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階位四拾五位(偽)妖怪屏風覗き

先日は私情により更新できませんでした。自分なりに平日毎日投稿を続けていたことが小さな自信だったので残念。今日から改めてポチポチとキーボードを叩いていきたいと思います。


昨日は急ぎ足だったので改めて。誤字脱字のご指摘いつもありがとうございます。

 難解な問題集を簡単に解く方法は単純明快だ。『問題集の巻末にある答えを持ってくればいい』だけ。


 だというのに問題に使われた存在が解答者の手元にあり、勝負前に10問と言わず何でも聞ける状況で赤はこの問題を突きつけてきた。まるで絶対に正解できないと確信しているように。あれだけ落ち込んで戻っていったポーズはブラフだったのか?


 何であれ国を通じて示した以上、この『問い』が出題として確定した。白は、屏風覗きはこの問題に挑まなければならない。


 解答に際して細かいルールは屏風覗きでも読める字を使った書面で渡されたので、金毛様のお知恵を借りる意味でもお見せする。


 ルール1・10の問いのうちに指定された『モノ』の正体を当てる。当てられたら白の勝ち。


 ルール2・『モノ』の正体は解答者以外では、赤にも白にも属さない第三者で『公平を約束した』者だけが知る。


 ルール3・出題者は問いにハイ()イイエ()で答える。どちらとも言えない質問には 沈黙し『公平を約束した者』が無効な質問と判断したら問いをひとつ浪費したものとする。逆に有効な質問に答えなかったと判断したら不正として出題者の負けとする。


 ルール4・解答者は主1名と副2名の計3名とする。解答する権利は、出題者の選出した相手と1対1で仕合をして勝利した場合のみ与えられる。


 ルール5・問う権利は10を三つに分け、解答者の三人いずれかが答える。割合は解答者側が決める。ただし主となる解答者はひとつだけ無条件に問える権利を持つ。


 ルール5・参加者はいずれも階位35位以下の者。白は白、赤は赤の者であること。他国からの助っ人は認めない。なお階位無しでも手長足長(アレ)はダメだマジでやめろお願い。


 大まかにこんな感じ。もちろんルール等の横文字は要約である。さて、クイズとして不穏な箇所があるのがお分かりいただけるだろうか。


 出題者と解答者で戦って質問権を『勝ち取る』という、バラエティみたいな文言があるのだ。ただし、戦いの内容はお茶の間に放送できるようなものではない。


 仕合という言葉の本来の意味、殺し合いだ。


 質問権はひとつが無条件なので残り9個を三人に振り分ける。用意した強者を見込んで解答権を突っ込むなら、ひとりに9問残らずでもいいだろう。


 残念ながらこの『35位以下』ルールのせいで白で一番の立花様(実力者)や、一番のろくろちゃん(武闘派)が参加できないのが残念だ。


 まあ片方は実現すると仕合というより一方的な処刑になるので、これはしょうがないのかもしれない。武闘派のほうも相手が酷いことになりそう。行動も言動もヤ〇ザな気配がダダ漏れてるんだよなぁ、あの化け傘ちゃん。


 そしてイマイチ嬉しくないことに、このルールに合わせて屏風覗きもついに階位とやらを頂いた。ああそういえばって感じの唐突な感じだったけどな。


 まあね? 別に欲しかったわけではないけどさ。仲間内でも予定は全然無かったのに話の流れで急にお祝いする? みたいなその場のノリだけでお祝いされる誕生日みたいなモヤッとくる感じがして困る。


 善意だからありがたいけど、ありがたいんだけど内心イマイチ嬉しくないという絶妙なところを突いてきて、屏風覗きの感情の引き出し大混乱です。


 本人に悪気はないんだろうが、たまにイベント好きの知り合いなんかが引き起こす悲劇に似ている気がする。触らず放っといてくれたほうが助かる人もいるんだよ、と世におわす陽キャさん達に屏風覗きは伝えたい。


 頂いた階位は四拾五位。ナンバー45。つまりドンケツだ。変に高いより常識的でいいけど。そもそも最初はみんなこの階位からスタートするのだそうな。


 11位の立花様や3位の白玉御前も初めは45位からだったのかと思うと、誰であれ妖怪()に歴史ありなんだなあと妙に感慨深い気分になる。


 屏風覗きは仮に天寿を全うするほど長生きしても、人間の持てる時間では40位の壁を越えられそうにないな。あのとばり殿でも未だ40だもの。幽世の住民番号とでも思っておこう。


「ねえ。それ何?」


 とうとう屏風覗きの真横にまで来ていた茜丸氏。先程からわざと袖から覗かせていた『綺麗な模様の包装』を見つけて我慢できなくなったらしい。新キャラ、スネ子の出番は短かったな。


 ここに来る直前に酒保さんのところで購入した『ちょっと良い』らしい女の子向けのてぬぐいを贈り物用に包んでもらった品だ。タオル送るとか引っ越しかと言われてしまうかもだが、幽世は産業革命前なので機械生産の既製品が無く、ただの布地でもそこそこ高価なのだ。


 お値段、これ1枚で一朱(文換算で250文。日本円約25000円?)である。ガチセレブ御用達、高級ブランドのお送りするワンランク上のハンカチシリーズ、みたいなフレーズがつきそうな成金なお値段です。


 いやまあ、本物のセレブはそんな商戦紛いの戦術で売られた物なんて見向きもしないんだろうけどさ。でも物が良いのは素人でも分かるくらい綺麗な桜柄の逸品なのだ。言葉通り『ちょっと良い』品物なのだろう。

 自称拘りのラーメン屋の偉そうな店主が頭に巻いて、テカッてる額の油っこい汗を吸ってそうなワンコインショツプ売り場にある激しい原色のハンカチとは手触りからして違う。あれはあれでリーズナブルで夏は重宝するんだけど。


 もちろん金毛様にも購入したので何気ない日の贈り物としては、そこそこ結構な出費となっております。この後行く猩々緋(赤いかんしゃく玉)のほうにも買ったので、ハンカチ三枚で7万5千円が吹き飛んだ。庶民の金銭感覚としてはちょっとドキドキする額である。


 色については現状ちょっと悩ましかったので柄に合わせて桜色、ピンクを選んでみた。女の子だからピンクというのは安易と言われてしまうかもだが、今の彼女たちは赤とか白とか国をイメージする物はどうかなと日和った結果です。


「ねえ、これはどうすればいいの?」


 その質問を皮切りに包装紙のきれいな開け方やてぬぐいの使い方、畳み方、あげく洗濯方法まで聞かれてしまった。こんな感じに質問責めをして監視の兵を疲弊させたらしいので、問われるままに答えてきた屏風覗きにも責任の一端はあるかもしれない。


 反応的に気に入ってくれたかどうかは不明。子供にはおもちゃとかの方が良かったかな?


 差しあたって、生臭い対処として気に入らなければ相手の見ていないところで処分するなりする事、本当に嫌いな相手なら最初から断るという選択もあることを合わせて教えておく。


 嫌な話だが贈られたからといってすべて大事にしておく訳にもいかないし、その贈り物が善意とも限らない。迷惑なだけの物や法に抵触するもの、悪意のある贈り物だってあるのだ。偉い立場にいる方なら特に必要になる配慮だろう。


 そして世の中には義理があっても無理してまで持ってることはない代物もある。例えば結婚式の引き出物の『(イタ)い皿』とかな。


 皿のど真ん中にハートマークと新郎新婦の顔がある代物とか、あれは本当にどないせえっちゅうねんと思う。もし使ったとして乗せてる料理が片付いてくると毎度顔を出すプリントされた知り合いの笑顔。想像するともうね、屏風覗きは薄情なので微妙にイラッとするしかないです。


 最近はカタログなどが主流でさすがにあんなキッツイ引き出物はまず無いだろうけど。無いと言ってくれプライダル関係者。


 過去に婚前出産で赤ちゃんのプリントがされた代物を頂いたときはマジで頭を抱えたぞ。新婚夫婦のニヤけ皿なら勢いで叩き割れるが、何の罪も無い赤ちゃんのは無理だ。マリッジブルーならぬマリッジハイでヒドい物作りおる。あれってある意味恥の公言だろうに。


 そうして結構な時間を使って人と二妖怪で(三人)過ごした。途中から包装袋を折り紙にして飛行機を作り、キャッチボールならぬキャッチ飛行機などしてみたりして。こんな狭いところに押し込まれては運動不足になるな。

 折り紙は全然だけど飛行機と鶴だけは折れるという日本人は結構多いと思う。これに紙鉄砲と紙風船を加えたレパートリーが屏風覗きの折り紙作品のすべてだ。


 調子に乗って作った紙鉄砲のパンという音で監視の兵が飛び出てきた事で気まずくなったので、そろそろお(いとま)する事にする。弁解を聞いて引っ込んだ兵は口にこそ出さないものの『勘弁してくれ』と言わんばかりのゲンナリした顔をしていた。ホントにすいません。


「もっと」


 立ち上がろうとしたところでおんぶお化けが現れた。そのまま立ち上がり部屋を何度かぐるぐるして金毛様の下で降ろす。言いたいことが伝わったようで金毛様は茜丸氏を押さえてくれた。


 屏風覗きには期限を切られた仕事が山積みだ。今日はここまで。


「やだ」


 少女は遊び相手の帰宅がお気に召さないらしい。両手と三本の尻尾に纏わりつかれてもがいている。うらやましい、もとい申し訳ない。のっぺらぼう氏に話を通したあとここを彌彦(いやひこ)様に伝えることにしよう。


 あの方は正式な勝負に立ち会う段取りと仕切りのため、正装の準備で一度領地の華山に戻っている。今日中には白に戻ってくるそうなので、遅くても明日には君の下に心配性の大きな遊び相手が突撃してくるだろう。


 さて、城の守衛の皆様とはひと悶着起こしているのでスムーズに話ができるか微妙なところ。しかし何も知らない状態で『ひいちゃん』が大好きな鬼がボロ部屋(ここ)の事を知ったらどうなるか。

 うん、ちょっと何が起こるか分からない。客人への対応とリスク管理について一度お話を伺ってみたいと思う。


 こういう他所の部署に口を出す場合は双方の上司を通しておくのが一番なのだが、今は偉い方々が軒並み忙しい。そしてここには本来の仕事が開店休業状態の屏風覗き。同じ城での用事なのだし、ガキの使いくらいはこなそうか。


 夕飯までにサクサク終わるといいなぁ。

お約束通り連投しますので良ければ次もお読みください(感謝)

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― 新着の感想 ―
[一言] いまの引き出物って選択制が多いから、とても良い。 皿なんて貰ったら速攻フリスビーだわw
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