表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新装版】オレンジボイス 〜女装してアイドル声優になった結果、周りが地雷だらけで詰んだ件〜  作者: 乙希々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/43

小倉ももは揺るがない。①

『──「ゔぁるれこ」公式チャンネルをご覧の皆さん、こんにちはー、声優の橙華とうかです!』


『こんにちは。東雲綾乃しののめあやのです』


『早くも3回目を迎えた当番組では、絶賛放送中のアニメ〝ヴァルキリーレコード〟の魅力を「八城雛月やしろひなづき」役の私と、「水口穂香みなぐちほのか」役の綾ちゃんと二人で、ゆるいトークを交えながら語っていく番組です。どうか最後までゆっくり楽しんでくださいね!』


『そうね。こんなチンケな番組のどこに需要があるかは置いといて、今後の私のためにも、ぜひ最後まで視聴することをお勧めするわ』


『ハハハ……、あ、綾ちゃんもそう言ってることだし、みんなも良かったら番組の高評価、フォローをお願いしますね』


『ところで綾ちゃん知ってる? 今回は特別に素敵なゲストを呼んでるの』


『貴方は何を勿体もったいぶってるのかしら? さっさとそこの隅っこでスタンバっている若いだけが取り柄の前髪パッツン娘を呼べばいいじゃない』


『ハハ、で、では早速お呼びしちゃいますね。「片瀬愛美かたせまなみ」役の小倉ももちゃんです。パチパチ──』


『ええと……みなさん、初めまして、小倉ももです。今日はよろしくお願いします……』


『はぁい、こんにちはー、あれ〜、ももちゃんこの番組初めてだから緊張してるのかな?』


『は、はい! 今日は憧れのセンパイ方と番組でいっぱいお話しが出来ると聞いて、本当に嬉しいです』


『ありがとう〜、そういえばももちゃんは現役の高校生なんだよね。ももちゃんって収録でも真面目で一生懸命だし、学校でもきっと優等生なんじゃないかな? ねぇ、綾ちゃんもそう思わない?』


『それは……どうだかわからないわ』


『えー、まさかの否定?』


『東雲センパイ……ヒドいです』


『ええと、ではでは、今までの「ゔぁるれこ」を振り返ってのトークコーナーです。早速過去の話をダイジェストで見ていきましょう。それではVTRスタート!』




 ◇


 突発的な姉さんとのお泊り会(東雲は逃げた)は色々と大変……というか、阿鼻叫喚あびきょうかんだった。


 かくして僕の秘め事は、容姿端麗にして頭脳明晰な姉──神坂三鈴(27)の拷問、いや尋問により、すべて吐かされ、押し入れに隠していたウィッグやコスメ道具、ワンピその他諸々は、物的証拠として白日の下にさらされ、姉の指導でさらなる女体化を余儀なくされたあの悪夢から、数日後。


 夕方の原宿。アニメの収録以外はスケジュールがガラ空きな僕こと神坂登輝は、公園のベンチで待ち合わせて相手を待っていた。


「こんにちは、《《橙華》》さん、待たせちゃいましたか?」

「ええっと……誰? あ、い、いや、《《私》》もたった今来たところだから……」


 もっとも僕は、モコモコの帽子にマフラー、白のハーフコート(姉のお下がり)、淡い色合いのトップス(これまた姉のお下がり)、ロングスカート(姉の……以下同文)といった、白昼堂々、公然の面前にて女装姿をお披露目している何かとワケありな男だったりするが、その辺の事情は察してほしい。


「橙華さん、今日は本当に来てくれて感激です!」


 そして、約束の午後四時ちょうどに現れたパッツン前髪のショートボブな彼女──到着するや否や僕が腰を下ろすベンチの隣にピタッと寄り添って座り、チェック柄のミニスカートから伸びる厚底ブーツを揺らし、天然素材の二重瞼を濃いめのアイシャドウとつけまつ毛で鮮やかに彩り、両耳たぶにキラキラピアスの小倉ももは、収録時とまるで印象が異なる……、いわゆるギャルだった。


「そ、それじゃあ、とりあえずどっかに移動しようか」

「はい」


 見た目こそ、ギャル(白)そのものだが、言葉づかいは、いつもの礼儀正しいももちゃんなので一安心だ……けど、僕が知る彼女とは、まるで別人な気がする。


「ええっと……ももちゃん、いつもと何だか雰囲気が違うよね。もしかして顔バレを恐れての変装だったりする?」


 公園を出て、スクランブル交差点を彼女と一緒に並んで渡りながら、何気に聞いてみた。


「ですね……最初のきっかけは、たぶんそうだったかもしれません──」


 あまり歯切れの良い口調ではない……が、納得。今の彼女だったら、たとえここで根っからのアニオタと出くわしても、まさかアイドル声優の小倉もも、とは気づかないだろう。


「こんな派手な格好……普段の地味なわたしじゃあ、似合いません、よね?」

「え? と、とても似合ってるよ?」

「本当ですか?」


 交差点を渡りきったところでとびっきりの笑顔を見せるももちゃん。その無垢な笑顔を見て僕は不覚にもドギマギとしてしまう。


(……いかんいかん、今日は先輩として、後輩声優の悩み相談役に徹しなければ──)


 というのも、本日、ももちゃんと待ち合わせていたのは、今朝方突然、彼女からのメッセージで相談事を持ちかけられたためだ。それで急きょ会うことになったのだが、たとえ同じ仕事仲間とはいえ、成人男性が現役JK(女子高生)と二人きりで会うのも立場上マズい。それで今回は特別に……というか、もう説明するまでもないが、例に漏れず橙華(姉のコーデ)として参上したという訳。


 設定上、仲の良い姉妹的な?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ