只今、転職中。
私の書いたスキルに、ミアリスさんは目と口を大きく見開いた。
「え、え、SSーーっっ!?」
そして予想通り叫ぶ。
「人神の祝福持ちなんて、初めて見ましたっ!」
「島の私の一族しか使えない魔法なので。そもそも祝福を得ていないと、島の出入り出来ませんから」
にっこり笑って偽る。
うん。この魔法で海を渡った設定にするための、レベル偽造ですから。
騒がれるのは覚悟の上である。
「そんなに珍しくないですよ?島では私の他に、五人は祝福持ちです」
友人や友人の弟、知り合い達の顔を、ぱっと思い浮かべながら言った。
ただ単に偽るよりも説得力が増すだろう。
人神っていうのは、神しゃまと違って人の信仰が作り出した神っぽいし。それなら島特有の神で、一族の守り神的なものの祝福なら、有りではないかと思う。
「この村のギルドでは初なんですっ」
とりあえずミアリスさんの興奮は、スルーしておく。
サムライ進化のレベルは、名刀のレベルにも付随するものだろう。
魔法刀だし…だからとりあえずAにしておいた。
剣技・刀Bは、魔法刀効果とサムライ進化効果での引き上げが入っているだろう。
このまま刀を振るうのに体が、サムライ進化で対応していけばSレベルになれるかもしれない。
だって、私作ったこの刀、一応銘は平仮名だけど『ざんてつけん』だもの。
それにふさわしくあるなら、伝説級にはなりたい。
「さて、書けましたけど」
まだ何か言いたそうだったミアリスさんだったが、ともかく用紙を受け取って石板の上にのせた。
石板が淡く発光して、用紙の…記入した部分が消えた。
用紙を除けると、石板の方に文字が淡く発光して移っていた。
「カード発行」
ミアリスさんがそう宣言すると、石板の上で光りが集まって手のひらサイズの石板と同じ色のカードとなった。
「こちらかお客様のカードとなります。カードと水晶に触れて下さい」
スキル確認をした水晶球に再び触れ、カードを触るとカードにはFという字が刻まれた。
これは冒険者レベルなんだろう。
「スキル確認・カード更新には次回から銅貨一枚かかりますけど、新たにスキルを得ると受け付けられるクエスト数が増えますので、スキルを得た・スキルのレベルが上がったと思ったら、確認と更新は投資と思ってして下さいね」
なるほど…と、頷いておく。
「誰かと組む時や依頼人へのレベル・会得スキル確認証明の場合は『履歴表示』で示されますから」
「履歴表示?」
確認したいなと思って呟くと、カードは再び淡く光って…石板サイズに広がった。…光りの文字だけが。
ヒイラギ
年齢 16
主用武器 刀
会得スキル
『サムライ進化A』『剣技・刀B』
『一族魔法SS』『細工師AA』『家事全般C』
冒険者レベルF(初心者)
依頼数0
クエスト数0
達成件数0
失敗件数0
「なるほど」
「ヒイラギさん、僕の履歴も見せますね」
少し緊張したような表情でリージが言って、「ギルドカード」と呟く…うん、ちょっと驚いた。
手元が光ってカードがどこからともなく、出現…したんだもの。
もしかして必要ない時は消えてるのか?凄いな、なくす心配がない。
「履歴表示」
リージ
年齢 14
主用武器 ナイフ
会得スキル
『薬草知識C』『剣技・ナイフC』
『聖石採取C』『家事全般D』
冒険者レベルC(村の冒険者)
依頼数2
クエスト数89
達成件数80
失敗件数9
「あの、こんなスキルしかないですけど…いいですか?」
「勿論」
にこっと笑いかけ…
「で、パーティ契約はどうすれば結べるかな?」
首を傾げて聞いてみたら、なぜかミアリスさんが絶叫した。