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学校の中庭で愛を叫ぶ

作者: 目在

 ある晴れた昼休みのこと。俺は中庭で人ごみに埋もれていた。


「今日は天気にも恵まれまして、見事に叫び日和となりました。皆さん、用意はいいですか?」


「「「「オォー!!」」」」


「ではこれより、『叫び大会』を始めます! 司会は私、3年1組の川田かわだ耕作こうさくです。よろしくお願いします!」


「「「「イェーー!!」」」」



 この時、異様に高いテンションの生徒たちが学校の中庭に集まって変な大会を開催していた。中庭に接しているベランダからも生徒が身を乗り出して注目しており、この学校のほとんどの生徒(中には教師の姿も見えた)が来ているのではないかと思えるほどだった。主催は最上級生で、日頃の鬱憤をはらすのが目的らしい。



「まずは、我らが3年1組の松嶋まつしま俊介しゅんすけ君です。どうぞ!」


「いけー、俊介ー!」


「大林先生のリア充がー!! 愛されスキンヘッドめー!!」

「「「「リア充爆発しろー!!」」」」


「俺も彼女にバリカンされてぇー!」

「「その前に彼女作れーw」」



「二番手は、2年5組の並木なみき多加子たかこさんです。どうぞ!」


「私は厨二病じゃなくて高二病よ! 間違えるんじゃない!!」

「「わかたよ厨二病ー!!」」

「違うっつってんでしょうがー!!」



 …こんな大会に俺の友人が参加している。まあ、そいつも変人なんだが。

 次々と生徒が叫び、野次を飛ばされたり恋を応援されたり(告白してふられた人もいたり)する中、ついに友人の名前が呼ばれた。



 「次は、1年4組の篠原しのはら良二りょうじくんです。どうぞ!」


 俺は普段こういう行事は教室から観衆を遠くからみているだけなんだが、いつもは大人しくしているこいつがどんな事を叫ぶのか興味があったためこうしてここにいる。どうせくだらないことだろうがな。


 良二は司会に一礼し、前を向いて深く息を吐く。そして大きく息を吸って口を大きく開いた。


「ユーフォさん!愛してるよ!!」

「「「「ヒューヒュー!!」」」」


良二の叫びに反応した観衆が歓声を上げる。しかし、ユーフォさんって誰だ? 聞いた覚えがあるが思い出せない。


「出ました、愛の告白ですね。告白の相手はここに居ますか?」

「いえ、音楽室に。」


叫んだ後のインタビューと称して司会がマイクを良二に向けると、良二は即答する。


「部活熱心な方なんですね。彼女のどんなところが好きなんですか?」

「好きなところですか? ホルンやトロンボーンよりも優しい音色です。あ、でも低音ベースの安定感も――」

「は?」

「――何と言ってもテナーサックスとのトリオは素晴らしいですよね!」

「…すみません、ユーフォさんの名前は何ですか?」

「え? Euphoniumユーフォニウムですけど?」



・・・・・・そういえばこいつ、吹奏楽部だったな。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


※誤字や表現に変なところがありましたら、ご指摘よろしくお願いします。

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