やってみた・婚約破棄な小説
「お前との婚約、破棄な。」
「マジで?やった!」
心地よい風が吹き、小鳥の囀りなんかが聞こえちゃってぽかぽかな太陽でお昼寝がしたくなる穏やかな午後、一応でも婚約者なこの国の王子様に呼ばれたので、ただ今一緒にお茶中。そして、一息ついたところでいきなりの発言。この王子顔綺麗だけど、何でもできるけど、すっごい人気者だけど、高圧的で嫌いなんだよね。ってことで本音が思わずポロリと出てしまったんですが。
気を取り直して。お嬢様風にいってみよう!
「・・・ゴホン、えぇ、良いですわよ。その旨をちゃんとした書類にお纏めになって?その様に突然に言い出すのですから、何か理由がございますのよね?」
首をかしげながら聞くと目の前の王子は偉そうにうなずく。・・イライラポイント1。
「あたりまえだ。お前の行った悪事については負って沙汰を出す。それまでせいぜい首を洗って待っているがいい。」
私が行った悪事って、一体どれだろうね?ちょっとした悪戯なんてしまくってるからどれだか分からないや。まぁ、後で教えてくれるってんなら気楽に待っていようか。
「えぇ、えぇ、もちろんですとも。毎日お湯に浸かってこの身は清潔に保っておりますわ。それよりも、もう私となどかかわりたくもないとかお考えで?あ、そこの貴方、ここに紙とペンを。」
近くに立ってたお城の人に頼んで紙とペンを持ってきてもらい、王子にたった今言われたことを一言も漏らさず書いてもらう。
「そうだな、それもいい。」
「そう、それでしたら、それもお書きになって。今後一切関わらないと・・・ 」
「・・・ところで、何故、その様に嬉々としているのだ?」
すらすらと、綺麗な文字で書きながら王子が聞いてきた。おや?そんなに表情豊かになってるのかな?まぁ、だって、すっごく嬉しいもんね!
「あ、署名と日付もお忘れずに。フフッ。嬉しそうなのは私とて、貴方様との婚約が嫌だからでございますわ。」
きっぱりというと王子は無表情のまま固まった。ほらほら、日付がまだですよ?もう一枚同じものも書いてもらわなきゃ。
二枚とも書き終わったので、一枚を貰い、大切にしまう。フフフ、あと少しで自由の身。
「ありがとうございます。では、殿下。心の片隅で殿下のお幸せを願ってたりするかもしれませんわ。気が向いたら。おホホ。」
私と一緒に来ていた使用人に帰るために馬車を用意してもらうよう頼む。帰ったら、この書状をこの時間ならもう家にいるだろうお腹が大きなおじさんに渡して、契約打ち切りですって言って、さて、どこに行こうか?
次のことを考えながら待っていると、王子がこちらをじっと見ているのに気が付いた。視線を向けると口元を少し上げる。・・・イラッとくるな・・・
「フッ。公爵家でどのような扱いになるかは知らぬが、お前も幸せにな。」
って、いやみですかい!まぁ、いいけどさ。
「フフフ、ご心配にならずとも、公爵家からは籍が外されますわ。もう用がございませんもの。そうなれば、もうお眼にかかる事もないでしょう。では、ごきげんよう。」
そう、もう私があの家に対しての用がないのだ。さぁ、これからどんなことをしようかな?