08 香里奈の質問
「愛留奈は生徒会に興味ある?」
ある日の休み時間、いきなり香里奈がそんなことを聞いてきた。
香里奈の言う興味とは、『生徒会役員』についてなのだろうか。
それとも『入る気があるか』の興味なのだろうか。
私はどっちの意味でも興味は無いが。
しかしどちらかわからなかったので、とりあえず聞いてみることにした。
「別に無いけど……どうして?」
「ほら、この前食堂で会った先輩いたでしょ? 最近あの人が生徒会の話ばっかりしてきてさ。生徒会って面白いのかなって疑問をもったから。愛留奈の様子を見ると面白くなさそうだねぇ…」
そう言って溜め息をつく香里奈。
食堂で会った先輩って……ああ、風間幸宏のことか。すっかり香里奈にベタ惚れだな。
しかしこのままいけば、香里奈を生徒会に入れることが可能になるんじゃないか?
もしも今入れてしまったら物語が変わってしまうかもしれない。だけど上手くいけば早くフラグをたてられるんじゃないか?
そうと決まれば話は早い。
「でも、それは私からの観点だからあまり参考にしない方が良いと思う。それに気になるなら行ってみれば?」
「じゃあ愛留奈も来て!」
「………………………………………」
うん、そう言われるんじゃないかと何となく予想はしていた。
いつも思うが、香里奈は愛留奈に対してこんなに人懐こかったか?
ゲームの香里奈はもう少し自重していて、私に依存していなかったはずだけど……。
気になるけど、とりあえず今は香里奈を生徒会に連れて行くのが優先だな。
そう思った私は、香里奈と一緒に隣のクラスの藍原拓磨に会いに行くことにした。
「あれ、愛留奈さんに香里奈ちゃん。どうしたの?」
「ァン? テメェら何か用かよ?」
クラスの人に拓磨を呼んでもらうと、何故か一緒に静悟も来た。どうでも良いけど。
というかやっぱりこの二人は正反対だなといつも思う。
「実は香里奈が生徒会を見学したいらしいので、身近な藍原君に許可をもらいに来ました」
ちなみに私と香里奈はお互いを呼び捨てにしている。
香里奈曰く「親友なのに呼び捨てじゃないって……なんか嫌!」らしい。だから香里奈は呼び捨てにすることにした。
私がそう言うと拓磨は困ったような顔になり、静悟は何故か私を睨みながら聞いてきた。
「見学するのは三宅だけか?」
「は「愛留奈もに決まってるじゃない!」……………」
わざとか? これはわざとなのか!?
私が思わず顔をしかめると、静悟はニヤリと笑って拓磨を見た。
あ、なんだか嫌な予感。
「拓磨、別にいんじゃね? 見学するだけで入る訳でもねーんだしな」
「うーん……それもそうだね。わかった。話はこっちでつけておくから、放課後にまた来てくれる?」
「わかった! 楽しみだね、愛留奈♪」
私は楽しみじゃないです。
ああもう、何で私が生徒会を見学しなきゃならないんだ。