00 早速転生
「あなたは死にました」
私はいきなり、そんなことを言われた。
私の目の前にいるのは、頭の上に定番の天使の輪を乗せて白い衣服を身にまとっており、自分で『神様です』と言っていてもおかしくない人だ。
そんな人が、私に向かって『死にました』と言った。
となれば、ここは天国か?
言われてみれば辺り一面真っ白で、地面は固くなく、むしろやわらかい。
死んだなら天国か地獄という選択肢があるわけだが、見た限り地獄という選択はあり得ない。
つまり、消去法的に天国ということになる。
というかなんでこんな場所にいるんだ? 天国なら他に人がいてもおかしくないというのに。
そんな私の考えを見抜いたかのように、疑問に思ったことを話してくれた。
「確かにあなたは死にました。しかしそれは寿命だからという理由ではなく、こちらの不都合で死んでしまったのです。そのお詫びといってはなんですが、あなたを好きな世界へ転生させましょう」
へ? 転生? それってあれだよね?
死んでしまった人の中で、ほんの一部の人だけが好きな世界へ転生できるっていう、お決まりの。
「質問。それって、自分でキャラとかも選べるの?」
「大丈夫ですよ。容姿、身体能力、その他のあらゆることも可能です」
「そっか」
それなら話が早い。それが可能ならば、私はあの世界、あのキャラに転生したい。
全部というわけではないが、死ぬ前の記憶が頭の中にたくさん残っている。
その中で、学校から帰ってきても誰とも遊んだりせず、寝る前にも必ずやっていた、いわゆる依存していたゲームが私にはあった。
そのゲームで、私はどうしてもなってみたいキャラがいた。
「…決まりましたか?」
神の問いに私は無言でうなずき、口を開いて答えた。
「私が転生したいのは……
乙女ゲーム『見えない鎖と檻』に出ている脇役で、主人公の親友の『佐渡山愛留奈』だ」
憧れていた。自分の手で、誰かと誰かを結びつけることを。
だから私は、この知識を活かして主人公と攻略キャラの誰かをハッピーエンドにする!