初めてのクエスト
馬に乗りながら森を抜けている間、彼女と話をしていた。
「そういえば、名前言ってなかったよね。私はレナっていうの。よろしくね!」
「俺は青龍。よろしく!」
軽く自己紹介を済ますと、レナが質問をしてきた。
「ねぇ、青龍君って何歳?」
「16だけど・・・?」
「じゃぁ、私のほうが2つ上だね♪」
「年上!?・・・えっと、レナさん・・・?」
「そんなに堅くならなくていいよ?」
レナさんは笑いながら言ってくれたけど、さすがに年上相手にタメとか呼び捨てはできないからなぁ・・・
いろいろ話しているうちに、だいぶ時間が経っていたようで、村のようなものがゆっくりと見えてきた。
「あれがアラナスですか・・・?」
「うん。最初の村だから大きいお店とかは無いんだけど、なかなか良い所だよ。」
村に入るとレナさんから村を案内してもらった。
武器屋、雑貨屋、衣料品店、銀行、食料品店、薬屋など、小さい村にしては、いろいろあって見るだけでもなかなか楽しかった。
「そういえばクエストがあったよね?」
ルナさんが唐突にそんなことを聞いてきた。
「クエスト・・・?」
「サーチャーで確認してみて?やり方はもう分かるよね?」
画面に触れ、クエストという文字に触れる。
いくつかクエストが出てきたが、一番上の「村長に挨拶」というクエストを押してみた。
「えっと、村長に挨拶ってやつを一番最初にやらなきゃいけないみたいですね」
「じゃあ、村長さんの所まで行こうか!」
村長に挨拶をし、この世界の説明などを聞かされている間も、レナさんは少し離れた場所で話が終わるのを待っていてくれた。
やっと説明が終わり、レナさんに話しかける。
「あ、終わったの?」
「はい。一応、終わったとは思うんですけど・・・」
サーチャーで確認をしてみると、クエストの横に「任務完了」の文字が出ていた。
「クエストの報酬は、銀行で受け取ることができるよ。暇があったら行ってみてね!」
「分かりました!・・・ってもうこんな時間!?」
近くにあった時計をみると7時を指していた。
もう母も帰ってきて晩飯が出来上がっている頃だろう。
「すみません!晩飯とか、まだ食べてないので・・・」
「そっかぁ・・・今日はもうこないの?」
レナさんが少し寂しそうな表情をする。
まだ宿題も終わって無いしなぁ・・・たぶん今日は無理だろう。
「今日は多分・・・あ、明日は来れると思います!」
「本当!?じゃあ、待ってるね!!
あ、フレンド登録しといてもいいかな・・・?」
「フレンド・・・?」
「お互いのサーチャーをあわせるの。」
お互いのサーチャーを近づけ、しばらくすると「ピピッ」と電子音が鳴った。
画面をみると「レナさんがフレンドに登録されました。」と出ている。
「それじゃあ、また明日ね!」
「はい、また明日・・・!」
サーチャーからゲーム終了を選択する。
すると、自分のまわりから白い光が現れ、自分を包んでいく。
霞む視界の中で最後に見たのは、いつまでも手を振るレナさんの姿だった。