11 誘いという名の拉致
外から雨の音がしたので、解いていた問題集から目を離して外の景色を見た。
外は雨が降っているせいか薄暗くなっており、窓に雨が当たっていた。
そんな景色から目を離し、周りを見渡す。
両隣には香里奈と拓磨が。拓磨の隣には静悟が。私の向かい席には真沙斗が。真沙斗の両隣には蓮と龍次が。龍次の隣には幸宏がいる。
そして場所は――――生徒会室。
………どうしてこうなった?
*
「愛留奈! 一緒に勉強しよー♪」
放課後、香里奈が私に話しかけてそんなことを提案してきた。
今、光ノ原学園はテスト週間に入っている。そのため私達には関係ないが、部活動も休みとなっている。
これを好機と思った私は一人で勉強しながらこれまでのイベントのことについて考えようと思ったのだが……やはりと言っては何だが、香里奈が勉強会を提案してきた。
香里奈は頭が良い。だから一緒に勉強した方が自分の成績のためにもなるだろう。
だからと言って、折角一人で静かに考え事を出来る空間を壊す気はさらさらない。
香里奈には悪いが、ここは断るべきかもしれない。
「悪いけど、今日は「別に良いんじゃないか?」………何でいるんですか?」
香里奈の誘いを断ろうとした矢先、何故か私と香里奈の横に龍次が立っていた。
というか、何でいる。他学年が他学年の教室に入っちゃいけないって規則を生徒会が破っていいのか。
今それを言っていても意味ないが。
するとそれを筆頭に、生徒会役員全員が周りに集まってきた。
嫌な予感を感じながらも、不機嫌さを隠さずに私は聞いた。
「何か用ですか? 用がないなら帰りたいんですが」
「帰るのは駄目だぞ。お前にも用があるんだからな」
鞄を持ってこの場から逃げようとしたが失敗。龍次に肩を強く掴まれてしまった。
私は内心舌打ちをして、首を傾げながら再び聞いた。
すると龍次はニヤリと笑って私を担ぎ、爽やかな笑顔で言った。
「生徒会室で勉強会だ」
あ、嫌な予感的中した。
最近よく当たるな……。何か嫌だ。
担がれた状態で後ろを振り向いて見ると、何故か笑顔でついてきている香里奈がいた。
香里奈……一体何を吹き込まれたの?
*
そんなこんなで今は生徒会室で勉強をしている。しているけど……
「愛留奈さん、そこ間違えてるよ」
「あっ、拓磨君! 私が教えるんだから黙ってて!」
「あのっ、愛留奈先輩! 教えてほしい問題があるって、ちょ!? 蓮!?」
「教えてほしいなら俺が教える」
なにこの修羅場。いや、もしかしてデシャヴ?
こんなことで勉強出来るのかな…?
私はただ、それだけを考えていた。