リージと、幼馴染。
赤毛にネコ耳の…幼女?が。腕を組んで睨んでいる…うん、背が凄く小さい。リージよりも頭一つ分くらい小さい。背中に魔法使いの杖っぽいものを背負っていて、なぜかゴスロリ系の服装だ。
赤毛にネコ耳…何となく予想がついた。
「アイリーフ…」
リーズの表情から、柔らかさがごそっと消えた。
「久しぶりね、リージ。聞いたわよ、冒険者に襲われたそうじゃない」
「……なに?」
リージの冷たい反応に、ネコ耳幼女の表情は益々きつくなった。
「なに?じゃないわよっ、だから言ったでしょ、ソロは危険だって!リージはまだ子供なんだから、私達のパーティに入りなさいって!」
「……子供って、一歳しか違わないだろ。アイリーフの方がどう見ても年下だし」
「な、なによっ、私だって年頃になれば、レリーフお姉ちゃんみたいに大きくなるもんっ!」
ぶわっと赤毛が膨らむ。
…やっぱりレリーフの妹か…背丈は父親に似てしまったのだろう。
リージより年上とは思わなかった。
ネコ耳幼女の背後にはリージより少し体格のよい少年二人が、これも険しい顔でリージを睨みつけていた。
「ともかく今度こそ、私達のパーティに入りなさいっ!」
「いやだね」
リージは即答して私の手を取った。
「いきましょう、ヒイラギさん」
にこっと微笑みを向けられて、促され私は苦笑しつつ、それに従った。
ギルドから出た所で背後から、大きな金切声が響いた。
「なっ、なっ、なによっ、なんなのよっ、その男はぁあああっっ!!」
うん。ちょっと面倒臭そうな子だなぁ………
「すいません、ヒイラギさん…依頼書、見てる途中だったのに…」
しゅんとした様子のリーシの頭を撫でる。
「大丈夫。さっきの子は?」
「アイリーフといって、僕の一つ上で十五の…今の村人では唯一の火の魔法使いです」
「へぇ、大陸の魔法使いか」
「僕の母が魔法使いで、アイリーフに同じ火の適正があったので教えていたんです」
「もしかして、幼馴染?」
「はい…父さんと母さんが死ぬ前までは、それほど仲は悪くなかったんですが…いつの間にかあんな感じになって」
…あれは、友人の言葉で言うならツンデレ属性持ちなのではないかしら……うん、さっきの発言の本質はあなた一人は心配なのっ、私の力を必要としてっ!というものだろうか?
つれの二人は心からリージを忌々しく思っていそうだったけど、彼らがアイリーフに惚れてるなら有りえそうだ。
「僕がよく聖石を見つけてくるんで、よく取れる場所を独り占めしているんだろうと思われてますし」
「そうなの?」
「いえ、薬草採取が僕の受けるクエストの中心なので、それで他の人より見つけやすいんだと思います」
「なるほど、よく地面を見てるからね」
その後は村の中を案内してもらった。
…人種的には色々だろうか?村の大きさは…宿屋や道具屋武器屋など、それぞれ一件ずつあればことたりてしまうくらい。
飲食店はギルドと宿屋、真昼亭(軽食店?)があった。
建物として一番大きいのは教会だが、二番目に大きいのは宿屋だった。
半分はだいたい冒険者が住んでいて、半分は定期的にくる商連隊が泊るらしい。
私は村にいる間は、リージの家に泊ることを約束させられた。
そういえばポーションは確かにそれなりの値段がした。
銅貨五枚である。
マジックポーションは銀貨五枚はするらしい。
勿論、品質によってピンからキリまであるようだが…
ちなみにポーションよりも安く、持ち運びのできる丸薬が、冒険者の持ち歩く薬で…ポーションの入った容器は三角フラスコに似たピンで確かに、持ち歩くには不自由しそうな形と大きさだった。
私の試験管入りのポーションの量で効き目があるのも、凄いみたいだ……
うん、スキルに魔道具創造あったじゃない?
なんか…この試験管に水を入れると、その水マジックポーションになるらしい。
…試験管から他の、コップとかに移すとただの水に戻るけど。
この試験管、魔道具でした。中身より容器のほうが凄かった…………神しゃま…うん、装備整える時にあんまり神しゃまの力を多用したくないと思ったせいも、あるかもだけど……高性能すぎるよ神しゃま。
でもありがとう。
リージに使わせた試験管を濯いでいて、気づいたことで、とりあえずリージにも気づかれてはいない。
水入れたとたん、数秒発光して驚いた…私自身は割れない効果しか考えてなかったし。
丸薬はマズイ上に、効き目もいまいちで無いよりはまし…くらいらしい。
色々見て回っての感想は、うん確かにゲームの世界、だった。
リアルRPG
『たぶん始まりの村』
一通り回って、夕飯の食材を買いこんで、リージの家に帰ると……
家の前では、ネコ耳ツンデレ幼女が待ち構えていた。
うん。本当に面倒臭そうな子だなぁ…