冒険者に、転職。
……なんか働かなくても、当分食べていけるお金が入ってしまったけど…とりあえずギルドに向った。
先に、ちょっと遅い朝食を取るけれど。
豆のスープとパンを食べながら、冒険者を観察する。
どうもこの時間帯は、比較的若い人が多いみたいだ。
換金所から少しぼんやりしていたリージに、食べるよう促すと、リージは少し不安そうな表情で私を見た。
「やっぱりヒイラギさんは、凄い人なんですね」
「私がって言うより、故郷の技術だろうけどね」
「でも凄いですっ」
そう言って項垂れる。
「リージ?」
「ヒイラギさんは、これからどうするんですか?」
「ん?」
「ヒイラギさん強いし、技術もあるし…すぐ『初心者の村』には用がなくなるんだろうなぁと思って…」
…うん、実際ほとんど神しゃまの力です。
初めて刀を達人なみに振り回して…そうゆう筋肉とか鍛えてないから、刀を放して急激に疲れても、あっという間に回復するし……それにただの回復じゃないみたいなんだよね…なんか、明らかに筋肉が……ついてきてるんだよね…
まぁ、いつか神しゃまの後援が無くても、平気になるくらい鍛えられたら…ちょっと楽しいかもしれない。
「しばらくはこの村にいる予定だけど?」
「本当ですかっ?」
リージは顔を上げて笑顔になった。
「うん、大陸の常識に疎いしね。リージがよかったら、しばらく私に色々教えて欲しいな」
「も、勿論ですっ、あ、あの、よかったらその間、僕とパーティを組んでもらえませんか?」
「パーティ?」
「えっと、冒険者同士の仲間というか、グループみたいなもので」
「ああ、なるほど。うん、よろしく」
握手をして、交渉成立。
私とリージは、朝食の残りに取りかかった。
さて、食事を終え…やっとギルドの窓口に向う。
ミアリスさんが、にこっと微笑んだ。
「いらっしゃいませ、本日はご依頼ですか?クエストですか?」
…その挨拶はお約束なんですか?
「冒険者登録をしたいんですが」
「はい」
カウンターの中から、ごそごそっと道具を取り出し並べられる。
「島人さんなんですよね?文字は書けますか?」
「ええ」
用紙と羽ペンを渡され、受け取る。
名前に年齢
主用武器
獲得スキル
と、書く欄があった。
「あ、スキルはこちらの水晶球に手を触れて、頭に浮かんだ物を書き出してくださいね。会得していない物を書いても登録はされませんので、正直にどうぞ」
ふーん…と、ちょっと濁った緑色の水晶に触れてみる。
これらも魔法具なんだろう。
獲得スキル
『神しゃま』『世界創造』『神言語』『空中浮遊』『水上歩行』『サムライ進化SSS』『剣技・刀B』
『ゲーム魔法』『細工師AA』『魔道具創造』『家事全般C』
ぱっと浮かんだのがこれで、おいおいと内心で突っ込む。
『神しゃま』スキルに入れとくなよ…と。
勿論アーサーさんに対してだ。
あと、サムライ進化ってなんだと突っ込みたい。
と、考えたとたん、頭の中に浮かんだ。
『サムライ進化』(名刀と呼ばれる特殊な剣に選ばれ主となった者だけが、まれに得られる特殊スキル。その刀を振るに相応しい技量と力を、急速に身につけることが出来る。)
うーわー…説明機能つきですか…
AAとかBってのは何かな?
『スキルレベル』
D・初心者。まったく知らない人よりはマシ
C・趣味のレベル。一流とは言えないけれどそれなり。
B・一流
A・超一流
AA・他の評価系スキル持ちに認められると、まれに得られるレベル
S・伝説
SS・人神の祝福持ち
¦
SSS・神しゃま効果
「……」
えっと…サムライ進化は元々あったスキルで、神しゃまのよりしろの肉体だけに発現するレベルってことか………と、いうかよりしろだけが持てるレベルかよっ
『固有スキル』
個人の持ち物で、レベルの値がないもの。
うん、やばかった…アルファベットのついてないのは、私のオリジナルになるのか…神言語はよりしろのみのスキルだからかな?
…これって書かなければバレないかな?
習得スキル
『スキル偽造』
「…」
『スキル偽造』(習得スキルを偽ることが出来る。『世界創造』スキルの持ち主だけが得られる)
「…………」
「あの、ヒイラギさん?どうしました?」
結構長い間固まっていた私に、ミアリスさんは首を傾げた。
「何か問題でもありました?」
「いえ…」
『サムライ進化A』『剣技・刀B』
『一族魔法SS』『細工師AA』『家事全般C』
とだけ書いておいた。