異世界、はじめました。
気がつくと、異世界でした。
いや、頭がおかしくなったとかそうゆうことではなくて。
辺りは水晶の洞窟
一面地底湖?
現在私の座り込んでいる場所は、水中から生えてるような六角水晶群ではなく…台座のように平らな水晶である。
蛍のような虫が、点滅しながら飛び交っていて…でも、蛍よりも光量が大きくて明るい。
室内の間接照明の青いバージョン?くらい。
神秘的…すぎて、すぐさま理解した。
こんなとこが、地球上存在してたら絶対有名観光地。
ゆえに、ココは異世界である…と。
しかしこの場に座り込んでいる私以外の人がいるならば、やはり聞くだろう。
「あの、ここはどこですか?」
目の前で少し楽しそうに自分を覗き込む外人の青年に、私は痛む頭を押さえながら聞いた。
「ん?分かってるだろう?異世界だって」
「……」
はい。なんとなく返答予想出来てました。
何か雰囲気が…私が彼の立場だったら、そう答えるだろうなぁというものだったので。
「…言葉、通じるんですね…」
「ああ、神言語だからでしょ」
「しん…」
なぜかスムーズに脳内漢字変換された「しんげんご」にて、意味は分かったが…ちょっと分かりたくなかった。
「あなた、神様ですか?」
なんというか、ありきたりなお約束?
でも私性格的に、心読まれようと超常現象起こされようと、あんまり信用置けないと思います。
人間的な意識のある神様…て、どうよ?
「あー…神様ってわけではないな、正確には」
青年の否定にちょっとほっとする。
普通のシャツにジーンズの神様…外人さんですが、別に美形ってわけでもない…いや、不細工でもないけど、普通ってオーラが漂ってる神様……ないよね。
「まぁ、自覚薄いけど、神様っていえば神様かも」
「へ?」
どうゆう意味が聞く前に、彼はしゃがみこんでいた姿勢から立ち上がった。
「俺の名前はアーサー、アメリカ人で少々日本贔屓のゲームマニアだった」
お嬢さんの名前、聞いていい?と小首を傾げられ、私も名のった。
「私は吉中柊、日本人で女子高生」
そうして座り込んでいた姿勢から、彼のように立ち上がる。
腰が冷えたし。
うう、体がバキバキいう。運動不足かしら…
「よしなかひいらぎちゃんか、こちらではヒイラギ・ヨシナカか」
いい名前だねと一つ頷いて、彼…アーサーは言った。
「ヒイラギちゃん、君はこの世界の神しゃまに選ばれましたっ」
「…神、しゃま?」
私、物凄く胡散臭そうな表情を浮かべた自信があります。