表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/17

分岐点

街の方から慌ただし気配を感じ目を覚めた。


「う〜ん、なんだろう…」


ちょっと嫌な感じだな。


コンコン、コンコンと2・・にある寝室の窓の外に誰かいる。

僕は誰か予想出来ており、警戒せずに何と聞く。


「朝早くの訪問をお許し下さい。あなた様にすぐにお伝えしたい情報が入ったのですがよろしいでしょうか?」


「良いよサイフォンさん、アレかな?街が騒がしのはその情報に関係してる?」


「はい、その通りです。昨日の緊急依頼が失敗し、42名が命を落とし、8名は辛うじて生き残り、ギルドのリーダー達は1名意識不明の重症、1名右足切断、右半身麻痺です」


「…想像以上の結果になったな。あの二人は邪神相手に遅れを取るランクじゃないはずだからね」


「それでもう2つあります。国王の勅命で今回の緊急依頼は中止しろと兵士に託けしております」


「あ〜、保身に走ったね。確かここの王は人前で魔法を使わないらしいね。まぁ、コッチに来たらどうするのかな」


見た事ないけどここの王が怯えている姿が目に浮かびちょっと笑ってしまった。


「それと今回、エトワールのリーダーシリウス殿が再起不能になったので獣人族の皆が動揺しております。シリウス殿は人間主義側のヒューマンでありながら獣人族に対して、対等に関わって下さり、あなた様が来る前にシリウス殿のおかげで他の国より待遇が良かったのです。しかし、今回シリウス殿が戦闘不能になってしまうと抑止欲として働いていた人間主義の連中が我々に害をなすのは時間の問題かと。なので、妹様には気をつけて下さい」


「なるほど、それはまずいね。…と言うよりシリウスさんってそんな方だったんだ。知らなかった」


「シリウス殿は誠実な方ですな。それに実は獣人地区を離れて町で買物をし始めた妹様は初めヒューマンに絡まれたのですがシリウス殿がその際、仲介に入り助けて頂いてます。その後、シリウス殿の知り合いと認識され、何事も起こってません」


「そうだったんだ。なら後でチェルシーに聞いてみるか」


「はい、では私めはコレにて失礼します」


「いつもありがとうね」


サイフォンは初めにこの国に来た時にちょっとした人助けした時に懐かれた男の鷹の獣人族である。そのおかげで他の獣人族とは仲良く出来ており、チェルシーを見てくれて助かってる。


「僕はただ、静かにチェルシーや知り合い達と暮らしたいだけなんだよね…」


誰も居ないとは分かっていてもただ、言葉を吐き出したかった。






1階のリビングに行くと既にルーチェがパンを頬張っていた。


「ふぅがふがぁ…あぅぅ」


下噛んだのかな?何か言いかけて涙目になってる。


「大丈夫?口の中食べ終わってからじゃないと危ないよ」


コクコクと頷き、モグモグと口の中のパンを飲み込み、笑顔一杯になった。


「ユーにぃ、おはよう、ルーはやおきして、チェルのてつだいしたよ」


褒めて褒めてと言わんばかりに顔に出ていたので偉いね!って撫でてあげるとエヘヘっとハニカミ幸せそうだ。

…エルフって愛想ないとか傲慢とかそんなイメージだったけど一気に無くなった。

いや、待てよ!ルーチェはまだ小さいからエルフのプライドとかまだ無いのかも。ならコレから僕が立派なレディに育ててあげたら…って、コレは光○氏みたいに自分好みの妹にして手を出したのと同じ原理では無いのか。

などと考えていたらチェルシーが朝ごはんの支度を終えたので一緒に取る。


「にぃ様、今朝市場で不安な事を耳に挟みました」


ハムと卵を挟んだパンを頬張りながら耳を傾ける。


「何でも緊急の依頼でギルドで強い方々が集められたみたいですが失敗したらしいです」


「昨日、僕よりランクの高い方々が集まった依頼だね」


「その中に町で知り合ったシリウス様って方が再起不能になったとお聞きしました」


「チェルシーは凄い人と知り合いなんだね。昨日、初めて僕お会いしたんだよ」


「町に出かけた時に助けて頂きました。私も自分の立場を忘れて浮かれてしまって、絡まれたのですがシリウス様のおかげでそれ以降も町に出ても何も起きなくなりました」


「そっか。シリウスさんにはお礼言わなきゃいけないかな」


「…それでにぃ様、相談ですがシリウス様を治せませんか?」


「ん〜、出来ない事も無いけど一芝居一緒にうってくれるかな?そしたら、出来なくもないね」


チェルシーはウルウルと涙目になり、何回も頷いた。



「ユーリさん、チェルシーちゃん、おはようございます♪」


家から出ると隣に住んでるユファさんが居た。

ユファさんは兎の獣人族で左の兎耳が垂れているのが愛嬌だ。本人はコンプレックスらしい。


「今日は出かけるのですが1人知り合いの子が居るので何かありましたらお願いしても良いですか?」


「あらあら、構いませんよ〜でしたら、お昼作ったらその子とお食事会しましょうか♪」


「はい、お願いしますね」


こうして、何かあった時にユファさんが頼りになってくれる。

さて…チェルシーと相談しながらギルドに向かうかな。



そう言えば、魔法についてちゃんとお話しようか。

この世界は大気中のマナを使い、もしくは体内にオドを作り、大きな魔法が使えたらしい。

らしいとは三千年前に突如魔法の技術・・が奪われた。

魔法が使えた痕跡のみが今に残り、魔法が使えなくなった。

さて、ココで問題なのが今まで僕は魔法・・を使っているし、他者も魔法・・を使っている事だ。

魔法が使えなくなっただけで魔法は存在している。

魔法を使う手段が無くなったと言う見方が正解だ。

そこで、それぞれの種族は新たな魔法を扱う技術を考えたのが魔術だ。

種族によって様々だが呪文スペルの組み込みや術式、魔方陣や魔術刻印など様々なやり方で魔法の存在をアーカイブして使う。

また魔法を扱える者が増えたがそれは以前の魔法使いと同じ様に呼べるのか?

魔術と言う新しい技術なのだなら魔術師と名乗れば良いのだが昔の人々はプライドが許さなかったらしい。

アルマと新しく付けたられた媒介を使う者を新たに魔法使いと呼ぶようになったのだ。

創作者と使い手が生まれ、奪われた魔法技術に及ばず未だに魔法を取り返す事が新たな魔法使いの定義になっている。


…さて、ココで僕の問題に入る。

推測な話だが前世の記憶があるし、異世界の因子を持って生まれた僕は魔術を使わずに魔法・・が使える。

それは異端で他人に知られたらどうなるか想像したくない。なのでアルマを使ったふりをして今まで魔法を使っていた。

以前、魔術は発動で何をするか分かり、対人では使えなかったが勇者が改良して、バレない様に仕組みが変わったので僕が魔法使っても違和感が無く使える。


「…い、今のは何ですの?」


リーサが聞いてくる。

ちょっと整理するとシリウスさんにハイヒールを使う為に小芝居をしたのだ。

ハイヒールは太古に無くなった魔法の一つだからだ。

何度も使えると思われたら今後、立場が悪くなる。

治療魔法の適性があると知られたのは痛いがシリウスさんは今後の生活で利用出来るので仕方ない。


「うん、成功だね。コレはハイヒールをアーカイブした腕輪だったんだけど強力だから1度使うと壊れちゃうから使いたくないかったんだけど妹がシリウスさんにお世話になったらしいからね。2個しか持ってなくてね、ラスト1個だから大事に取っていたけど無くなっちゃった」


「おぃおぃ、こんな奇跡みたいなのが失われた魔法なのか」


シリウスさんもびっくりしている。


「そうですね。だから、使う予定はなかったのですが、貸しですよ」


「こりゃ、あのお嬢ちゃんに感謝だな。今後もお嬢ちゃんは誰が敵に回っても俺も助けるぜ」


…やはり、獣憑きって知られている可能性は高いな。

使って正解だったね。


「貴様、今の魔法はもうないのか?」


兵士が聞いてくる。


「はい、壊れたので無いですし、創作者はどこにいる分からないですよ。知っていると思いますが創作者は自分を守る為に名前を隠す人も多いですから情報はあってないようなものです。たまたま、僕は運が良く、譲ってもらいましたが今まで見た事ないので難しいでしょうね」


「…そうか。一応、最終警告だ。王の勅命でその依頼は中止だ。帰るぞ」


そう言うと兵士は僕を一瞥して兵士達はギルドから出ていった。


まだ、ギルドがシーンとした中、リーサが口を開く。


「皆様には、協力して貰い感謝してます。やはり、エルフの民でやりますわ。わたくしは今日の事を忘れませんわ」


綺麗に笑うリーサに周りの冒険者達は歯をくいしばる。

命がかかっているし本来なら行く選択肢を選ぶ者は少数だろう。それに冒険者は自由だ。しかし、仲間が殺られプライドもさっきの兵士により傷つけられた。

悔しいだろうな。


「すまないな君達、力になれると思ったが結果がコレだ」


「構いませんわよ。初めと変わりませんの。どの道、わたくし達は覚悟できてますの」


「そやな。犬死だけはしたくないから次は全力でやったるわ!」


そう言い、リーサ達はギルドから出ようと歩き出した時にチェルシーが話しかけた。


「あの!ナーさんとリーさんですか?」


「そうやけどどないしたん?」


「ルーチェちゃんは知ってますか?」


2人は顔を合わせて険しい表情を作った。


「知ってるも何もウチらが逃げる時にウチらが囮になってルーチェは仲間と一緒に逃げたはずなんやけど…まさかルーチェは無事か?無事やんな?」


ナタリーは泣きそうな顔でチェルシーに迫る。

見捨てた説は違うようで良かった。


「はい、にぃ様が死にかけていたルーチェちゃんを助けて今はウチに元気でいますよ」


「なんや、ユーリも人も悪いわ。ルーチェを知っといてウチらを助けたんか。まぁ、ありがとうな」


「ルーチェとの出会いが出会いだったから情報が分からなかったから2人に言わなかった。ごめんね」


「いいですわ。ルーチェを救って頂いて本当に感謝してます。今後も宜しければルーチェを任せても良いですか?」


「エルフの仲間に渡さなくていいのか?」


「そのエルフの仲間が任せれなかったから貴方の所に辿り着いたのでしょう。それに貴方なら任せても良い気がしますわ。エルフの感…ですわ」


最後は悪戯っ子の様に笑うリーサ。


「分かった。安心して欲しい。チェルシーもいるからさ」


「ならウチらはそろそろ行くわ。ありがとうな」


2人は真剣な顔つきに引き締め、ギルドを出ていった。


「…さて、僕はどうしようかな」


人の名前や場所の名前や魔法の名前付けが難しいですね(´・ω・`)

いつも悩んでしまいます。

設定が甘いなって思われた貴方!

ごめんなさい(´;ω;`)

即興で設定していますので「全く仕方ないね、ここはこうじゃない?」と優しく教えて下さると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ