12 理解不能
どうしてこんなことになってしまったんだろうか。
私はただ問題が解けなくて「わからない…」と呟いただけなのに、何故香里奈と拓磨と龍次が一斉にこっちに来たんだろう。
「私が教えます!」
「いーや、俺の方が教え方が上手だ」
「何を言っている。三年の俺が一番適任に決まっているだろう」
「それは……と、とにかくっ! 二人とも邪魔しないでくださいっ!」
しかも向こうで何故か喧嘩しているし。
その間に私は静悟に教えてもらっているわけだが。
それにしても、静悟は教え方が上手だな。ゲームでは主人公と生徒会が一緒に勉強しているシーンがなかったから知らなかった。
「――だから、こうなるんだよ。こんくらい理解してろ」
「ごめん、ありがとう…」
「ま、まぁ、どうしてもわかんねぇなら、また教えてやるよ。どうしても、だかんなっ!」
「???」
なんで『どうしても』を強調したんだろうか。私だって極力は自分の力で問題を解こうと努力してるんだけど……。
だけど教えてくれるなら、お言葉に甘えて教えてもらうとしよう。
「って、ああっ!! 静悟君が教えてるー!!」
「ちょっ、抜け駆けか!?」
「俺に逆らうとは…いい度胸だな、静悟?」
三人は私が静悟に教えてもらっているのに気付くと、何故か一気に黒いオーラを身に包んで静悟に向けていた。
それを理解した静悟はサッと顔を青くして、一瞬で自分が座っていた席に戻った。
三人は満足気に頷くと、静悟と同じように自分の席へと戻っていった。
「美野原君、大丈夫? 三人はどうしたの?」
「何でもないよ? 心配かけてごめんねっ」
「そうそう。何でもないから。ね、会長?」
「勿論だ。なぁ、静悟?」
「……ソウデスネ」
いや、何でもないような空気が(主に静悟から)出まくってるんだけど……。
これって、あえて触れない方がいいのか? 触れちゃまずいのか?
「それで愛留奈。他にわからない問題はあるの?」
「いや、美野原君に全部教えてもらったから大丈夫」
「「「……………………………ふぅん………」」」
「……っ!?」
あれ、今度はブルブル震えてる。本当にどうしたんだろう?
そしたら今度は香里奈と拓磨と龍次が黒いオーラを出しながら静悟を睨んでる。なんで?
私は訳がわからず首を傾げた。