01#見たことのない部屋
ガゴォン…
鈍く響く音で目が覚めた。ぼやけた視界の中に誰か立って俺を見ている、しばらくボーっと見ていたが、ハッと我に返り改めて見てみると全然知らない男だ。周りを見渡しても知らない場所だ。
「!!?」
訳がわからなくなって頭の中がパニックになろうとしたその時、男が俺に話かけてきた。
「…君も閉じこめられたのかい?」
男が何を言っているのか理解できなかった(閉じこめられた?俺が?)
さらに男は続ける、
「そうか、君もか。…じゃあ何もわからないんだね」
男はため息をついて目線を俺から外す。(なんだこの人は?ここはドコなんだ?)考えれば考える程わからない!
俺は…男に恐る恐る話かけた。
「えっと…よく話が見えないんですけど?あなたは誰ですか?ココはドコなんですか?」
男は部屋を見回しながら考え事をしていたようだが、いきなり話かけられた事にちょっと驚いたように返した。
「あ、あぁ自己紹介が遅れたね、僕は幹村 正。一応大学生だよ。僕もさっき起きたばかりでね…ここはどこなんだろうね?僕にもわからないんだ…。そうだ君の名前は?」
「俺は寺島 一樹です。今年高2ですね…。あ!他には誰かいないんですか?」
幹村は肩を落として力無く首を振った。
…しばしの沈黙。
そこで俺はこの部屋が妙な事に気づいた。部屋は一辺10mぐらいの真四角で、壁と床はレンガのような石で敷き詰められており、何もめぼしい物はない、部屋というよりは石の箱といった感じだ。そして一番奇妙なのは壁一つ一つの真ん中に鉄扉が付いている事、つまり一つの部屋に四つ扉があるのだ。
そこまで気付いたとこで幹村が思い出したように言った。
「そうだ!君もこれを持ってるんじゃないか!?」
そう言って差し出した幹村の手には、小さなボイスレコーダーが握られていた。