リーサ 前編
今回はエルフの視点で書きました!
私、リーサは長の娘として15年間、里の皆に助けられ生きてきました。
エルフは何千年と生きる長寿の種族なので私はまだまだ未熟者…だから、里の皆に追いつくように私は毎日鍛錬と知識を貯めて少しでも里の為になればと思い頑張りましたわ。
ですが、私の想いと日常はあの化物により壊されてしまったのです。
エルフは守りに長けており、エルフの結界魔術を破る者は魔王級の者しか出来ないのでありますの。
ですが突然、アレはやってきたのですわ。
パリンと響いた音の次の瞬間、私は衝撃により気を失いました。
「…ーナ、リーサ、早く起きるんや」
どれ位経ったのか分かりませんが目を覚ますと燃える家、いや、集落を目にしてようやく私は現実を理解しました。
「はよ逃げるぞ、この里は放棄してあんたはメベッドの里に行きなさい」
「ナタリー、ナタリーもですの?それに里の皆は大丈夫ですの?」
「うちはまだ、ルーチェを捜すわ、里の皆は生き残っている者は長と共に迷宮に結界を張り、護っているんやけど他の皆は分からん」
「なら私も迷宮を護る為にー」
「ならん、リーサはうちと共に外へ出て助けを求めるんや。長の命令でもある」
「何故ですの?、私だってやれますわ」
「それにもう迷宮に立て籠もっていて、その周りにアレが居るんやから無理や」
「何が居ますの?私は爆発と共に気を失い理解してませんの」
「邪神や、邪神がこの里を崩壊したんや」
私は絶句しました。邪神が現れる事は無いですし、ましてやエルフが遅れを取ると言うのが俄かに信じられませんの。
「無理もない、普通の邪神ならうちらの結界自体破れへんのやけどそれを破ったとあれば幻獣種より強い邪神やと思う。さっき、戦ったけど勝てる気せーへんかったわ」
ナタリーは双剣使いとして、エルフの里でも上位の強さであると言うのにナタリーでも勝てないなんて私では到底無理ですの…
この時、私は心が折れかけてしまいました。
「リーサ、うち1人やから勝てへんと思ったんやけど、リーサが居てくれたらうちは更に強くなれるで!だから、もう一度言うけど里の外に出て、状況を立て直し邪神をやっつけようや!長らは死ぬ気で結界を張り、うちらの役目の迷宮を守っている。ならうちらは迷宮を守る長らを守るんや、だから、リーサもうちに協力して」
そう言われたら私は流れる涙を無視して、頷く事しか出来ないじゃないですか。
警戒しながら里の迷宮の反対にある巫女の祭壇に向かいました。
予想よりも里の反対までまだ被害が無かったようでルーチェを見つけ出し、数人の里の者と里から出る用意をしました。
30人のエルフで5人に別れて、6つの里に応援を頼む様にして、行動を開始しましたが問題がやってきました。
魔狼であります。
気が付いたら後ろに居たのです。
きっと私達が離れるまで待っていたのかもしれません。
「リーサ、援護頼むわ、アレは邪神の周りに居た化物やから、あいつはうちらの事も気がついていたんやと思うわ。中々、頭の回る邪神って嫌やな」
そう言いながら、双剣を手に反撃を仕掛けました。
魔狼が飛び込んで来た瞬間、右の剣で受け止め、左の剣で首を切る。
1匹を仕留めたら魔狼達は立ち止まり、警戒を強め、狙ってます。しかし、相手が悪いですわ!ナタリー程の剣の使いはそうそういないのですから!
私も何時でも援護出来るように弓を構えてますわ。
「おぃ、サザンとカインよ、ルーチェを連れてメベッドの里に先に行ってや。後で追いつくからおまえ達はルーチェを1番に考えて、行動してほしい」
二人は頷き、ルーチェを連れて走り出しました。
そうすると1匹の魔狼が追いかける為か動き出そうとした瞬間、私の矢が魔狼の頭の中心に刺さり倒れ、動かなくなりました。
隙を突けば、速さが売りな魔狼でも当たる。
不謹慎ながらちょっと喜んじゃいそうですわ。
「さすがやわ、リーサ、魔狼相手に矢が当たるの里の者も難しいはずやで、彼奴ら早いからな」
「ふふん、私ももう子供ではありませんの。ですので任せてくださいまし」
「頼りになるわ、なら仕掛けるとすっかね!」
あの後、12体の魔狼をナタリーと私で倒し、森を抜けて、川に出ました。
夜になってしまい、本日はココで野宿にしますわ。
ですが、私は一つ考えが浮かんでいて、それをナタリーに聞いてもらう事にしました。
「ええっ!正気かぁ!ヒューマンに頼むなんてありえへんって」
「ですが、グラーヴェの王族と盟約がありますの。魔法が失って三千年、ヒューマンの王族のみ、一部の魔法が使えるそうですの。邪神を上手く倒せる可能性がありますわ!」
「ヒューマンと交流を経って千年近く、彼らは未だに自分等がやってる愚かな事に気がつかない連中だぞ?宛には出来んと思うけどな」
「…精霊殺し…ですね、私達エルフが教えても理解もせず信用せず、私達から避けたのはもう、随分昔ですから、今なら分かって下さいますの!また手と手を摂り合えたら、ソレは良い事ではありましょう」
「まぁ、そうやな、ウチも100年近くしか生きてないし、今の情勢も分からないうちに決めつけたらあかんな!」
「良し、なら明日早くから行きましょう」
しかし、私は一つ間違ってました。
次の日、街に訪れ、門まで来たのは良かったのですがヒューマンの王族に会う事しか出来ないのであれば話も出来ず、取りつく島もない状態になってしまい、私は感情的になってしまい、兵士と歪みいになり、険悪になってしまいました。
その時、1人の男の子に声をかけられたのです。
兵士が殺気を含んだ瞬間、男の子は更に覆い隠す様に殺気をあてると私達と兵士は何も言えなくなりました。
本能が彼には逆らってはいけないと告げているのを感じると大人しく付いて行く事にしました。
彼はヒューマンでも若いのでしょう。私より背は大きく、170㎝はあるようです。銀色の髪と珍しく、顔もエルフには負けますが悪くないです。
しかし、先ほどの殺気が嘘の様に今は普通の少年ですわ。
いい加減痺れを切らしてしまい、声をかけたら少年もほうてました。少年が付いて来いって言ったのに意味が分からないのですわね。
ちょっと揉めましたがギルドに連れて行って下さる事になりました。
そこでは思った以上にヒューマンが積極的に協力的で少年のおかげで助かりました。
私達だけでやっていたら無理だと思いますわ。
少年はその後、エルフでも泊まれる宿を教えて下さり、別れました。
ちょっと残念と思ってしまったのですが何故でしょう?
「リーサ、世の中凄いな、うちはあの少年に勝てる気しないわ。上手い事、力量を隠してるけど門にいた兄ちゃん相手にした時のアレが少しだけって考えるとヒューマンに頼るのもありだって思えるわ」
私の感はどうやら当たっていたようです。