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勘違い少女と主人公達のSTORY  作者: 沙由梨
第2章 狂い始めた物語
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13 真沙斗の質問と笑顔

波乱の勉強会が終わり、私は香里奈と一緒に寮へ帰る準備をしていた時だった。


「あのっ、愛留奈先輩! 少しいいですか?」


名前を呼ばれたので振り返ってみると、少し頬を赤く染めてモジモジしながらたっている真沙斗がいた。


私はどうしようかと思い香里奈の方を見てみたら、「大丈夫だよ」と言って微笑んでいた。


「うん、平気だよ」


「! あ、ありがとう、ございます!」


真沙斗はパッと笑顔になって私にお辞儀すると、今度は香里奈の方を見てお辞儀をした。


その後再び私の方を見て「それじゃあ…」と言って私の鞄も持ってくれた。


おお、ありがたい。でも大丈夫か?


そう聞いてみると真沙斗は微笑んで「心配しなくて平気ですよ」と言った。


なので私は真沙斗についていくことにした。



生徒会室を出て扉を閉める時に香里奈と拓磨が何か言い合っていた気がしたけど、あえて無視することにした。







真沙斗に案内された場所は、前に真沙斗と出会った場所である屋上だった。


なんでここに案内されたのかわからなくて思わず首を傾げると、真沙斗は苦笑しながら前に座った場所へ向かった。


それを見て私も前に座った場所へ向かい、真沙斗の隣に座った。


しばらく沈黙が流れたが、真沙斗が何かを決心したのかこっちを向いて聞いてきた。


「あのっ、愛留奈先輩は彼氏とかいますか!?」


「へ?」




訳がわからなかった。



どうして真沙斗が私に彼氏がいるって聞いてくるんだ?


それを聞くのは香里奈に対してだし、仮に私に対してだったとしても、時期的にはまだ何ヵ月も先の事だ。


私が首を傾げると真沙斗はそれを意味不明だと思ったのか、慌てて説明をしてきた。


「いや、あのっ、別に僕がどうとかではなくてっ! ただ純粋に先輩に恋人とか好きな人とかいるのかなーと思っただけであって! だからっ、そのっ、決して下心があった訳ではありませんから!」


「???」


何故弁解する必要があるのかわからずに再び首を傾げると、真沙斗は顔を真っ赤にして頭を抱えた。


えっと、つまりは私に好きな人とかいるかどうかが気になったってこと?


なんでこんなに時期が早いのかすらわからないけど……質問に答えればいいのか?


「いないよ」


「え」


「彼氏も好きな人もいないよ」


私がそう言うと真沙斗は生徒会室の時と同じ様に顔をパッと輝かせた。


うお、眩しい。これが攻略キャラの眩しい笑顔か! 輝いてるな!


……なんてことはどうでもいいとして。


聞きたいことは聞き終わったのか、真沙斗はお辞儀をして礼を言った。


それを見た私は自分の鞄を持って屋上の扉に向かって歩いた。


屋上の扉を開ける直前まで来た時、いきなり真沙斗に呼ばれたので振り返ってみると、とても穏やかな笑顔で私を見ている真沙斗がいた。


「先輩! 今回のテスト、頑張って一位をとります! だから、その時は……『おめでとう』って、褒めてもらってもいいですか!?」


どうしていきなり真沙斗がこんなことを言ったのかはわからない。


だけどこの時の真沙斗はとても輝いていて、綺麗で……私は思わず微笑んでいた。


「わかった! テスト、頑張ってね!」


「!! はいっ、頑張ります!」


そう言って、真沙斗はさっきよりも微笑んだ。




この瞬間を、私は絶対に忘れることはないだろう。



心から、そう思えた。



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