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勘違い少女と主人公達のSTORY  作者: 沙由梨
第2章 狂い始めた物語
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09 生徒会

時は放課後になり、私と香里奈は隣のクラスに向かっていた。


香里奈はすごく楽しみなようで頭に花が見えると錯覚してもおかしくないくらいだが、私はかなり鬱だった。


そして香里奈はクラスに着くなり思いきり扉を開けた。


「拓磨君、静悟君、生徒会室に行こー!」


「あ、うん。行こうか」


そう言って歩き始める三人。


さて、この間に私は逃げるとするか。


そう思った矢先、何故か体がフワリと地から離れたと思ったら腹に圧迫感を感じた。


驚いて頭だけを後ろに向かすと、肩に私を抱き抱えている静悟がいた。


「あの、美野原君? 何で抱えるの?」


「だってお前、逃げる気だったろ?」


そう言ってニヤリと笑う静悟。


なるほど、こいつには既に逃げることを先読みされていたと言うわけか。


それ、何か悔しいな。


抵抗を試みるが女子と男子だ。体格も力も何もかもが劣っている。勝てるはずもない。


そう思った私は、大人しく静悟に抱えられていた。







静悟が足で扉を開けると、生徒会室には香里奈と拓磨を含んで六人いた。


「え、ちょ、静悟!? 何で愛留奈さんを抱えているのさ!」


慌てて私達に近いて、奪うようにして私を床に下ろす拓磨。


ああ、やっぱり男子は力が強いんだな。


「静悟君! 愛留奈に何もしてないよね!?」


続いて私に近寄って静悟を睨み付けながら私を抱きしめる香里奈。あなたは依存しすぎです。


振り返ってみると、やはり表情は人それぞれだった。


会長席に座る龍次は訝しむように顔をしかめ、その隣に立っている幸宏は面白いものを見た子どもみたいにニヤニヤしており、役員用の席に隣り合わせで座る真沙斗と蓮は同じ方向に首を傾げていた。真沙斗は若干顔が赤かったけど。


私は会長の目の前に行き、ペコリとお辞儀をした。


「いきなり見学しに来てすみません」


「それは構わないが……あの騒動は放っておいて良いのか?」


「だって私は関係者じゃないですから」


私がそう言うと目を見開いて「無自覚なのか…」と呟いた。


無自覚? 一体何がだろうか。


私が首を傾げると首を横に振って私に聞いてきた。


「それで、どうして見学しに?」


「私は巻き込まれただけなんですけど、風間先輩が生徒会について話しているらしく、面白いのかと興味をもったらしいです。香里奈が、ですけど」


そう説明すると、龍次がいきなり幸宏を睨み付けた。


それに気づいた幸宏はものすごいスピードで首を横に振り、涙目になりながら同じ言葉を連呼していた。


それを無言で聞いていた龍次は幸宏に最終確認をして、再びこっちを向いた。


「そうだな、見学と言っても特に何かがあるわけでもないんだが……実際にやってみるか?」


「え「やりますやります! ねっ、愛留奈!」…………そうだね」


いつの間にか横に来ていた香里奈が何故か返事をし、私は棒読みで同意した。


それを見ていた龍次は私に「その……頑張れ」と言ってくれた。



うん、理解者がいるって嬉しいね。







あの後下校時刻になるまでずっと仕事をしていた。


どうして見学しに来ただけなのにこんなことをやるはめになったんだ。


「はい、見学はこれで終了な」


「ありがとうございました! 愛留奈帰ろー♪」


「え、女子二人だけで帰るの? 危なくない?」


香里奈が私を帰ろうと誘うと、女子だけは危なくないかと拓磨が聞いてきた。


危ない、と言ったら半分嘘になるかもしれないが、ここはフラグをたてるために私は一人で帰った方が良いだろう。


「ごめん。少し用事があるから先帰ってて」


「え、それまで待ってるよ?」


「だけど危ないし……」


「だとしても嫌ぁ!! 一緒に帰るのぉ!!」


そう言って私の制服の裾を掴んで上目遣いで私を見る香里奈。



う、ゲームでこの場面はあったけど、実際生で見るとかなり効く……。だけどフラグをたてるためには耐えなきゃ…!



頑張って香里奈を見つめ返すが、どうしても香里奈の潤んだ瞳の視線には勝てなかった。


私は小さく溜め息をつく。


「わかった。それじゃあ帰ろう」


「!! うんっ!」


私がそう言うと笑顔になる香里奈。とても可愛い。


香里奈は素早く立ち上がると、私の腕を引っ張って颯爽と歩き始めた。


「それじゃあ、また明日ー!」


「えっ、あっ、失礼しました!」


香里奈に引っ張られながらも何とか生徒会の皆に挨拶をした。聞こえていたかは不明だが。



そんな私達を、まるで獲物のように見ていた龍次を知るよしもなかった。



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