出した。


 誰かお嬢様のこの腐の領域をなおしてくれないだろうか。



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