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序章

 男は大きく分けるなら、二種類に分けることができる。それは――


――童貞と非童貞である。


 もう少し細かく分けるとするなら、童貞と非童貞の間に素人童貞を分類することができる。素人童貞とは、プロ――風俗嬢としか性行為をしたことがない男のことだ。「素人童貞になるくらいなら、俺は生粋の童貞であることを選ぶね」と(うそぶ)き、二十九年もの間童貞を貫いてきた一人の男がいる。男の名は――


――綾本剛一朗(あやもとごういちろう)


 学生時代も、社会人になってからも幾度か非童貞になるチャンスはあった。だが、いずれのチャンスも生かすことがてぎずに三十歳の誕生日を迎えようとしていた。

 そして誕生日前日――剛一朗の中で「素人童貞よりヤラミソの方が嫌だ。ヤラミソになるくらいなら生粋の童貞じゃなくても良い」という価値観の転換が生じ、ついに彼はソープランドへ行く決心をしたのだ!


 しかし何がどうなってそうなるのか、彼はソープランドへ行ったはずが、異世界へと飛ばされることになるのだ。そう、これは綾本剛一朗という男が、異世界で激しく厳しい戦いを乗り越えながら童貞から非童貞へと成長していく物語――のはずだ!

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