もしや死人が出たやもしれぬ。
主人公在宅、深夜。
『パァンッ!』
「あー……?」
不審な破裂音が外から聞こえたとて、主人公の所感は『なんかぱぁんていった。』というていどである。
寝起きだ。ノンレム睡眠の最中だった。もっといえば語彙と頭のコンディションが致命的に悪い、半分起きていて半分寝ているようなものだ。
「そこのヤツらうるせーぞ!今何時だと思っていやがる!!痴話喧嘩ならヨソでやれ!」
主人公的に聞き慣れない声の某が、異音を平手打ちによるものと判断して文句を言った。
「……そーだそーだぁ、警察にチクんぞおらー……っておたくもうるせー、ダレだよおたくー……」
まどろみ布団の中で丸まりながら主人公は賛同した。ついでに某に難癖をつけた。
「あ……っ?」クレーマーが不意に間抜けな声をあげる。それからは始終無音で、主人公は自然とまた眠りについた。
額面上は二度寝だが不健康だと叩き起こすのは健康にはつながらない。ややこしいね
▽▲▽
「──朝。ああ風が強い朝だ。いや何で窓開いてるの?開けてないよ怪現象か何か?寒いですわよ!4時23分だよ今!現在時刻がすごい微妙な上に意味不明なほど早いよもう!」
主人公は窓から吹き寄せる寒風に叩き起こされ、寝起きに元気よくわめいていた。
「……これはあれだな、ア○パ○マ○観るしかないな」
主人公には乳児の弟がいる。○ン○ン○ン視聴者で毎週録画だ。生で見るのにも関わらず一回の放送の都度見直す。満足する前に消そうとすると地団駄を踏む。そのわりに再放送も新鮮な気持ちで見れるのは利点と言っておけばいいのだろうか?付け加えて、こっそりと録画一覧から消しておくと気づかない。まあ赤子だし
「そんで、観て、消す。──なんて素敵な憂さ晴らしだろう!」
睡眠不足で興奮状態である。小躍りしながらリビングに向かう。「~ですわよ」口調のあたりで〝察し〟しただろう。しかし通常の運行通り、弟にさえ容赦しないところは健在。
ちなみにこの主人公、ア○パ○マ○批判が好きだったりする。謳い文句は子供向けだから仕方ないところもズケズケと。ガチレスは萎えるだろうに。
余談だが。昨晩のことを主人公がさっぱり忘れているのは寝起きだったからだろうか。
もしや奇妙な破裂音は銃声、発砲音のたぐいで、闇の秘密結社なんかに記憶を消されてしまったとかどうだろう。窓を見れば錠のあたりに穴を接合した跡でもあったかもしれない。窓が取り替えられてたりして。
クレーマーが沈黙したのはやたらと異様な光景が広がっていて、その一端をポテチの袋が担っていたからかもしれないし、本当に〝言葉を失った〟あるいは某が発言できる状態でなくなったのかもしれない。半ば寝言で、途中で寝落ちたのかもしれない。
真相というほど大仰で大袈裟なものではないやもしれぬが、栓なきことながらもう知れぬことであると、締め括らせてもらおう。




