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明日が買える世界  作者: らくん
10/11

9話「海空氷雪そして火」

俺は今…どこにいる…?

目が開けない…なんでだ…?

声しか出ない…さっきまで周りは黒かった気がする…

体が冷たい…でもなんだか背中が暖かい…


「…隣!…起き……隣!」


なんだ?うるさい…こっちは目が開かないんだ…


「ダメじゃ、今の隣の状態だったら起きるはずなのに…」


なんでじゃ…?今できることは全部尽くしたはずだ…


「…あとは隣に頑張ってもらうだけじゃ」

「…え?」


長い間隣のそばにいたクロネだからこそわかることなんだろうか...

とりあえず私はいつも通りの生活にお見舞いが入るだけ。ただそれだけ。


俺は夢を見ていた。いや、記憶というのか、分からない。けれどすごく鮮明だった。

家があって、二人の男女がいて、指には金属の輪があって、幸せそうで。

自分の姿は見えない。けど手や足は小さかった気がする。

言葉も、

「あーあー」

くらいしか言えない。


もう1つ何かを見ていた。

ずっと1人で前が真っ暗くて、誰かに後ろ指をさされて、大切な人が亡くなって。

主観的に考えると、こんな状況だと人は極端な選択をしてしまう気がするけど、

なぜかそこで自分は生きていた。


どんなに自分が蝕まされても、なぜか自分は生きている。

どうして?なぜ自分はそこで生きている?なぜ?なんで?


「は!?」


俺が目を開けたとき、俺の口は大きく開き、はぁはぁと息を継いでいる。

勢いよく起き上がった俺と目が合ったのは知らない女性だった。


「お、結構早くに起きたねー」


どういう状況なのだろうか?


「あの、ここって...」

「ここはシュークラウス。能力者御用達の"世界に認められていない"病院。多分世界一信用したくない病院よ」


は?なんで病院にいるんだ?


「はぁ、覚えてないようね」


女性は俺になんでこうなったかを教えてくれた。


「え、じゃ、じゃあその悪物は大丈夫なんですか...?」

「あぁ大丈夫よ。リンネたちは"優秀"だからね」


良かった。


「そういえばみんなは...?」

「帰ったわよ、もう25時だもの」


もうそんな時間だったのか...


「あと、あなたの名前は...?」

「うーん、とりあえずドレーパでいいわ。」


ドレーパさんか...


「てか退院しな、そんなに喋れるんだったら大丈夫だろ。」


なんて適当さ...公認の医師自体あまり見たことないが、分かる。適当だ。


「分かりました...でもどうやって帰ったらいいんですか...?」

「そこにドアがあるだろ?出たらわかる。」


そう言って、ドレーバさんが親指で刺したのは俺の背にあるドアだ。

俺はドアの場所を確認したあと、ベッドから降りようとした。


「ちょっと待て、その姿でベッドから出る気か?」


俺はそういわれ、自分の姿を改めて見た。


「は、裸!?なんで!?」

「そりゃ手術をしたし、運ばれたときにはもう服はボロボロだったからな」


あぁ...そういうことか...って納得するわけがない。


「この服を着ろ。リンネから預かっておいたものだ。」


渡された服はパーカーのフードが取り外し可能になっていて、

黒に少し青の模様が入っている少し大きい服だ。

ズボンはぶかぶかで、ところどころにポケットがある。


「あ、ありがとうございます...」


自分はドレーバさんが後ろを向いている間にさっさと服を着て、軽く挨拶を行ってからドアを通った。


「あれ...?ここって家の前...?」


目の前には俺と琴、クロネが住んでいるアパートがある、


「あ、病院は!?」


振り返るといつもの景色だ。ただなぜか少しまた行きたいような、そんな感じがした。

俺は自分の家のドアを開けた。目の前にいるのはクロネだった。


「琴!隣が帰って来たぞ!!!!」


クロネはそう言うと瞬間に琴は短い廊下を走ってきた。


「隣...大丈夫...?体は...?私のことは分かる?」


琴が心配そうな眼差しでこちらをみてくる。


「あ、あぁ大丈夫だ。二人も大丈夫か?」


俺が戸惑いながらそう言うと、琴はうなずいた。


「良かった、にしてもクロネ、本当にあれだけの量を4人でやったのか?」

「ワシらはなにもしとらん。真琴が全部やってくれたんじゃ」


真琴さん...確か病毒の能力者の人だ。


「まぁでもあの悪物は初心者にはちと厳しかったか!」


クロネが煽り口調で話す。すっごい悔しい。


「だが結果がどうであれ、隣が生き返ってきたのはうれしいことじゃ」


おいおい、生き返ったって俺が死んでたみたいじゃないか...


「そういえばみんなご飯は!?もう食べた?」


いつもご飯の担当は俺だ。俺が寝込んでいる間、ご飯は食べていないはずだ。


「飯ならワシらで食べた。心配してくれてありがとな」


良かった。大丈夫そうだ…な…


「ん?り、隣!?どうした!?隣!」


急に視界が真っ暗になった。


最後に見た琴の顔は泣きそうで口が開いていた。

ども、タイトル悩みました。らくんです。

タイトルを「シュークラウス」か「海空氷雪そして火」のどっちにするか悩みました。

ちなみにこの「海空氷雪そして火」というのはアイスランドの国旗の意味を表しています。個人的にアイスランドっていう言葉が好きなんですよね。なんか神秘な感じ?

以上。

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